201223



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事例担当者のイニシャル[HELP]O.K
事例研究のタイトル[HELP]中学部男子2年生が授業に参加するための支援について
事例の概要[HELP]昨年度、地域の小学校から中学部に入学してきた。
自分の障害受容ができておらず、「自分は普通」「こんなところは僕のいるところではない」と言っていた。また、保護者の都合により欠席数も多くなっていた。ただ、担任や教員との関わりを求めるようになり、学校に登校することを嫌がる様子はなくなってきた。
そこで、路線バスによる通学支援を行い、出席率も伸びてきた。

今年度、さらに登校後の授業参加についての支援を行うこととした。
これまでは登校後は、担当教員がマンツーマンで対応する時間がほとんどであり、教室も他生徒が使用していない場所で行っていた。ただ、その環境下においては教員の指示にも従い提示された活動ができるようになってきた。

そこで、小集団の中で、活動を共にしたり、場所を共有する機会が増えていけばいいと考えた。
対象児のプロフィール[HELP] Aくん(支援学校中学部2年 男子)
 アスペルガー症候群
 統合失調症
 他の生徒との関わりを拒絶し、場所を共有することを嫌がる
指導者の役割と人数[HELP]生活単元学習の時間の授業者A,B
A:T1
B:本生徒対応
長期目標[HELP]授業に参加することができる
短期目標[HELP]他の生徒と場を共有することができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]決められた時間、他生徒と教室で過ごすことができる。
標的行動を取り上げる意義[HELP]短時間から始めることで、生徒の成功体験を積み、時間を長くしていくことにつなげる。
今は、ほとんど他生徒との関わりがないので、場所を共有(活動は別活動でも可)することから始める。
事例に関する情報[HELP]活動場所を、(1)他生徒のいる教室 (2)他生徒のいない教室 のどちらかから選択する。
ほとんどの場面で(2)を選ぶ。
廊下等で他生徒とすれ違うときもできる限りの距離を取っている。
他生徒との関わりを極端に避けて過ごしている。

教員との関わりは大好きで教員と一緒であれば、他生徒の存在はあまり気にならないようである。
学校祭に向けて「舞台に上がること」を目標に他生徒の前に立ってセリフ練習をすることができた。

そこで、「必要性」「モチベーション」「環境設定」を整えることで他生徒との場の共有を狙えるのではないかと考えた。
問題の推定原因[HELP]1.他生徒から話しかけられるかもしれない
2.他の生徒がいる
3.教員と話ができないかもしれない
4.教員を独り占めできないかもしれない
想定される解決策[HELP]1.教員が間に入り、物理的な距離を取る
2.集中しやすい活動を設定して気にならないようにする
3.活動後、教員と二人で話ができる場面を設定し、機会を確保する
選択した原因と解決策[HELP]推定原因の1、2より、「他生徒からの関わりがあるかもしれない」という不安感から教室に一緒に入ることを拒んでいるのではと考え、他生徒との距離感や活動内容に工夫をすることにした。
3、4より、教員との関わりが減ってしまうことへの不満感を持つのではと考え、機会を確保することにした。
般化を狙う場面[HELP]他の授業
指導場面[HELP]休み時間(ベースライン〜ステップ2)
生活単元学習の時間(ステップ3)
指導手続き[HELP]【ベースライン】 (教員が1人)
(1)教員と一緒に教室で過ごしているところへ、他生徒が入ってくる。
(2)活動内容は「パソコン」や「動物図鑑を見る」などAくんが好きな活動をする。
(3)Aくんと他生徒の間に教員が入り、距離を取るようにする。
(4)教員は両方の生徒と話をする。
(5)5分以上過ごすことができたら、教員と一緒に教室から出る。
   (生徒からの要求があったときに退室)
(6)5分以下でも教室から出たそうにしたときは教室から出る。

【ステップ1】(教員が1人)
(1)他生徒が教室で過ごしているところへ、Aくんが教員と一緒に入る。
(2)活動内容は「パソコン」や「動物図鑑を見る」などAくんが好きな活動をする。
(3)Aくんと他生徒の間に教員が入り、距離を取るようにする。
(4)教員は両方の生徒と話をする。
(5)5分以上過ごすことができたら、教員と一緒に教室から出る。
   (生徒からの要求があったときに退室)
(6)5分以下でも教室から出たそうにしたときは教室から出る。

