200708



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事例担当者のイニシャル[HELP]S・T・K
事例研究のタイトル[HELP]小学部高学年の自閉症児に対するカードを使って自発的に遊びの要求をするための指導
対象児のプロフィール[HELP]小学部5年生 自閉症 男児
PEP-R発達検査結果:3歳3ヶ月(平成19年5月)
太田のStage:Stage3-1(平成19年4月)
二語文程度の発語や模倣ができる。
ビデオを見ることを好み、遊びの時間はビデオを見て過ごすことが多い。
自発的に要求することが少ない。
ビデオを見ながらも、急に泣き出すこともある。
指導者の役割と人数[HELP]S(主に指導)
T
K
以上3名
長期目標[HELP]自発的にしたい遊びのカードをコミュニケーションブックから選んで,離れた所にいる教員に手渡すことができる。
短期目標[HELP]おもちゃなどを見て,そのカードを教員に手渡すことができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]自発的に遊びたいおもちゃのカードを選んで、教員に手渡すことができる
標的行動を取り上げる意義[HELP] Gさんはビデオ以外の遊びの種類が少なく,遊びの時間は教室でビデオを見て過ごすことが多い。
ビデオを見ながらも、急に泣き出す場面もみられる。Gさんは生活全般的に自発的に要求することも少ないため、好きなことやしたいことが周りに伝わらないことがある。
 好きな遊びを見つけ,さらに要求することができるようになれば,より充実した遊びの時間や余暇になると考え,このような目標を設定した。
問題の推定原因[HELP]1 要求する物やしたい活動が少ない
2 要求する手段が未獲得である
3 要求するときが分からない
4 ビデオが見たい
5 ビデオがついていると落ち着く
6 要求する経験が少ない
想定される解決策[HELP]1 興味の引くものを探す
2 要求手段の獲得
3 要求していいように視覚的手がかりを提示する
4 ビデオを要求の1つにする
5 ビデオを見ながらでも、他の遊びを促す
6 要求する機会を増やす
選択した原因と解決策[HELP]1 好きな物探しを行い、興味の引くものを準備する
2、3、6 カードを使って要求する練習を行う
般化を狙う場面[HELP]対人般化(S以外の教員)
家庭
指導場面[HELP]遊びの時間
教室のプレイエリア周辺
指導手続き[HELP]1 好子アセスメント
(1)おもちゃを見せて、子どもの様子を観察する。
(2)おもちゃをそっと取り上げたときの反応を見る。
(3)欲しい物が複数あるときに、どれを選ぶか様子を見る。
(4)興味を引いた物とそうでない物を記録する。

2 カードを手渡す
(1)対象児と教員の間にカードを1枚置いておく。
(2)教員は対象児が興味を引くおもちゃなどで要求を促す。
(3)カードを手渡したときは,誉めて,おもちゃの名前を言いながら渡す。おもちゃに直接手をのばしたときは,おもちゃを渡さず,カードを指さす。
(4)教員と対象児の距離を少しずつ延ばしていく。

3 カードを離れた教員まで手渡しに行く
(1)対象児と教員の間にカードを1枚置いておく。
(2)教員は少し離れた所から対象児が興味を引くおもちゃなどで要求を促す。
(3)カードを手渡したときは,誉めて,おもちゃの名前を言いながら渡す。おもちゃに直接手をのばしたときは,おもちゃを渡さず,カードを指さす。
(4)教員と対象児の距離をさらに延ばしていく。

4 カードを選んで手渡す
(1)対象児と教員の間にカードを2枚置いておく。
(2)教員は興味を引く複数のおもちゃなどで要求を促す。
(3)対象児がカードを手渡した後,教員が持っている物を対象児に選んでもらう。
(4)手渡したカードと対応する物に手を伸ばしたときは,誉めて,おもちゃの名前を言いながら渡す。違う物に手を伸ばしたときは,おもちゃを渡さず,カードを指さす。正しいカードを手渡した後,誉める。少し間を空けて,もう一度要求を促すところからやり直す。
(5)教員と対象児との距離を少しずつ延ばしていく。

