対象児のプロフィール |
プロフィール:H(高1女子)自閉症 諸検査:太田のステージ\x{2162}−1 自閉症の特性:偏ったコミュニケーション
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長期目標 |
「これは・・・ですか?」の質問に「はい」「いいえ」で答えることができる。
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短期目標 |
「これは・・・ですか?(名詞に限る)」の質問に「はい」「いいえ」で答えることができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
指導目標 「これは・・・ですか?(名詞に限る)」の質問に「はい」「いいえ」で答えることができる。
標的行動 「これは・・・ですか?(名詞に限る)」の質問に「はい○」「いいえ×」の文字カードを、教師に手渡すことができる。
標的行動を選択した理由 文字カードを利用したのは、「はい」「いいえ」の意味を明確に提示するため。(言語による返答は、「はい、いいえ。」と言ってしまうから。) カードを手渡すのは、「はい」または「いいえ」のどちらかしか選ぶことができないことを、視覚的に提示するため。(指さしだと、教師の表情を見て何度でも両者のカードを指さすから。)
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
指導目標に関する本児の実態 簡単な言語によるコミュニケーションができるが、分からないことを尋ねられた時や、返答に困った時にはエコラリアがでる。 対人関係は、コマーシャルソングのかけ合いをして楽しむことが多く、情報や意思の伝達は少ない。
ベースライン 実施回数:2セッション(9月3日、9月9日) 1セッション:10問
・言語のみで「はい」「いいえ」の返答を求めた時には、教師の表情を見ながら「はい、いいえ。」「はい、いいえ。(教師を見て)いいえ。」と答えた。 ・「いいえ」の意味理解が曖昧。 ・カードが「はい」「いいえ」の文字だけであると文字の意味理解ができず、両者のカードを何度でも指さす。
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般化場面 |
教室内での「これは・・・ですか?(名詞に限る)」の質問に「はい」「いいえ」で答えることができる。
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指導手続 |
1.場の設定 (1)生徒用机に向かい合って座る。 (2)絵カードを指さしながら「これは・・・ですか?」と聞く。 →正解のカードが渡せたら「Hさんまる。」と誉める。 ×不正解のカードを渡そうとした時には、カードを受け取らずに質問を繰り返す。 ×カードを手に取らず言語だけの時には、正解のカードを無言で指さす。 (3)10問して終わる。
2.指導方法 (1)9月30日〜10月3日 絵カードを見ながら、名称を答える質問を10問する。「はい」と「いいえ」の意味理解のために、「はい」と答える質問を10問し、その後「いいえ」と答える質問を10問する。最後に「はい」と「いいえ」が混ざって出てくる質問を10問する。質問の仕方は以下の通り。 教師:(絵カード提示)「これは・・・ですか?」 H :(カードを手渡す) 教師:正解の時「Hさんまる!」 不正解の時「これは・・・ですか?」
(2)10月28日〜11月28日 「はい」と「いいえ」が混ざって出てくる質問を10問する。質問の仕方は次の通り。 教師:(絵カードを見せながら)「これなーに?」 H :「○○。」 教師:「これは・・・ですか?」 H :(カードを手渡す) 教師:正解の時「Hさんまる!」 不正解の時「これは・・・ですか?」
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教材教具など |
文字カード「はい○」「いいえ×」 果物野菜カード10枚
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導場面での記録の取り方 正解であれば○ 不正解であれば×
般化場面での記録の取り方 正解であれば○ 不正解であれば×
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指導期間 |
H15年9月30日〜11月28日(8回)
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考察 |
場所や時間、教具を整えることで、国数の授業ではやりとりの仕方を覚え、カードを手渡すことができるようになった。 突発的に質問したり、国数の時間以外に「これは・・・ですか?」と質問したりすると、正しく返答できない。また、「はい○」「いいえ×」のカードがないと正しく返答できない。
今後の課題としては次のことがあげられる。 ・「はい○」「いいえ×」のカードを利用して、教室内での活動時に「これは・・・ですか?(名詞に限る)」との質問に答えることができる。 ・「ある○」「ない×」の質問に答えることができる。
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