概 要 |
本児は、一日の活動の流れを理解できており、自分の好きな活動や自信の持てる活動には、意欲的に取り組むことができている。しかし、新しいことや苦手なことに対しては、逃避的で、姿勢を崩し、そのまま活動が止まってしまったり、乱暴なことば(独り言)を発したりする様子がみられる。好きな活動については、意欲的に取り組めるもののその活動をなかなか終えることができず、次の活動に移れないことも多い。そのため次の活動へスムーズに取り組めるよう、支援を考えた。Aさんは,一日の活動の流れを理解できており,自分の好きな活動や自信の持てる活動には,意欲的に取り組むことができている。しかし,新しいことや苦手なことに対しては,逃避的で,姿勢を崩し,そのまま活動が止まってしまったり,乱暴なことば(独り言)を発したりする様子がみられる。また好きな活動についても,意欲的には取り組めるもののその活動をなかなか終えることができず,次の活動に移れないことも多い。そのため次の活動へスムーズに取り組めるよう,支援を考えた。
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対象児のプロフィール |
Aさん 小学部1年生 女児 知的障害
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諸検査結果 |
ITPA (言語学習能力診断検査)言語学習年齢2歳10ヶ月(H17.5実施) 新版K式発達検査2001 3歳1ヶ月(H17.5実施)
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障害の特性 |
概念の形成や経験を応用することが難しい
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長期目標 |
タイマーの音で、自発的に次の活動へ行動を切り替えることができる。
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短期目標 |
遊び終了のタイマー音で、自発的に遊びを終え、教室へ戻り、着席することができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
帰りの会前の休み時間が終わるときに、遊び終了のタイマー音で、自発的に遊びを終え、教室へ戻り、着席することができる。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
本児は、休み時間前に、教室でビデオを見て過ごすこともあるが、わくわく広場や玄関ホール、中庭などで自転車(三輪車)やブランコに乗ったり、砂場で砂遊びをしたりし、活動的に遊ぶことが多い。最近は、他のクラスの友だちとの関わりも増え、一緒に遊ぶことを楽しんでいる。現在、朝や帰りの着替え後、また5時間目前の昼休みの時間など休み時間が少し長くなった場合に、遊びが終われないことが多く、次の活動に移れなかったり、遅れてしまったりすることがみられる。朝の会では、係活動を行うことを楽しみにしているものの、自分の係活動の順番だけを意識して途中から朝の会へ参加する場面がみられる。また、教室入り口まで帰ってきても、入り口付近でうろうろして自分から席に着けないこともある。 タイマーには、興味を持ち、タイマーを渡すとタイマーの動きを見つめていることも多いが、最近ではタイマーの使い方を覚え、タイマーが鳴っても、再び自分でスタートボタンを押し、遊びを続け、決められた時間に教室へ戻れないこともみられるようになってきた。そのため、教員のことばがけが必要であるが、教員のことばがけを待っている様子も伺える。 そこで、遊び終了のタイマー音で自発的に遊びを終えて、次の活動へスムーズに取り組めるようこの目標を設定した。
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指導場面 |
帰りの着替え後の休み時間終了から帰りの会開始までの場面
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指導手続 |
<ベースライン> 従来使用しているタイマーを提示し、帰りの会開始までの時間を本児に伝え、本児がスタートボタンを押し、本児に渡す。 <指導方法1> \x{2460}着替え終了後、帰りの会開始までの時間を本児に伝え、タイマーが鳴ったら帰りの会を始めることを教示し、タイマーの「スタート」ボタンを本児が押す。(タイマーを本児が操作できないようケースに入れる) \x{2461}トークンエコノミーシステムを活用する。タイマーの音で自発的に遊びを終え、教室に戻り、帰りの会に初めから着席し、参加することができた場合のみ帰りの会終了後、トークン(青シール)を1個渡し、カレンダーに貼る。その週のカレンダーにシールをすべて貼ることができると「はなまる」を渡すようにする。
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教材教具など |
・タイマー ・タイマーケース ・タイマーケースを入れる肩下げ袋 ・青シール ・「はなまる」 ・シールを貼るカレンダー
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達成基準 |
・点数評価(2点満点)で、2点が5日間続いたら達成とする。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
記録の取り方:ベースラインは、3日間記録する。 指導場面:帰りの着替え後の休み時間終了後帰りの会開始までの場面 ・プロンプトなしに教室へ戻り、着席する:2点 ・プロンプトなしに教室の入り口まで戻る:1点 ・プロンプトあり:0点 般化場面:指導場面以外の休み時間終了時
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指導期間 |
ベースライン 10月31日〜11月2日 指導方法1 11月7日〜12月21日
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結果 |
【指導方法1】 ベースラインを三日間記録した。ベースラインでは、普段使用しているタイマーを手渡したところ、一日目は教室へ戻り、着席することができたものの(正反応が出たものの)残り二日間は、タイマー音が鳴った後も遊び続け、戻ってくることができなかった(誤反応であった)。 帰りの会開始前の休み時間にタイマーを渡し、遊び終了のタイマー音で、自発的に遊びを終え、教室へ戻り、着席することができるよう指導を開始したところ、指導開始から5日間で達成した。一日目から正反応が出、タイマー音で遊びを終え、教室へ戻り、着席し、帰りの会を始めることができた。タイマーが鳴るとすぐに教室へ戻ってきたり、友だちを誘って戻ってきたり、タイマーが鳴る15〜30秒前に教室へ戻り、「もう鳴りまーす」と教員へ伝え、着席することもみられた。その後も連続して五日間正反応が続き、達成した。達成後も教室へ戻り、着席し、帰りの会へ参加することができるようになった。(誤反応が出ることなく正反応が継続している。)
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考察 |
本児の好きな青色のタイマー、青色シール、「はなまる」が好子となり、強化につながったと思われる。タイマーが鳴り、教室へ戻ると活動の最後には好きなシールがもらえるという手続きが本児にとってわかりやすく、魅力的であったため、帰りの会に初めから参加することができ、タイマーの押し直しもなくなり、教室入り口付近でうろうろすることもなくなったと考えられる。
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参考にした先行研究や事例など |
コラボレーションプロジェクト2004 5−1:遊びから次の学習の始まりまでの切り替えを指導する
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スタートボタンを再び押す(指導前)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
タイマーの音が鳴ったとき |
スタートボタンを再び押す |
・先生が呼びに来てくれる(↑) ・遊びが続けられる(↑) |
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教室に戻る(指導後)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
タイマーの音が鳴ったとき |
教室に戻る |
・シールがもらえる(↑) ・先生にほめられる(↑) |
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スタートボタンを再び押す(指導後)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
タイマーの音が鳴ったとき |
スタートボタンを再び押す |
シールがもらえない(↓) |
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第一系列のタイトル: プロンプトの合計点数 |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導方法1:帰りの会開始前の休み時間終了後、タイマー音で遊びを終え、着席できるまでの指導
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第二系列のタイトル: |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1
Intervention2: 指導手続き2
Intervention3: 指導手続き3
Intervention4: 指導手続き4
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記入日時 2005/09/21/19:32:47
No.22
記入者 Y.T
E-Mail
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