概 要 |
・「自由遊び場面」において、教師からの指示がなくても自発的に活動を開始したり、「自由遊び場面」において意思表明ができるようにする。
・「自由遊びメニューボード」による好みの活動の選択や、他の活動や遊具を要求するために用いたカードの効果について研究する。
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対象児のプロフィール |
知的障害養護学校小学部3年男子
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障害の特性 |
・気が散りやすく,視覚・聴覚刺激に影響されて多動である。 ・電気のスイッチや扇風機,ドアの開閉などにこだわりがある。 ・写真,絵(pcsカードなど)がわかる。 ・日常生活の簡単な指示が理解できる。 ・表出言語は母音のみである。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
・遊びのカードを選択し,そのカードの遊具やおもちゃで遊ぶ行動 ・好みの遊びカードがないときに,他の遊びカードを要求する行動
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
自由遊びの時間は,校内のスイッチを確認して回ったり,体育館で昼休みに行われている「パラパラ」を見ていたりする。スケジュールの中に「ブランコ」や「トランポリン」の写真カードを入れておくとその遊具の場所に移動して遊ぶことができる。タイムログで「終わり」を理解することができ,次の活動に移ることができる。
1回目は,身体ガイダンスが必要であった。2回目は,選択した遊びの場所に移動して遊ぶことはできた。
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般化場面 |
(1)学校:指導者以外の教師にカードを手渡す
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指導手続 |
ベースライン (1)スケジュールボードから指導者の写真カードをはがす。 (2)写真カードを指導者に手渡す。 (3)指導者から示されたメニューボードから遊びのカード(1枚)をはがす。指導者は「何で遊ぶ?」の声かけ。 (4)遊びのカードを指導者に手渡す。 (5)選択した遊びの場所に移動して遊ぶ。
対象児の行動を以上5点についてチェックする。10秒たってもできない場合は,身体的ガイダンスを用いる。遊びの終わりは自由とする。
訓練期 介入1 (1)スケジュールボードから指導者の写真カードをはがす。 (2)写真カードを指導者に手渡す。 (3)指導者からメニューボードを示され「何で遊ぶ」の声かけをされると,メニューボードから遊びのカード(1枚)をはがす。 (4)遊びのカードを指導者に手渡す。 (5)選択した遊びの場所に移動して遊ぶ。 対象児の行動を以上5点についてチェックする。
指導者は3秒たってもできない場合は,遊びカードを指さす。それでもできない場合は遊びカードの指さし+「ちょうだい」のサインと声かけ,手をメニューボードに導く+「ちょうだい」のサインと声かけ,手を取ってカードをはがさせカードも持った手を指導者の方に向ける+「ちょうだい」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。 介入2 (1)指導者がスケジュールボード横にあるメニューボードに遊びカード(1枚)を貼りながら「何で遊ぶ」の声かけをすると,メニューボードから,遊びカード(1枚)をはがす。 (2)遊びのカードを指導者に手渡す。 (3)選択した遊びの場所に移動して遊ぶ。 対象児の行動を以上3点についてチェックする。
指導者は「何で遊ぶ」と声かけをした後,2メートル程離れた位置に立つ。 プロンプターは3秒たってもできない場合は,手渡しの写真カードを見せる。それでもできない場合は写真カード+「O先生に渡して」の声かけ,メニューボードから遊びカードをはがし子どもに手渡す+「O先生に渡して」の声かけ,手を取ってカードをはがさせカードを持った手を指導者の方に向ける+「O先生に渡して」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。
介入3 チェックする対象児の行動は介入2と同じ。ただし,メニューボードに「指導者に遊びカードを手渡している写真」を予め貼り付けておく。また,遊びカードに緑の枠をつける。
指導者は「何で遊ぶ」と声かけをした後,2メートル程離れた位置に立つ。 プロンプターは3秒たってもできない場合は,手渡しの写真カードを指さしする。それでもできない場合は写真カードの指さし+「O先生に渡して」の声かけ,メニューボードから遊びカードをはがし子どもに手渡す+「O先生に渡して」の声かけ,手を取ってカードをはがさせカードも持った手を指導者の方に向ける+「O先生に渡して」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。
介入4 チェックする対象児の行動は介入2と同じ。メニューボードに「指導者に遊びカードを手渡している写真」を貼り付けておく。また,遊びカードに緑の枠をつける。 指導者は「何で遊ぶ」と声かけをしながら「ちょうだい」のサインをして,2メートル離れた位置に立つ。 指導者は3秒たってもできない場合は,手渡しの写真カードを指さしする。それでもできない場合は写真カードの指さし+「ちょうだい」の声かけ,メニューボードから遊びカードをはがし対象児に手渡す+「ちょうだい」の声かけ,手を取ってカードをはがさせカードも持った手を指導者の方に向ける+「ちょうだい」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。
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教材教具など |
メニューボード,指導者に遊びカードを手渡している写真,遊びカード
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達成基準 |
第1試行,第2試行ともに3点以上が3回連続
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
