200720



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事例担当者のイニシャル[HELP]O.S
事例研究のタイトル[HELP]自立課題を一人でやり遂げるための指導
事例の概要[HELP]自立課題の時に、課題の順番を変えようとすることがあり、その行動を止めると泣く、叫ぶ、課題を放り投げるなどする。以前はそのような行動は見られず、順番通りに課題をしていた。今も、順番通りにできることもある。
対象児のプロフィール[HELP]特別支援学校 小学部1年生 男子
自閉症
PEP-R:1歳9ヶ月(芽生え反応2歳8ヶ月)

・発語があり、要求を「おねがい」「ください」などの限られた言葉で伝えることができる。
・「ぼうし」「おやつ」などの身近な名詞は聞いて理解できる。「手を洗って」「靴はいて」などの簡単な言語指示は理解できるが、細かい指示の理解は難しい。
・スケジュールや手順にこだわりがあり、変更があるとストレスになるようである。
・自分の思いが通らないと泣く、寝ころぶ、頭を壁に打ち付ける、ものを投げる、などの行動が見られる。
・写真カードでのスケジュールで活動している。
・スケジュールやワークシステムの上から下へ並べたカードは、多くの場面では上から順番に取って
いくことができている。
・注意の対象がころころ変わり、いろいろなところに興味があり、よく動く。
・おやつやおもちゃといったものが外発的動機になる面が強いが、課題の完成が内発的動機になっている面もあるようで、多くの場合、課題には積極的に取り組む。
       
指導者の役割と人数[HELP]O.S(担任)
Y.Y(教科担任)
S.T(教科担任)
Y.T(教科担任)
長期目標[HELP]ワークシステムや手順書を使って、自分でできる活動を増やす。
短期目標[HELP]カードでのワークシステムを使って4段の自立課題に一人で取り組み、やり遂げることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]ワークシステムを使って、順番通りに自立課題をする。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]課題の順番を入れ変える。
標的行動を取り上げる意義[HELP]・ワークシステムで順番通りに課題ができるようになれば、課題のやり残しがなくなる。
・決められた手順で課題が遂行できるようになることは、仕事をするにも重要である。
・ワークシステムを使って自分で課題が遂行できるようになれば、より自立して活動できる場面が増える。
事例に関する情報[HELP]・対象児は、火〜金曜日の2時間目に自立課題に取り組んでいる。
・登校後のスケジュールは着替え→朝の会→グランド遊び(雨天時は図書室)→定時排便→自立課題→あそび→自立課題→あそび になっている。
・1単位時間に2回、自立課題を行っている。
・自立課題は、4面が段ボールの壁でできた専用のエリアで行う。
・ワークシステムは、上から下へ並べて提示したアルファベットのカードを、1番上から取って、左手の棚の中から対応するかごを見つけて引き出し、その課題をして、終わったら棚に戻すタイプ。
・1回の自立課題の最後には、おやつのカードが入っていて、ラムネ1粒がもらえることになっている。
・グランド遊びは、対象児の好きな砂遊びが出来るので大好きであるが、終了時にタイマーが鳴っても自分から終わることが難しく、情緒不安定になることが多い。
・図書室では好きな本を読んだり、ビー玉で遊んだりするが、終了時タイマーが鳴れば、比較的スムーズに自分から終わることが出来ている。
・便の失敗が多かったため、4月から定時排便(朝と昼の2回)を行っている。便座に2分座るようにしているが、便意がない時は、座るのが嫌で不機嫌そうにしている。
・つまり、グランド遊びの終わりから、定時排便にかけて不機嫌なことが多く、自立課題にまで尾を引いていることが多い。
・排便に成功した時は、ちょっと豪華なおやつがもらえる。その時は、自立課題もスムーズにいくことが多い。
・対面課題の時は、自立課題と同じようなワークシステムで課題を提示しているが、教員がカードを受け取り課題のカゴを渡すようにしている。そのせいか、対面課題の時は課題の順番を変えようとすることはない。ただ、一つの課題の中では、以前やった手順ややり方にこだわることがある。
問題の推定原因[HELP]1.気になる課題が見えているとさわりたくなる。
2.イライラしたり、課題をしたくないと他の課題をさわりたくなる。
3.課題が自分の思う順番に並んでいないから、変えたくなる。
4.ワークシステムに沿って、順番通りに課題をしても良いことが起こらない。
想定される解決策[HELP]1.今やる課題だけを提示するようにする。
2の1.スケジュール調整により、直前の活動をグランド遊びでなく、抵抗なく終われている図書室にする。
2の2.スケジュール調整により、直前の活動から定時排便を止める。
3.課題の順番が変えられないようなワークシステムにする。
4.順番通りにすることで好子が出現するようなワークシステムにする。
選択した原因と解決策[HELP]原因 1、2
解決策 1、2の1、2の2
般化を狙う場面[HELP]なし
指導場面[HELP]火〜金曜日の2校時に2回ある自立課題の時間
指導手続き[HELP]介入1
 ・課題の提示の仕方を変える。
 (4つの課題だけを棚の上段からやる順番通りに入れる。)