5 文カードにカードを選んで貼り、文章を作って要求する
(1)文カードをコミュニケーションブックに貼っておく。文カードには「ください」カードをあらかじめ貼っておく。
(2)対象児がカードを選んだ後、そのカードを文カードの「ください」の左に貼るようにプロンプトする。
(3)カードを貼ったら文カード自体を教員に渡してもらうようにプロンプトする。
(4)教員は誉めながら文カードを受け取り、貼ってあるカードを読んでから、おもちゃを渡す。
(5)教員とコミュニケーションブックとの距離を少しずつ延ばしていく.
利用可能な好子[HELP]ビデオ
音のなるおもちゃ
スライムや粘土
パズル
プレイルームでの活動
教材教具など[HELP]おもちゃ
カード
コミュニケーションブック
記録の取り方[HELP]カードを手渡すためにプロンプトが必要だったか
教員とGさんとの距離
Gさんとコミュニケーションブックの距離
指導期間と達成基準[HELP]正反応率80%以上が3日続いたときとする。
距離を延ばしていくときは,正反応率80%以上が2日続いたときとする。
結果[HELP]遊びの時間はビデオを見ながら、スライムや音のなる絵本などを自発的に要求して遊ぶようになった。

教員との距離が約5m以上離れても、カードを手渡すことができるようになった。

コミュニケーションブックもプレイエリアの外に設置したが、自発的にブックの所までカードを選びに行くことができるようになった。

対人般化も見られた。主として指導していたS以外の教員にも要求することができた。

選んだカードとおもちゃのマッチングが正確にでき、カードを複数にしてもエラーレスで進められた。
考察[HELP]遊びの時間、ビデオ以外の遊びが増えた。好子アセスメントや、日頃から好みそうな物で興味を引くようにしていたことが大きい。

自発的な要求行動が見られるようになった。好むおもちゃを用意したり、要求する機会をいろいろ設定したのが大きい。また、要求することが未学習だったこと、要求するための手がかりが少なかったことも考えられる。

離れた所にいる教員に要求できるようになった。スモールステップやエラーレスが特に有効だった。

遊びながらの急な泣きや自傷が少なくなったように感じるが、指導との関連性は明確ではない。
参考にした先行研究や事例など[HELP]PECSトレーニングマニュアル

カードを手渡して要求する
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員がおもちゃを持っている
カードが1枚ある
カードを手渡す おもちゃがもらえる(↑)
誉められる(↑)
「○○(おもちゃの名前)」(−)

少し離れた教員にカードを手渡して要求する
A:先行条件 B:行動 C:結果
少し離れた所に教員がいる
教員がおもちゃを持っている
カードが1枚ある
カードを手渡しに行く おもちゃがもらえる(↑)
誉められる(↑)
「○○(おもちゃの名前)」(−)

カードを選んで教員に手渡して要求する
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員が2種類のおもちゃを持っている
カードが2枚ある
カードを選んで手渡す 2種類のおもちゃを差し出される(↑)

カードを選んで教員に手渡して要求する(続き)
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員が2種類のおもちゃを差し出している
教員が「どうぞ」と言っている
手渡したカードと同じおもちゃに手を伸ばす おもちゃがもらえる(↑)
誉められる(↑)
「○○(おもちゃの名前)」(−)

文カードにカードを貼って、文章を作ってから手渡す
A:先行条件 B:行動 C:結果
文カードがコミュニケーションブックに貼ってある
文カードには「ください」カードが貼ってある
教員がおもちゃを持っている
教員はコミュニケーションブックのそばにいる
カードを文カードの「ください」の左側に貼って、文カードを手渡す おもちゃがもらえる(↑)
誉められる(↑)
「○○(おもちゃの名前)」、「ください」と文カードのカードを読んでもらえる(−)


自発的にカードを教員に手渡して要求することができた割合
記入日時 2008/02/24/05:41:16

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