概 要 |
本児はいくつかの要求言語(ことばは不明瞭)を持っているが、適切な場面に適切な言葉での要求ができていない。また、多動で次々と興味が変わってしまうことから行動もバラバラになってしまっているところがある。そのため、自分が要求を出す場面において、教師にうまく伝えられずにイライラして怒ってしまったりすることもよくある。要求を表すカードやことば(本児の実態に合わせたことば)を使って、教師に自分の要求を伝えられることができれば、行動も少し落ち着いてくるのではないかと思う。最終的にコミュニケーション能力の向上につなげていきたい。
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対象児のプロフィール |
O.H 小学部1年生女児 知的障害
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諸検査結果 |
津守式発達検査DQ23(1歳6ヶ月) 2004年入学前実施 SM社会生活能力検査(1歳11ヶ月) 2004年8月14日実施 新版K式発達検査(1歳11ヶ月) 2004年8月9日実施
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障害の特性 |
多動で次から次へと興味が移る 一つの遊びで継続して遊ぶことができない ことばが不明瞭(話ことばは数語)である
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長期目標 |
自分の要求を、ことば(不明瞭でもよい)やカードで教師に伝えることができる。
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短期目標 |
(1)ビデオを見たい時に、カード(ビデオが見たい)を渡し「つけて(不明瞭でもよい)」ということばで教師(担任)に伝えることができる。 (2)ビデオを見たい時に、カード(ビデオが見たい)を渡し「つけて(不明瞭でもよい)」ということばで担任教師以外に伝えることができる。(般化場面の1) (3)ビデオを見たい時に、カード(ビデオが見たい)を渡し「つけて(不明瞭でもよい)」ということばでおうちの人に伝えることができる。(般化場面の2)
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
本児はビデオを見るのが好きで、休み時間はすぐにテレビの所へ行くことが多い。「て・て・てー(つけて)」と言えることもあるが、定着はできていない。遊びの選択の際、カードの使用は経験があるので、ビデオの場面でも有効ではないかと考えた。本児は「て・て・てー」のことばも言えるので、カードと一緒に言えれば伝わりやすいと考える。
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般化場面 |
(1)担任教師以外にビデオを見たいと要求する場面 (2)家庭でビデオが見たいと要求する場面
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指導手続 |
・ベースラインは3日間。カード(ビデオが見たい)を準備し、プロンプトなしでカードとことばでどれだけ要求できたかを記録する。 ・指導方法としてはカードおよびことばが自発的に使用できていない時にことばかけと指差しのプロンプトを出す。
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達成基準 |
(1)ベースライン後、指導を開始する。指導を実施後、正反応数100%が5日間連続でできたら達成とする。 (2)要求があった日だけを取り上げ、正反応数が100%3日間続いたら達成とする。(般化場面1・2)
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導場面 (1)プロンプトなしでカードとことばで自発的に要求できた時・・・○ (2)プロンプト(声かけ・指さし・身体的ガイダンス)をした時・・・×
カードとことばの両方で自発的に要求できた数を正反応数、できなかった場合は誤反応数として入力する。
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指導期間 |
「ベースライン」2004年9月1日から3日 「指導」は9月6日〜10月29日 「般化場面1」は11月9日〜 「般化場面2」は11月8日〜
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結果 |
短期目標については10月29日をもって達成。次の段階として般化場面の記録を取る。
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考察 |
短期目標「ビデオが見たい時に、カードとことばで担任に伝える」は、時間はかかったものの10月29日で達成することができた。カードの使用はけっこうすぐに習得したものの、案外達成するのに時間がかかった。「休み明け」「その日の気分」などによって、誤反応数が見られることがあった。しかし、今ではカードの使用は定着し、要求することができるようになった。
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
ビデオが見たい時、教師に |
《正反応》 (1)カードを渡しながら「て・て・てー (つけて)」と言う 《誤反応》 (2)カードを渡すだけでことばはなし (3)ことばはあるがカードを渡さない |
《正反応》 (1)「じゃあ、つけるよ」と言い、ビデオをつける。 《誤反応》 (2)カードを持たせたまま「何?」と聞き返す。 (3)カードを指さす。 |
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第一系列のタイトル: カードとことばで要求できた正反応数 Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 第二系列のタイトル: 誤反応数Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 |
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記入日時 2006/02/21/13:39:23
No.172
記入者 管理者
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