介入2
 ・介入1の変更は継続する。
 ・スケジュール調整をして、自立課題の直前の活動を運動場遊びではなく、図書室かビデオにす   る。定時排便をスケジュールから外す。
利用可能な好子[HELP]おやつ、きかんしゃトーマスのおもちゃやカードなど
教材教具など[HELP]ワークシステム
 ・A〜Dのカードを上から下に並べて、細長い台紙にクリップで留めたもの
 ・課題棚
 ・A〜Dのカードを入れるためのポケットがついた課題カゴ4つ
記録の取り方[HELP]1回の自立課題中に、カードや課題カゴの順番を変えようとしたり、後の課題を出してきて先にやり始めたりした回数をカウントする。
指導期間と達成基準[HELP]指導期間
9/5〜9/11ベースライン
9/12〜介入1
10/5〜介入2

達成基準:介入1…自立課題で連続8回、課題の入れ替え行為が起こらない。
     介入2…自立課題で連続8回、課題の入れ替え行為が起こらない。
結果[HELP]・介入1により、課題の順番を入れ替える行動が一時的に減ったが、またすぐ現れるようになった。
・介入2により、課題の順番を入れ替える行動はほとんど見られなくなった。グラフに表している期間以後、課題の順番を入れ替える行動は、10/25、11/15、12/6に一回ずつ見られた後、現在まで見られず、スムーズに自立課題に取り組めている。
考察[HELP]・介入1で一時的に課題の順番を入れ替える行動が減ったことから、ベースライン時の課題の提示の仕方にも問題があったと思われる。入学後、捨て箱式のワークシステムを使って順調に自立課題ができるようになり、カードマッチング式のワークシステムに変更し、更にたくさん入った課題棚から課題を取ってするというワークシステムへとステップアップしていったが、そのペースが早すぎたと反省している。今やる分の課題だけを提示する方が、対象児にとって気が散りにくくて良かった。
・介入2で、課題の順番を入れ替える行動がほとんど無くなったことから、この行動は対象児のイライラしている精神状態が大きな先行条件になっていたと思われる。運動場の遊びの終わりや定時排便の指導が本児にとって大きなストレスになっていたのだと思われる。対象児は、他の場面でも精神的なイライラから逸脱が見られることが多いことに気付かされた。

参考にした先行研究や事例など[HELP]なし

減らしたいBefore
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員が見ている時
課題が以前と違う順番で並んでいる時
やりたい課題、気になる課題が後の方にある
直前の活動でいらいらしている時
気になる課題が見えている時
課題の順番を変える 教員が止めに来る(−)
以前と同じ順番でできてすっきり(↑)
やりたい課題が先にできる(↑)
嫌な課題をとりあえず後回しにしてくれる(↑)
課題で遊べる(↑)

減らしたいAfter
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員が見ている時
課題いつも同じ順番で並んでいる時
順番が変えられないようなワークシステム
イライラしていない状態
やる課題だけが提示されている時
課題の順番を変える 教員が厳しく叱る(↓)
いつもの順番が狂ってしまう(↓)
順番を変えられない(↓)
教員が止めにくる(↓)
特に気になる課題がない(↓)

増やしたいBefore
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員が見ている
ワークシステムで提示された課題がある
イライラしている時
気になる課題がたくさん見えている時
課題が以前と違う順番に並んでいる時
気になる課題が下の方にある時
課題を順番通りにする 教員は無反応(−)
魅力的でないごほうび(ラムネ1粒)有り(−)
つまらない(↓)
つまらなくてもっとイライラ(↓)
以前と違う順番で気持ち悪い(↓)
やりたい課題がなかなかできない(↓)

増やしたいAfter
A:先行条件 B:行動 C:結果
教員が見ている時
課題がいつも同じ順番で並んでいる時
順番通りにしか取れないワークシステム
直前の活動から気持ちよく切り替えられている時
やる課題だけが提示されている時

課題を順番通りにする 教員から「いいぞー」の言葉かけあり(↑)
いつも同じ順番で課題ができてすっきり(↑)
豪華なおやつあり(↑)
スムーズに課題終了、遊びに行ける(↑)



記入日時 2007/10/30/19:45:46

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