201004



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事例担当者のイニシャル[HELP]NR
事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年の重複障害児が前後正しくズボンを履くための指導:ステップ1
事例の概要[HELP] 前期の指導では前後正しくズボンを履くための目印として,手で持つ部分にワッペンを縫いつけていたが,本児が自分でワッペンを確認して履くことが難しかった。たまたま入った方に足を通すため,前後を間違えて履いていることが多かった。
対象児のプロフィール[HELP]特別支援学校小学部2年(8歳) 男児

新版K式発達検査2001  検査日 平成20年10月24日
 ・姿勢・運動 1歳5ヶ月 ・認知・適応 1歳10ヶ月
 ・言語・社会 1歳3ヶ月 ・全領域 1歳7ヶ月
指導者の役割と人数[HELP]指導者1 NR
指導者2 TA
指導者3 TS
長期目標[HELP]一人で衣服の着脱をすることができる
短期目標[HELP]一人でズボンの前後を正しく履くことができる
標的行動(増やしたい行動)[HELP]前後正しくズボンを履く
標的行動(減らしたい行動)[HELP]前後反対にズボンを履く
標的行動を取り上げる意義[HELP] 児童は今まで、衣服を着る際には教員が介助を行ってきた。家庭では本児の衣服の着脱をほぼ母親が介助している。学校で獲得した着替えのスキルを、家庭での着替えの場面への般化につなげ、保護者の負担を少しでも軽減するため。
問題の推定原因[HELP]1.ズボンの前後が分からないから。
2.前後反対にズボンを履いていても違和感がないから。
3.正しく履けた達成感がないから。
4.履く度にズボンを持つ位置が異なるから。
5.上肢の動きが拙いため、途中で手がズボンからはずれてしまうから。
想定される解決策[HELP]1.ズボンの前身頃に印をつける。
2.対面学習の時間にズボンの前後について学習する。
3.正しく履けた時に、教員が大げさに賞賛する。
4.本児がズボンを履きやすい位置に、目印をつけ直す。
5.本児がズボンを履きやすい位置に、目印をつけ直す。
選択した原因と解決策[HELP]問題4.履く度にズボンを持つ位置が異なるから。
解決策4.本児がズボンを履きやすい位置に、目印をつけ直す。
般化を狙う場面[HELP]下校時の制服への着替えの場面
家庭での着替えの場面
指導場面[HELP]日常生活の指導の場面
(登校服から体操服への着替え)
指導手続き[HELP]●「前後正しくズボンを履く」行動の課題分析
1)ズボンを見る
2)右手でズボン(黄色いひも)を持つ
3)ズボンを持ち上げる
4)左手でズボン(緑色の目印)を持つ
5)ズボンのウエストを広げる
6)右側に右足を通す
7)左側に左足を通す
8)ズボンを上げる

ステップ1 半ズボン
●介入1:右腰部分に黄色いひもを縫い付けた半ズボンを用意。
1 自発的に1)〜8)の各行動を行うのを10秒待つ。
2 各行動が見られない時は、指さしと言葉かけをする。
3 それでも各行動が見られない時は、身体的ガイダンスをする。

●介入2:右腰部分に黄色いひもと、左側のウエスト部分に緑色の目印を縫い付けた半ズボンを用意。
1 自発的に1)〜8)の各行動を行うのを10秒待つ。
2 各行動が見られない時は、指さしと言葉かけをする。
3 それでも各行動が見られない時は、身体的ガイダンスをする。
教材教具など[HELP]黄色いひもと緑色の目印を縫いつけた半ズボン
記録の取り方[HELP]「ズボンを履く」行動を時系列に分析し、各行動について記録を取る。
・一人でできる         1点
・できない(支援ありでできる) 0点
指導期間と達成基準[HELP]指導期間
平成22年10月〜平成22年11月

