200723



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事例研究のタイトル[HELP]登校時(外靴を脱ぎ,上靴を持った時)に一人で上ぐつを履く指導

記入日時 2007/10/09/16:52:45

事例担当者のイニシャル[HELP]t.k.k.
事例研究のタイトル[HELP]登校時(外靴を脱ぎ,上靴を持った時)に一人で上ぐつを履く指導
事例の概要[HELP]登校時,外靴と上靴を履き替える時に教員の支援が必要である。上靴を下駄箱から取り出した後,持ったまま教室又はプレイルームへ走っていくことが多い。教室で上靴をはくように身体的ガイダンスが必要であり,怒りながらしゃがんでかかとを入れることも多い。自ら上靴が履けるようになればと考えている。

対象児のプロフィール[HELP]小学部5年男児 自閉症
PEPーR 1歳7ヶ月(芽生え1歳8ヶ月)《2006年8月検査》

(その他の特徴)
・日常生活において介助を多く必要とする。教員とともに行うことでも時間がかかると不安定になる。情緒不安定の時の力は強いが,日常生活動作に必要な手の力等かなり弱い。
・言語の理解は難しいが,言葉かけをすると状況判断で活動することがある。
・スケジュールは具体物で示されており,移動できる。カードと具体物のマッチングの学習中である。
・特定の声や騒がしい環境の中で不安定になることが多い。集団での授業や行事の参加が難しい。
・感覚刺激を好む。(砂や紙をばらまく・台車に乗る等)情緒が不安定になった時に手の感覚刺激(手をたたく)を行うと安定することが多い。普段も自ら手たたきを要求してくることが多くなっている。
・食物への執着が激しく,異食もある。課題は,ごほうびのおやつを目標にやり遂げようとしているが集中時間は短い。
指導者の役割と人数[HELP]tkk(担任)
th(教科担任)
mh(教育実習生)
長期目標[HELP]朝の登校時,外靴と上靴を履き替えることができる。
(後期から付け足した年間目標なので短期目標と同じ)
短期目標[HELP]朝の登校時,外靴と上靴を履き替えることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]上靴を持った時に一人で上靴をはく
標的行動(減らしたい行動)[HELP]上靴を持ったまま教室及びプレイルームへ走る
標的行動を取り上げる意義[HELP]室内で上靴をはき続けることの維持
日常生活に必要な動作の獲得
情緒の安定

事例に関する情報[HELP]以前は,室内では裸足で過ごすことが多かった。前期に上靴と靴下を履いて過ごす時間が増えるように指導を行った。(足に汗をかきやすく,靴下が湿ると脱ごうとするのでこまめに着替えるようにした。かかとを踏んでいると脱げやすくなるので,必ず入れるように身体的ガイダンスを行った。また,感覚刺激を求める時や情緒不安定の時は,履かすことをやめた。)
上靴と靴下を履いたままでいることに対しては定着したが,「上靴を履く」ことに対しては,教員が支援すれば,渋々履くという状態で,履き忘れることが多く,足の先を入れてもかかとを入れる指導がさらに必要であった。
問題の推定原因[HELP]1.登校時の下駄箱の周辺は人の姿と声が多く,早くその場から離れたい。
2.その日によって混み具合が異なるので,履く場所を判断するのが難しい。
3.履かなくても気持ち悪くないから忘れる。
4. かかとを入れるためには,しゃがむ必要がある。
5.履いても得することがない。
6.登校→上靴を履く→着替え→遊びの選択というスケジュールである。
想定される解決策[HELP]1.階段下に上靴を履くスペースをつくる。
2.下駄箱の場所を来客用玄関に移動する。
3.身体的ガイダンスと段階に分けたプロンプトで練習をする。
4.専用スペースに椅子を置く。
5の1上靴が履けたらすぐに「手への感覚刺激」を行う。
5の2.上靴が履けたらすぐにお菓子と交換できることを示す具体物を渡す。
6.登校→上靴を履く→プレイルームで遊ぶ→着替えいうスケジュールに変更する。

選択した原因と解決策[HELP]原因は,1・2・3・4・5
解決策は,1・3・4・5の1・6
般化を狙う場面[HELP]昼の登校時
散歩から帰った時
買物学習から帰ってきた時
階段下の廊下(玄関から教室)
指導場面[HELP]朝の登校時
階段下の廊下(玄関から教室)
指導手続き[HELP]介入1
1.Aが登校時,教員は専用の椅子の前で待機する。(外靴を脱がずに逸脱した場合は,玄関へ連れてきて外靴をタッピングして脱ぐことを知らせる。)
2.次の順でプロンプトを行う。(手をパチパチたたいて音をだす→肩をたたいて「座って」という言葉かけをして椅子を指さしする→椅子に座るように身体的ガイダンスを行う)
3.かかとを入れ終わったら(1秒以内)「かしこいー」という言葉かけと同時に手の平への感覚刺激を行う。

