200924



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事例担当者のイニシャル[HELP]M・K,N・M
事例研究のタイトル[HELP]困ったときにことばで援助要求を行うための支援
事例の概要[HELP]・対面学習の時間、分からない漢字カードを提示されるとでたらめな読みを繰り返す。
・難しい課題や単調な活動、活動量が多いときなど、やりたくないときに「おなかがいたい」と言って活動を回避しようとすることがある。
対象児のプロフィール[HELP]特別支援学校在籍 小5男児 自閉症・知的障害
新版K式 (平成19年9月実施)
発達年齢4歳11ヶ月 発達指数55 
姿勢・運動:3歳10ヶ月 認知・適応:5歳7ヶ月 言語・社会4歳4ヶ月
S−M社会生活能力検査(平成21年2月実施)
社会生活年齢3歳9ヶ月 社会生活指数50
指導者の役割と人数[HELP]担任2名 (M・K N・M)
長期目標[HELP]難しい課題や活動の時、「おしえてください」や「てつだってください」とことばで援助要求を行うことができる。
短期目標[HELP]漢字学習の場面で、分からない漢字カードを読む時、「おしえてください」とことばで援助要求を行うことができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]分からない漢字カードを読む時、「教えてください」と書かれたカードを見て、「おしえてください」とことばで援助要求を行うことができる。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]分からない漢字カードを読む時、でたらめな読みを繰り返し言う。
標的行動を取り上げる意義[HELP]分からないときにでたらめなことを言っても、分からないことが相手には伝わらないし、正しい答えも教えてもらえない。
わからない課題が続くと学習自体がいやになりやる気もなくなってしまう。
分からないことに出会ったときに、それをことばで相手に正しく伝える方法を学ぶことで、相手と正しい方法でコミュニケーションを行うことができる。
事例に関する情報[HELP] ・漢字の学習が大好き
 ・学習後のカードは手元に集めて自分なりに分類している。
 ・漢字の読みはよく覚えている。(数回繰り返すと覚える)
 ・早く課題を終えて遊びたい気持ちが強い。
 ・遊びや給食など限られた場面では自分の要求をことばで伝えることができる。
 ・分からなくても適当な読み方をすると、正しい答えを教えてもらえた。
 ・分からないことやできないことは嫌い
問題の推定原因[HELP]1.「おしえてください」ということばを知らない。
2.何か言えば答えを教えてもらえた。
3.答えが分からなくて混乱している。
4.早く次に進みたい
想定される解決策[HELP]1.「教えてください」カードを見えるところにおいておく。
2.「ちがいます」と言ってすぐに答えを教えない。
3.分からないときの正しい行動を教える。
4.「おしえてください」と言ってから正しい答えを教え次に進むようにする。
選択した原因と解決策[HELP]「おしえてください」ということばを知らない。→「教えてください」カードを見えるところにおいておく。
般化を狙う場面[HELP] 対面学習で難しい課題を行うときや日常生活で分からないことを尋ねられたとき
指導場面[HELP]5の2くみ教室
毎日3校時の自立活動(対面学習)の時間
指導手続き[HELP]1.本児から見えやすい机上に、「教えてください」と書かれたカードを置いておく。
2.漢字カードを提示する。
3.正しく読めたときは、褒めてカードを渡す。
4.「おしえてください」と自主的に言えたときは、答えを教えカードを渡す。
5.正しく読めなかったとき(読みを間違ったとき・でたらめな読み方をしたとき)は「ちがいます」と言う。無言の時は5秒後「何と読みますか」と再度聞く。
6.その後、正しく読めたときは、褒めてカードを渡す。
7.2回目も正しく読めなかったとき(読みを間違ったとき・でたらめな読み方をしたとき)は再度「ちがいます」と言う。
8.「おしえてください」と自主的に言えたときは、答えを教えカードを渡す。
9.2回目も5秒間無言の時や5秒以内に「おしえてください」と言えないときは、「教えてください」と書かれたカードを指さす。
10.カードを見て「おしえてください」と言えたときは、答えを教えるがカードは渡さない。
11.「おしえてくさだい」と言えなかったときは、「おしえてください」と教員が言った後、 繰り返し言うように促す。
12.「おしえてください」と言った後答えを教える。
13.25枚の漢字カードに対して1から12までを繰り返す。
利用可能な好子[HELP]漢字カード
