201219
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事例担当者のイニシャル
[HELP]
O.N M.H
事例研究のタイトル
[HELP]
小学部高学年自閉症児が,スケジュールカードを捨て箱に捨て,ひとりで体育館へいくための指導
事例の概要
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iさんはひらがなと写真を使ったスケジュールカードを使用している。スケジュールを確認し,すぐ横にある捨て箱にスケジュールカードを入れてから活動場所に移動している。教室内外にかかわらず,活動を行う場所については理解している。しかし,移動を始めると途中で立ち止まったり,逸脱したりすることが多く,移動時間がかなりかかることがあった。そのため授業開始が遅れてしまったり,ことばかけの回数が増えることより気持ちが不安定になったりし,次の活動に影響を及ぼしていた。
移動する時間を短縮するとともに,自分の意志で移動し不安定にならずに授業に取り組めるようにと思い指導をおこなった。
対象児のプロフィール
[HELP]
小学部5年 男児
iさん
知的障害,自閉症
LDT-R太田ステージ:Stage1-2(平成23年5月)
PEP-R:発達年齢2歳1ヶ月(平成23年8月)
指導者の役割と人数
[HELP]
iさんの動きが止まったときや経路から逸れたときにことばかけを行う。
iさんの後方からついていき見守る。
指導者は1名。
長期目標
[HELP]
スケジュールカードをスケジュール横の捨て箱に捨てて,ひとりで次の活動場所に移ることができる。
短期目標
[HELP]
スケジュールカードをスケジュール横の捨て箱に捨てて,ひとりで体育館へ行くことができる。
標的行動(増やしたい行動)
[HELP]
止まったり逸れたりすることなく体育館へ行く
標的行動(減らしたい行動)
[HELP]
立ち止まったり、経路から逸れたりする
標的行動を取り上げる意義
[HELP]
普段の学校生活において,移動を始めると途中で立ち止まったり,逸脱したりすることが多く,移動時間がかなりかかることが多い。そのため授業開始が遅れてしまったり,ことばかけの回数が増えることより気持ちが不安定になったりし,次の活動に影響を及ぼしていたことから,自分の意志で活動場所に移動し,不安定にならずに活動に取り組めるようにするため。
事例に関する情報
[HELP]
体育館の場所は理解している。
問題の推定原因
[HELP]
・体育館へ行くことに魅力がない。
・行くべき場所を忘れてしまう。
・途中で他に注意が移る。
・遊びたい。
想定される解決策
[HELP]
・体育館へ行くと好きなものがもらえる。
・体育館へ行くと好きなことができる。
・体育館の写真カードをもって移動する。
・周りの人や音が少なくなる時間や場所を選んで移動する。
・休み時間に十分遊んでから,移動する。
選択した原因と解決策
[HELP]
・体育館へ行くことに魅力がない。
→体育館へ行くと好きなものがもらえる。
・行くべき場所を忘れてしまう。
→体育館の写真カードをもって移動する。
・途中で他に注意が移る。
→周りの人や音が少ない経路で移動する。
般化を狙う場面
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学校内の教室や特別教室への移動
指導場面
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朝の体育の前,体育の前
指導手続き
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【指導1】
【4種類のキャラクターカードを使った指導】
(1)新しい経路の各ポイント(小学部2組前階段横,中央階段下,2階廊下,体育館入 り口)にキャラクターカードを貼っておく。
(2)4種類のキャラクターが貼られたホワイトボード(写真1)を手渡す。
(3)iさんの5m後方からついていく。
(4)立ち止まる行動が見られたら,20秒待ってからiさんの元へ行き,ことばかけを行 う。経路から逸れた場合は,すぐにiさんの元へ行きことばかけを行う。
(5)体育館入り口にキャラクターカードを貼り終えたら,お菓子を手渡す。
(結果)
経路を変えたことにより,かかる時間は速くなった。ポイントごとにキャラクターカードを貼ることにより,体育館までの道順は覚えたが,カードを貼る行動に時間がかかり,ことばかけの回数が増えた。
【指導2】
【1種類のキャラクターカードを使った指導(教員との距離は5m)】
(1)体育館の入り口にキャラクターカードを貼っておく。
(2)1種類のキャラクターが貼られたホワイトボード(写真2)を手渡す。
(3)iさんの5m後方からついていく。
(4)立ち止まる行動が見られたら,20秒待ってからiさんの元へ行き,ことばかけを行 う。経路から逸れた場合は,すぐにiさんの元へ行きことばかけを行う。
(5)体育館入り口にキャラクターカードを貼り終えたら,お菓子を手渡す。
【指導3】
【1種類のキャラクターカードを使った指導(教員との距離は10m】
指導2と同じで距離だけのばす。
利用可能な好子
[HELP]
お菓子
教材教具など
[HELP]
キャラクターカード
ホワイトボード
お菓子(ご褒美用)
記録の取り方
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各ポイントまでのかかった時間と,ことばかけの回数を記録する。
指導期間と達成基準
[HELP]
1月21日〜2月8日までの3週間
結果
[HELP]
指導1で,到着までの時間が短縮した。しかしことばかけの回数が増加している。各ポイントでカードを貼る場面で,カードを貼らずにポイントを通り過ぎたり,カードを持ったまま止まったりすることが多く,ことばかけの回数が増えたと思われる。指導1では,体育館までの経路に4つのポイントを設定し,ポイントごとに本児の好きなキャラクターを貼っていく手続きをとった。そのことにより,新たな経路を覚えるのに効果があったと思われる。また好きなキャラクターを貼るので,ポイントに向かう意識が強くなったように思われる。体育館到着後,お菓子のご褒美がもらえることも移動への意識が強まった1つの要因だと思われる。その反面,キャラクターカードを貼る行動に時間がかかってしまい,ことばかけが増えてしまうというデメリットもあった。
指導2で,体育館までにかかる時間はさらに短縮し,ことばかけの回数も減少した。指導2では,指導1で設定していたポイント(小学部階段横、中央階段下、2階廊下)をなくし指導を行った。ポイントごとに,カードを貼る行動に対してのことばかけの回数が減った結果と思われる。
指導3で,体育館までにかかる時間は多少増加したものの,ことばかけの回数は指導2とほとんど変化はなかった。iさんとの距離を5mから10mに離しても,さほど後ろを気にする様子もなく,向かう場所はよく理解していることがわかった。
考察
[HELP]
実践を行う中で,“カードを貼るとお菓子がもらえる”というご褒美のシステムに一定の効果があることがわかった。目的があればより意欲的に次の活動に移ることができ,また場所もよく理解していることがわかった。加えて,周りの環境やその日の体調,移動前の情緒により,移動時間が長くかかってしまうこともわかったので,今後は情緒面の安定を図りながら,他の場所へひとりで行くなど,様々な場面で般化できるように指導を続けていきたいと思う。
ベースライン
A:先行条件
B:行動
C:結果
体育館のスケジュールカード
教員のことばかけ
興味関心のある場所へ行く
体育館へ行く
教員の注意
急かされる
指導後
A:先行条件
B:行動
C:結果
体育館の写真とキャラクターカード
ご褒美の写真
各ポイントへ移動
体育館へ行く
キャラクターカードが貼れる
お菓子がもらえる
褒められる
記入日時
2013/03/28/11:41:25
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