(介入1) プロンプトなし・・・5点 指導者の写真カードを指さすとできる・・・4点 指導者の写真カードを指さし,「ちょうだい」と手を出すとできる・・・3点 手を取ってメニューボードの近くに導き,「ちょうだい」と手を出すとできる・・・2点 手を取ってカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「ちょうだい」と声をかけるとできる・・・1点 遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・・0点
(介入2) プロンプトなし・・・5点 プロンプターが手渡しの写真カードを見せるとできる・・・4点 プロンプターが手渡しの写真カードを見せ,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・3点 プロンプターがメニューボードの遊びカードをはがして手渡し,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・2点 プロンプターが手を取って遊びカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・1点 遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・0点
(介入3) プロンプトなし・・・5点 が手渡しの写真カードを指さすとできる・・・4点 プロンプターが手渡しの写真カードを指さし,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・3点 プロンプターがメニューボードの遊びカードをはがして手渡し,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・2点 プロンプターが手を取って遊びカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・1点 遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・0点
(介入4) プロンプトなし・・・5点 指導者が手渡しの写真カードを指さすとできる・・・4点 指導者が手渡しの写真カードを指さし,「ちょうだい」と声かけをするとできる・・・3点 指導者がメニューボードの遊びカードをはがし,手渡し,「ちょうだい」と声かけをするとできる・・・2点 指導者が手を取って遊びカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「ちょうだい」と声かけをするとできる・・・1点 遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・0点
2試行行い,記録を取る。
グラフ下 第一系列のタイトル: 指導者にカードを手渡し,選択したカードの遊びをする得点(第1試行) Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4 第二系列のタイトル: 指導者にカードを手渡し,選択したカードの遊びをする得点(第2試行) Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
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参考にした先行研究や事例など |
メモ 対象児が指さしでスケジュールを確認した後,すぐ遊びカードを示し,「何で遊ぶ」の声かけをする。注意がすぐ逸れてしまうので。
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介入1
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
自由遊び時間に遊ぶとき |
<正反応> a)指導者の写真カードをはがしてから手渡す。 b)メニューボードの遊びカードをはがして手渡す。 c)遊びカードの遊びをする。
<誤反応> a)遊びカードをはがさず,指さしをする。 b)選択したカードと違う遊びをする。 c)逸脱しようとする。
<無反応> a)3秒間何もしない |
<正反応> a)手を出して受け取る。 b)手を出して受け取る。 c)指導者と一緒に遊ぶ。
<誤反応> a)カードを指さす。それでもできない場合は「ちょうだい」と手を出す。 b)「ちがうよ」と声かけをし,遊びカードを見せる。 c)行こうとする方向をブロックする。
<無反応> a)写真カードを指さす。それでも,正反応が出ない場合は,「ちょうだい」と声かけをする。
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介入2,介入3
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
自由遊び時間に遊ぶとき |
<正反応> a)指導者の写真カードをはがしてから手渡す。 b)メニューボードの遊びカードをはがして手渡す。 c)遊びカードの遊びをする。
<誤反応> a)遊びカードをはがさず,指さしをする。 b)選択したカードと違う遊びをする。 c)逸脱しようとする。
<無反応> a)3秒間何もしない。 |
<正反応> a)手を出して受け取る。 b)手を出して受け取る。 c)指導者と一緒に遊ぶ。
<誤反応> a)プロンプターがカードを指さす。それでも,正反応が出ない場合は,「o先生に渡して」と声かけをする。 b)指導者が「ちがうよ」と声かけをし,遊びカードを見せる。 c)指導者が行こうとする方向をブロックする。
<無反応> a)プロンプターが写真カードを指さす。それでも,正反応が出ない場合は,「o先生に渡して」と声かけをする。 |
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介入4
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
自由遊び時間に遊ぶとき |
<正反応> a)指導者の写真カードをはがしてから手渡す。 b)メニューボードの遊びカードをはがして手渡す。 c)遊びカードの遊びをする。
<誤反応> a)遊びカードをはがさず,指さしをする。 b)選択したカードと違う遊びをする。 c)逸脱しようとする。
<無反応> a)3秒間何もしない。 |
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記入日時 2006/02/27/14:42:03
No.253
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