漢字学習の終了
教材教具など[HELP]「意味からおぼえる漢字イラストカード」 山田充 著  かもがわ出版
記録の取り方[HELP]自主的に「おしえてください」と言えた---2点
 「教えてください」カードの指差しあり---1点
 「おしえてください」のことばかけあり---0点 
 漢字カード25枚の中に読めない漢字を5枚程度入れておきその平均を出す。
指導期間と達成基準[HELP]ベースライン期:10月26日〜30日(5日間)
指導期:11月9日〜12月9日(30日間)
達成基準:平均2.0点が連続5日間続いたら達成とする。
結果[HELP]ベースライン期:5日間とも「おしえてください」ということはできなかった。
指導期:指導開始日は、1回目は教員が示範をしめし、2回目はカードを指さすと3回目以降は自分    から「おしえてください」と言うことができ、5回の平均は1.4点だった。
    指導2日目以降は、連続6日間平均値が1.5点から1.9点の間を推移し、指導8日目に初めて    平均値が2.0点(すべての読めない漢字カードに自主的に「おしえてください」と言う)に    なった。その後5日間連続で平均2.0点を記録することができ最初の目標を達成した。
    指導13日目から「教えてください」と書かれたカードは置かないで漢字の学習を行った     が、その日から連続5日間平均値が2.0点を記録し2つ目の目標も達成することができた。
考察[HELP] 漢字学習の場面で、分からない漢字カードを見たとき、「おしえてください」とことばで言うことで、相手に困っていることを伝え、適切な支援を受けることができるようになった。
今までは適当な読みをするとすぐ教員が答えを教えてくれていたのに、指導を開始してからは、答えを教えてもらえなくなり、1回読めない漢字があると学習意欲が低下し、読めていたのに読めなくなった漢字が増えた。多いときでは25枚中14枚適当に読んでしまうことがあった。そのため、何回かは自主的に「おしえてください」と言えることもあったが、平均値が2点になるまでには時間がかかったと思われる。
 漢字カードの種類を確実に読めるものを多くすることで、ぱっと見てすぐ答えられるようになり、適当に読む回数も減った。漢字学習の難易度が下がることで「ちがいます」と言われることも少なくなり、分からない漢字カードがあっても自主的に「おしえてください」と言えることが増えていったと考えられる。指導開始から8日目に、初めて分からない漢字カードすべてに「おしえてください」と言えるようになってからは、適切な援助の求め方が分かり、順調に目標を達成できた 。
分からない時に「おしえてください」と言えば答えが分かることが身に付いたので、その後は「教えてください」と書かれたカードがなくても、適当な読み方をして教員に「ちがいます」と言われた後には、「おしえてください」とすぐ言うことができたと考えられる。しかし、分からないときにすぐ援助を求めるのではなく1回は適当な読みを言うのが習慣になっており、今後の課題である。

指導前
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員との対面学習
漢字の読みの学習場面
読み方の分からない漢字カード
適当なことばを答える 教員に「ちがいます」と言われる(↓)
教員が正しい読み方を教えてくれる(↑)
漢字カードをもらえる(↑)
漢字の上に描かれた絵を見ることができる(↑)
次の漢字カードに進める (↑)

指導後(減らしたい行動)
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員との対面学習
漢字の読みの学習場面
読み方の分からない漢字カード
机の上に「教えてください」と書かれたカード
適当なことばを答える 教員に「ちがいます」と言われる(↓)
「おしえてください」という促し
漢字カードをもらえない(↓)
漢字の上に描かれた絵を見ることができない(↓)
次の漢字カードに進める (↑)

指導後(増やしたい行動)
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員との対面学習
漢字の読みの学習場面
読み方の分からない漢字カード
机の上に「教えてください」と書かれたカード
「おしえてください」と言う 教員が正しい読み方を教えてくれる(↑)
漢字カードをもらえる(↑)
漢字の上に描かれた絵を見ることができる(↑)
次の漢字カードに進める (↑)

記入日時 2009/11/18/10:59:25


記入日時 2009/11/18/10:48:14

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