【ステップ2】(教員が1人)
(1)他生徒が教室で過ごしているところへ、Aくんが教員と一緒に入る。
(2)活動内容は「パソコン」や「動物図鑑を見る」などAくんが好きな活動をする。
(3)Aくんと他生徒の間に教員が入り、距離を取るようにする。
(4)教員は両方の生徒と話をする。
(5)10分以上過ごすことができたら、教員と一緒に教室から出る。
   (生徒からの要求があったときに退室)
(6)10分以下でも教室から出たそうにしたときは教室から出る。

【ステップ3】(教員が2人)
(1)他生徒が教室で過ごしているところへ、Aくんが教員と一緒に入る。
(2)生単の授業に参加する。
   ・・・授業内容は、会食や校外学習の事前学習など
(3)Aくんと他生徒の間に教員が入り、距離を取るようにする。
(4)T1は授業を行い、T2はAくんへの支援を行う。
(5)10分以上活動に参加することができたら、教員と一緒に教室から出る。
   (生徒からの要求があったときに退室)
(6)教室から出たそうにしたときは教室から出る。

利用可能な好子[HELP]お菓子
教員との会話
インターネット
マンガ本(ジャンプ)
記録の取り方[HELP]他生徒と教室で過ごした時間を記録する。
 Aくんが教室にいる状態
        ↓
 他生徒が教室に入ってくる・・・タイマースタート
        ↓
 Aくんが教室を出る・・・タイマーストップ
指導期間と達成基準[HELP]・指導期間
  11月〜2月

・達成基準
  設定時間を3回連続クリアしたら達成
結果[HELP]ベースラインから目標を達成した。
ステップ1・ステップ2でも、特に教室に入ることに抵抗を見せず、教員と過ごすことができた。
ステップ1・ステップ2では、他生徒は教室内にいるが、パソコンや動物図鑑に集中していたため、他生徒の存在を気にすることなく過ごすことができていた。
ステップ3では、授業内容に興味を示し、授業が終わるまで参加することができた。
考察[HELP]・教員と一緒に過ごすということ
  教員との関わりがAくんにとって大きな好子になっている。

・活動内容について
  ステップ2までは、パソコンや動物図鑑など、集中しやすいものを設定した事が達成基準クリア
  の要因につながった。
  ステップ3については、会食や校外学習など関心を持ちやすいもので行ったことで授業に最後ま
  で参加したいと思う気持ちが高まった

・他生徒への関わりについて
  自分からアクションを起こし、それに対する反応(つっこみなど)を楽しんでいる様子が見られ
  た。
  逆に他生徒からAくんへのアプローチに関しては徹底的に拒絶する様子が見られた。
  Aくんと他生徒との間に教員が入ることで共通の話題で会話をすることができた。
   ※例:Aくん「ヤドクガエルがおったら大変」(→教員)
      他生徒「ヤドクガエル?」(→Aくん)
      教 員「ヤドクガエルって何だっけ?」(→Aくん)
      Aくん「ヤドクガエルは猛毒のカエル」(→教員)
      教 員「だってさ」(→他生徒)
      他生徒「そうなんだぁ」(→Aくんと教員)

・今後の課題
  興味を惹きつけるような授業内容・授業方法を考える。
  教員との会話だけでなく、生徒との会話につなげるためのスモールステップによる指導の必要
  性。
  Aくんと関わりを持つことができる教員を増やす。


BEFOREのABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
教室に他生徒がいる
教員と話がしたい
教員が2人
教室外で過ごす 生徒が他にはいない(↑)
教員が話をしてくれる(↑)
教員を独り占めできる(↑)
教員がついてくる(↑)

ステップ1〜3のABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
教室に他生徒がいる
教員と話がしたい
教員二人
休み時間
生単の時間
教室で過ごす 生徒から話しかけられるかもしれない(↓)
生徒が他にもいる(↓)
教員が話をしてくれる(↑)
教員を独り占めできない(↓)
お菓子が食べられる(↑)

FILE 273_288_1.ppt
記入日時 2013/04/11/17:06:19

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