介入2
1.Aが登校時,教員は後方で隠れて待機する。(外靴を脱がずに逸脱した場合は,玄関へ連れてきて外靴をタッピングして脱ぐことを知らせる。)
2.Aが上靴を持って椅子の方へ移動することを確認したら,教室で待機する。
3.上靴を履いて教室に入ってきたら,「かしこいー」という言葉かけと同時に手の平への感覚刺激を行う。

利用可能な好子[HELP]手の平への感覚刺激(手をたたいてもらう)
お菓子
教材教具など[HELP]上靴
椅子(座ることのできる台)
記録の取り方[HELP]毎朝記録(当てはまる項目欄に○)プロンプトによって得点
ベースラインは,1と6の項目に○

介入1は2〜6(プロンプトする順番)で当てはまる項目に○
介入2は1と6であてはまる項目に○

1.一人で履ける(椅子に座るか床にしゃがむ)〈4点〉
2.椅子の前に教員がいる〈3点〉
3.手をパチパチさせる音 〈2点〉
4.肩をたたく+「座って」+椅子を指さし〈2点〉
5.椅子に座るように身体的ガイダンス〈1点〉
6.履くことができない〈0点〉




                    
指導期間と達成基準[HELP]指導期間
9月・・・ベースラインの測定
10月から12月中旬まで・・・介入1&介入2

達成基準 
介入1:椅子の前に教員ありで(他のプロンプトなし)自ら履けることが累計10回
介入2:後方又は教室で教員がいる(プロンプトなし)自ら履けることが累計10回

結果[HELP]〈介入1〉「椅子の前に教員ありで履ける」
11月6日に累計10回達成
(10月10・16・17・22・23・29・30・31日
11月1・6日)

〈介入2〉「後方又は教室で教員がいて一人で履ける」
11月22日に累計10回達成
(11月7・8・9・12・13・14・19・20・21・22日)

〈その後〉12月5日時点上靴を持ったまま教室へ来ることが1回あった他は,一人で上靴を履く行動が維持できている。

〈さらにその後〉12月14日〜冬期休業まで欠席をしたため,3週間ぶりに登校したが、上靴を一人で履く行動は維持できていた。
考察[HELP]履く場所を設定し,直後に手の平への刺激を行うことが,Aにとって理解がしやすかったと思われる。また,以前は上靴を持ったまま教室へ行かずにプレイルームに逃げ込むことも多かったので,スケジュールを変更したこともよかったと思われる。

標的行動(上靴を持った時に一人で上靴を履く)ことは達成できた。しかし,「外靴を脱いで靴箱に置く」ことが難しい日がみられた。自分の靴箱の前に人がいて待つことができずに土をさわりに行ったり,教員の方を見ながら走り出したりして外靴を脱ぐように支援することが37%あった。(51回中19回)
短期目標は「一人で履き替えができるようになる」ことであるので,今後はこの行動をどうするかが課題である。

〈さらにその後〉1月8日〜1月17日は、外靴脱ぐ時に支援が必要だったのは、7回中2回。その2回とも苦手な友達と下駄箱でいっしょになり、不安定になってその友達の髪ひっぱりをして大騒ぎしていた。

介入前
A:先行条件 B:行動 C:結果
登校時(外靴を脱いで上靴を持った時)
多くの人の姿
多くの人の声
下駄箱前にスペースなし

上靴を持った時に一人で上靴を履く かかとを入れるためにしゃがむ(↓)
履いても得することがない(↓)
履かなくても違和感なし(ー)
次のスケジュール(着替え)に進む(↓)


介入1
A:先行条件 B:行動 C:結果
登校時(外靴を脱いで上靴を持った時)
多くの人の姿
多くの人の声
教員の言葉かけ
教員の手をたたく音
教員の指さし
教員の身体的ガイダンス
階段下に専用の椅子


上靴を持った時に一人で上靴を履く 直後に手の平への刺激(手をたたいてもらう)(↑)
次のスケジュール(プレイルームで休憩又は紙あそび)に進む(↑)

介入2
A:先行条件 B:行動 C:結果
登校時(外靴を脱いで上靴を持った時)
多くの人の姿
多くの人の声
後方で教員(隠れている)
階段下に専用の椅子
上靴を持った時に一人で上靴を履く 教室で手の平への刺激(↑)
次のスケジュール(プレイルームで休憩又は紙あそび)に進む(↑)

記入日時 2007/10/09/16:52:38

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