201003



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事例担当者のイニシャル[HELP]ST
事例研究のタイトル[HELP]教員から手渡されたハンカチについている掛け紐を,ひとりで壁のフックに掛けるための指導
事例の概要[HELP]活動中の興味の移り変わりが多く、学習の途中で別の刺激に反応してしまう。別刺激への反応後は、目的となる行動に対して集中を続けることが困難になることもある。
対象児のプロフィール[HELP]特別支援学校 小学部 3年 男子
太田ステージ1−3
MEPA技巧1歳〜1歳6ヶ月
  受容言語6ヶ月〜1歳
  対人関係1歳〜1歳6ヶ月

その他の特徴
・活動に集中できる時間が短く、興味の移り変わりが多いため、多動傾向にある。
・くすぐりなどの感覚的な刺激を好むことが多い。また、刺激に対し興奮しやすく、よく笑う。
・発声(あー)はあるが言葉は出ない。支援者に、両手を拍手のようにして要求を表す。
・細かな手の震えがあるため、微細な活動に時間がかかる。
・物を握って運ぶことはできるが、他のことに意識が向かうと、握っている物を手放してしまう。
指導者の役割と人数[HELP]指導者A:ST(担任)
指導者B:TN
長期目標[HELP]教員から手渡された掛け紐付きハンカチを、ひとりで壁のフックに掛けることができる。
短期目標[HELP]教員が手を添えながら、掛け紐付きハンカチを壁のフックに掛けることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]掛け紐付きハンカチを落とさずに、壁のフックに掛ける。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]壁のフックに掛かってない時に、掛け紐付きハンカチを手放す。
標的行動を取り上げる意義[HELP]他の場面でも集中が困難になるため、解決した方法を応用して、他の目的とする行動にとりかかることができるようにする。
事例に関する情報[HELP]活動の最中において、偶発的に生じたかすかな変化を刺激として楽しむことがあり、その刺激を興味の対象へと転換する様子が見られる。また、興味の変化があると、活動への集中が続かない。
問題の推定原因[HELP]1.引っ掛ける紐がやわらかい(ヘニャッとなる)
2.紐が細い
3.フックに掛ける紐が短い
4.紐の掛かるフックの部分が短い
5.手放したハンカチが落ちるのを見るのが楽しい
6.手放したときは、実はフックに紐が掛かっているように見えている
7.ハンカチを持ったままの腕の姿勢が疲れる
8.掛け紐がフックを通るまで続けていられない(面倒だ)
想定される解決策[HELP]1.引っ掛ける紐を固くする。(芯を入れる、固める、固い紐を用意する)
2.太い紐をつけておく。
3.フックに掛かる紐の長さを長くする
4.紐を掛ける部分が長いフックを用意する。
5.手放されたハンカチが落下する時間を減らす。(机の上でハンカチのフック掛けを行う。)
選択した原因と解決策[HELP]原因1.引っ掛ける紐がやわらかい(ヘニャッとなる)
解決策1.紐の内部に、針金などによる芯を埋め込んで紐を固くする
般化を狙う場面[HELP]登校時の活動として、トイレの所定の場所に自分のハンカチを掛ける。
指導場面[HELP]自立活動の時間に、課題学習スペースにて。
指導手続き[HELP]1教員がハンカチを手渡す際、掛け紐が天を向くように手渡す。
2教員はフックの付いたボードを本児に向けて構え、見守る。
3−1児童がフックに紐を掛けたら、教員は本児と感覚遊びを行う。
1から3までの練習を3回、反復して行う。

3−2
本児がハンカチを落とした時はそのまま見守る。
 1分以内に試行再開できたら、
   3−1と同様に感覚遊びを行う。

 1分以内に再開できなかったら、
   落ちているハンカチを教員が無言で拾って本児に手渡す。教員は手を本児の手に添えながらフックにハンカチを掛ける。その後感覚遊びをする。
利用可能な好子[HELP]ハンカチをフックに掛けることができたら、ツボ押しマッサージ器で本児と感覚遊びを行う。
で用いるツボ押しマッサージ器。
教材教具など[HELP](介入1に加えて)ハンカチの掛け紐の内部に針金を入れ、掛け紐の形状に大きな変化がないようにする。
記録の取り方[HELP]・各試行結果を得点化して記録する。
ハンカチを落とさずに、掛け紐をフックに掛けることができた。2点
ハンカチを何度か落とすが自ら拾い、最終的に掛け紐をフックに掛けることができた。1点
教員が手を添えて、掛け紐をフックに掛けた。0点
指導期間と達成基準[HELP]達成基準
6点が4日連続

中止基準
4点以下が4日連続
結果[HELP]介入1によってハンカチをフックに掛けることができたが、紐の形状が変わるため掛け終えるまでに時間がかかり、あきらめる(0点の試行)こともあった。

介入2によって、一度で掛け紐をフックに掛けることが3試行(2点を3試行:6点)できるようになった。
考察[HELP]考察1
(ベースライン時)ハンカチを落としたり、フックを見ずに掛け紐を掛けたりしていた。
(介入1)活動の後に感覚遊びを設定。
・他の物事よりも、感覚遊びに興味がある。
・ハンカチを掛けると、感覚遊びをすることができる。
 本児にとって好子である感覚遊びが提示されたことによって、ハンカチの紐をフックに掛ける行動が強化された。
考察2
(介入1実施後)掛け紐を掛けることはできたが、うまく一度で掛けられず、時間がかかってしまう。
・早く紐を掛けて、すぐにでも感覚遊びがしたい。
(介入2)針金で掛け紐の形状が変わらなくなった。
・紐がフックに掛かりやすくなった。
・短時間で紐を掛けて、(3回のそれぞれの試行後)感覚遊びができた。
 一度の試行が短時間になり、すぐ感覚遊びをできるようになったため、ハンカチの紐をフックに掛ける行動がさらに強化された。


記入日時 2011/01/21/17:15:03

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