達成基準
5日連続で8点の場合、達成とする。
結果[HELP] 介入1により,右手でズボンを持つ位置は安定したものの,左手で持つ位置が履く度に異なるために,同じ方に両足を通してしまうことが多かった。介入2により,左手で持つ位置が分かるようになると,一人で前後正しく履ける回数が増えた。しかし,寒くなり半ズボンを履くことがなくなったために,達成条件を満たさずにステップ2の長ズボンへの実践に取りかかった。
考察[HELP] 今までは,ワッペン部分を持ってズボンを履いても足を通している時に手が外れてしまったり,違う方に足を通してしまったりする経験が多かった。達成条件が満たされることはなかったが、一人で前後正しく履けた時には「できた〜」と教員にハイタッチしにくる様子も見られ,一人で履けたことに対する達成感が次回への意欲に繋がり,意欲的にひもや目印を持とうする姿勢に繋がっていったものと思われる。

介入1:解決策のABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
着替えエリア
右腰部分に黄色のひも あり
ズボンの前後が分からない
近くに教員あり
黄色いひもを持ってズボンを履く 一人で履けた達成感 あり(↑)
寒くなくなる(−)
やり直し なし(↑)
教員からのほめ言葉あり(↑)

介入2:解決策のABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
着替えエリア
右腰部分に黄色のひも、左腰部分に緑色の目印 あり
ズボンの前後が分からない
近くに教員あり
右手で黄色いひも、左手で緑色の目印を持ってズボンを履く 一人で履けた達成感 あり(↑)
寒くなくなる(−)
正しく履けるのでやり直し なし(↑)
教員からのほめ言葉あり(↑)


FILE 164_187_2.xls
記入日時 2010/10/20/19:15:05

事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年の重複障害児が前後正しくズボンを履くための指導:ステップ2
指導手続き[HELP] ●「前後正しくズボンを履く」行動の課題分析
1)ズボンを見る
2)右手でズボン(黄色いひも)を持つ
3)ズボンを持ち上げる
4)左手でズボン(緑色の目印)を持つ
5)ズボンのウエストを広げる
6)右側に右足を通す
7)左側に左足を通す
8)ズボンを上げる

ステップ2 長ズボン
●介入1:右腰部分に黄色いひもを縫い付けた長ズボンを用意。
1.自発的に1)〜8)の各行動を行うのを10秒待つ。
2.各行動が見られない時は、指さしと言葉かけをする。
3.それでも各行動が見られない時は、身体的ガイダンスをする。
●介入2:右腰部分に黄色いひもと、左側のウエスト部分に緑色の目印を縫い付けた長ズボンを用意。
1.自発的に1)〜8)の各行動を行うのを10秒待つ。
2.各行動が見られない時は、指さしと言葉かけをする。
3.それでも各行動が見られない時は、身体的ガイダンスをする。
教材教具など[HELP]黄色いひもと緑色の目印を縫いつけた長ズボン
指導期間と達成基準[HELP]指導期間
平成22年11月〜平成22年12月

達成基準
5日連続で8点の場合、達成とする。
結果[HELP]目印をつけたことにより、右手・左手でズボンを持つ位置が安定した。
また、半ズボンから継続して指導をおこなってきたことで、目印を持って履くと、正しく履ける(履き直さなくてもよい)ということも分かってきた。
それにより、ステップ2の長ズボンでの介入2に入ってすぐに達成することができた。
考察[HELP]ズボンを持つ位置を、本児が履きやすい位置につけなおしたことで、正しい位置が持てると、自然と正しい方に足を通すことができるようになった。また、半ズボンよりも長ズボンの方が大きかったので、本児にとって履きやすかったために達成したものと思われる。
今後は、体操服に限らずズボンの前後が分かるようになるように指導していきたい。また、家庭での着替えの際も自立してズボンを正しく履くことができるように、家庭での着替えへの般化につなげていきたい。

FILE 164_206_1.xls
「長ズボンを履く」グラフ

記入日時 2011/01/20/18:37:33

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