200721



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事例担当者のイニシャル[HELP]kmjrt
事例研究のタイトル[HELP]スプーンを使って、数種類の食べ物を一人で食べることができるための支援
事例の概要[HELP]・スプーンを上から握ることができるが、自分で食べ物をすくおうとすることがない。
・教員が手を添えないと、「あ〜」と声を出して不機嫌になったり、スプーンでお皿をコンコンたたいたり、お皿をひっくり返すこともある。

対象児のプロフィール[HELP]Zさん、養護学校小学部1年生、男子、ダウン症候群

その他の特徴
・入学当初は、目の前に自分にとって必要のない物があるとそれを投げたり、給食時、スプーンや食器を投げたりする行動が多くみられた。(現在は稀にみられる程度である。)
・自分の思いが伝わらない時や、不快な時に自分の頭を手の平で叩く自傷行為がみられる。
・苦手な音や声が聞こえると耳ふさぎをする。
・手をパチンと合わせるサインや数種類のカードを使って要求を伝えることができる。

指導者の役割と人数[HELP]指導者A:担任 1名
長期目標[HELP]スプーンを使ってすくいやすい食べ物を食べることができる
短期目標[HELP]スプーンを使って5個にちぎられた菓子パンを食べることができる
標的行動(増やしたい行動)[HELP]スプーンを使って5個にちぎられた菓子パンを食べる
標的行動(減らしたい行動)[HELP]教員にスプーンを渡そうとする、スプーンでお皿をトントン叩く
標的行動を取り上げる意義[HELP]Zさんは、自分でスプーンを握って口まで運ぶことができるが、大人や先生が軽く手を添えて食べさせてくれるという環境に慣れてしまっている。そのため、スプーンを握っても大人や先生の方に手を伸ばしてきて一人で食べようとすることはほとんど見られない。
Zさんが一人で食事ができるようになって欲しいということは保護者の願いでもあり、将来を見据えた視点から少しでも自立して生活できるようにするためにも必要なことだと考えられる。また、食べ物をすくうことが十分でないため、すくう練習も同時に行うことが必要だと考えられる。
事例に関する情報[HELP]・スプーンは上から握って持っている。
・スプーンを持ち、食べたいという意欲はある。
・スプーンに落ちにくい食べ物(白ごはん、ポテトサラダ)をのせた状態で手渡すと、ほぼ確実に一人で食べることができている。落ちやすい物は、教員が軽く手を添えて口まで運べるように支援している。
・食べ物をすくうスキルがまだ十分身に付いていない。
・菓子パン(蒸しパン)は大好物で、一口大の大きさであればスプーンですくうことができる場面も見られた。
問題の推定原因[HELP]原因1 一人で食べるという経験が少ない。
原因2 大人や先生が食べさせてくれる。
原因3 スプーンで食べ物をすくうというスキルが不十分である。
原因4 一人ですくって食べても褒めてくれない。
原因5 すくえないと食べられない。
想定される解決策[HELP]解決策1 (原因1、2)一人で食べる経験を増やす。
解決策2 (原因3、5)すくうスキルが身に付くためにすくいやすい食べ物を用意し、すくう練習をする。
解決策3 (原因4)一人ですくって食べられたら「上手だね!」などとことばをかけて賞賛する。
選択した原因と解決策[HELP]原因1、2、3、4、5
解決策1、2、3
般化を狙う場面[HELP]給食時、白ごはんを食べる時
指導場面[HELP]課題別の活動の時間、休み時間
指導手続き[HELP]ベースライン
1.課題別の活動の時間(または休み時間)、一つの机に教員と対面で座る。
2.Zさんの目の前に5個(一口大の大きさ)にちぎられた菓子パンが載せられたお皿と子供用スプーンを提示する。
3.「Zちゃんいただきます」とことばかけをし、同時に3分で鳴るように設定されたタイマーのスイッチを押す。(食べることができても賞賛のことばなし。)
4.タイマーが鳴るのと同時に机のお皿をAさんの前から取り除く。


介入1
1.課題別の活動の時間(または休み時間)、一つの机に教員と対面で座る。
2.Zさんの目の前に5個(一口大の大きさ)にちぎられた菓子パンが載せられたお皿と子供用スプーンを提示する。
3.「Zちゃんいただきます」とことばかけをし、同時に3分で鳴るように設定されたタイマーのスイッチを押す。(食べることができれば、賞賛のことばをかける。)
4.タイマーが鳴るのと同時に机のお皿をZさんの前から取り除く。
5.教員が新たに菓子パンを5個載せたお皿を提示する。
6.3分間、練習の時間を設け、Zさんが菓子パンをスプーンですくえるように教員が軽く手を添え、支援する。


利用可能な好子[HELP]菓子パン(チーズ蒸しパン)、「Zちゃん、上手やなぁ〜!」のことばかけと拍手
教材教具など[HELP]菓子パン、へりのあるお皿、子供用スプーン
記録の取り方[HELP]介入1
・菓子パンを1個食べる・・・1点


指導期間と達成基準[HELP]・指導期間:2007年10月30日〜12月10日

○達成基準:5点取れる日が5日間続けば達成とする。


・ベースライン・・・2007年10月30日〜11月15日(うち11日間)
・介入1・・・・・・2007年11月19日〜12月10日(うち11日間)
結果[HELP]○介入1(12月10日達成)

・ベースライン:5点を獲得したのは2回、4点は2回、3点は2回、2点は4回であった。
・介入1:5点を獲得したのは9回、4点は1回、3点は1回、2点は0回、1点は0回であった。

考察[HELP]・一人で食事ができるということは、これから生活していく上で重要だと考えられる。
指導を始めるまでは、自分で食べようとしなくても大人や教員が食べさせてくれて困ることもなかった。当初は、一人ですくって食べることは難しいだろうと(0個〜1個くらいだと予想)、ベースラインは3〜5日あれば十分だと考えていたが、実際ベースラインをとると、平均3・2個食べることができた。これは予想外の結果であったが、ベースラインをとることがいかに重要かを感じた。

・スプーンですくおうとする行動が徐々に増えたのは、お皿を叩いたり、手伝って欲しくてスプーンを差し出しても教員が手伝わなかったこと、3分終了後に設けた練習時間で技術力が上がった(スプーンの扱い方が上手になってきた)こと、食事は、Zさんにとって非常に好きな活動であるため意欲的に取り組むことができたことが理由として考えられる。

・また、使用していたへりのあるお皿とスプーンもZさんにとって比較的使いやすかったことも達成につながったのではないかと考えられるが、これについては今後、別の食器を使って指導していこうと考えている。

・今回の指導を始めて、般化場面に設定していた給食の時間に自分でスプーンを握ろうとしたり、すくおうとする動きが見られるようになり、スプーンやお皿を投げることがほとんど見られなくなった。

・今後は、食べる物の種類、量、食器の種類を変えたり、般化場面につなげていけるように指導を進めていこうと考えている。

介入前
A:先行条件 B:行動 C:結果
5個にちぎられた菓子パンが目の前のお皿にある時 ・スプーンでお皿をトントン叩く
・スプーンを教員に手渡そうとする
・お皿をひっくり返す
・スプーンを投げる
・「あ〜」という声を出す
菓子パンが食べられない(↓)

介入後
A:先行条件 B:行動 C:結果
5個にちぎられた菓子パンが目の前のお皿にある時 一人でスプーンを使って菓子パンをすくう 菓子パンが食べられる(↑)
先生がほめてくれる(?)


データとグラフ:第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン  
データとグラフ:第二系列のタイトル: 
Intervention1: 介入1  
記入日時 2007/10/29/17:57:17

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