2004-39



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自由遊び場面での選択スキルの使用
概 要
・「自由遊び場面」において、教師からの指示がなくても自発的に活動を開始したり、「自由遊び場面」において意思表明ができるようにする。

・「自由遊びメニューボード」による好みの活動の選択や、他の活動や遊具を要求するために用いたカードの効果について研究する。

対象児のプロフィール
知的障害養護学校小学部3年男子

諸検査結果
太田のStage\x{2161}

障害の特性
・気が散りやすく,視覚・聴覚刺激に影響されて多動である。
・電気のスイッチや扇風機,ドアの開閉などにこだわりがある。
・写真,絵(pcsカードなど)がわかる。
・日常生活の簡単な指示が理解できる。
・表出言語は母音のみである。

指導者
OH

共同研究者:KS

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
・遊びのカードを選択し,そのカードの遊具やおもちゃで遊ぶ行動
・好みの遊びカードがないときに,他の遊びカードを要求する行動

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
自由遊びの時間は,校内のスイッチを確認して回ったり,体育館で昼休みに行われている「パラパラ」を見ていたりする。スケジュールの中に「ブランコ」や「トランポリン」の写真カードを入れておくとその遊具の場所に移動して遊ぶことができる。タイムログで「終わり」を理解することができ,次の活動に移ることができる。

1回目は,身体ガイダンスが必要であった。2回目は,選択した遊びの場所に移動して遊ぶことはできた。

般化場面
(1)学校:指導者以外の教師にカードを手渡す

指導場面
2時間目終了後の自由遊び時間

指導手続
ベースライン
 (1)スケジュールボードから指導者の写真カードをはがす。
 (2)写真カードを指導者に手渡す。
 (3)指導者から示されたメニューボードから遊びのカード(1枚)をはがす。指導者は「何で遊ぶ?」の声かけ。
 (4)遊びのカードを指導者に手渡す。
 (5)選択した遊びの場所に移動して遊ぶ。

 対象児の行動を以上5点についてチェックする。10秒たってもできない場合は,身体的ガイダンスを用いる。遊びの終わりは自由とする。
    

訓練期
介入1
 (1)スケジュールボードから指導者の写真カードをはがす。
 (2)写真カードを指導者に手渡す。
 (3)指導者からメニューボードを示され「何で遊ぶ」の声かけをされると,メニューボードから遊びのカード(1枚)をはがす。 
 (4)遊びのカードを指導者に手渡す。
 (5)選択した遊びの場所に移動して遊ぶ。
対象児の行動を以上5点についてチェックする。

指導者は3秒たってもできない場合は,遊びカードを指さす。それでもできない場合は遊びカードの指さし+「ちょうだい」のサインと声かけ,手をメニューボードに導く+「ちょうだい」のサインと声かけ,手を取ってカードをはがさせカードも持った手を指導者の方に向ける+「ちょうだい」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。 
                   
介入2
 (1)指導者がスケジュールボード横にあるメニューボードに遊びカード(1枚)を貼りながら「何で遊ぶ」の声かけをすると,メニューボードから,遊びカード(1枚)をはがす。
 (2)遊びのカードを指導者に手渡す。
 (3)選択した遊びの場所に移動して遊ぶ。
対象児の行動を以上3点についてチェックする。

指導者は「何で遊ぶ」と声かけをした後,2メートル程離れた位置に立つ。 
プロンプターは3秒たってもできない場合は,手渡しの写真カードを見せる。それでもできない場合は写真カード+「O先生に渡して」の声かけ,メニューボードから遊びカードをはがし子どもに手渡す+「O先生に渡して」の声かけ,手を取ってカードをはがさせカードを持った手を指導者の方に向ける+「O先生に渡して」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。

介入3      
 チェックする対象児の行動は介入2と同じ。ただし,メニューボードに「指導者に遊びカードを手渡している写真」を予め貼り付けておく。また,遊びカードに緑の枠をつける。

指導者は「何で遊ぶ」と声かけをした後,2メートル程離れた位置に立つ。
プロンプターは3秒たってもできない場合は,手渡しの写真カードを指さしする。それでもできない場合は写真カードの指さし+「O先生に渡して」の声かけ,メニューボードから遊びカードをはがし子どもに手渡す+「O先生に渡して」の声かけ,手を取ってカードをはがさせカードも持った手を指導者の方に向ける+「O先生に渡して」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。

介入4      
 チェックする対象児の行動は介入2と同じ。メニューボードに「指導者に遊びカードを手渡している写真」を貼り付けておく。また,遊びカードに緑の枠をつける。
指導者は「何で遊ぶ」と声かけをしながら「ちょうだい」のサインをして,2メートル離れた位置に立つ。
指導者は3秒たってもできない場合は,手渡しの写真カードを指さしする。それでもできない場合は写真カードの指さし+「ちょうだい」の声かけ,メニューボードから遊びカードをはがし対象児に手渡す+「ちょうだい」の声かけ,手を取ってカードをはがさせカードも持った手を指導者の方に向ける+「ちょうだい」の声かけ,の順でプロンプトを行う。遊びの終わりは自由とするが,一つの遊びが5分を超えるときはタイムログで知らせ,トランジッションカードを渡す。

教材教具など
メニューボード,指導者に遊びカードを手渡している写真,遊びカード

達成基準
第1試行,第2試行ともに3点以上が3回連続

記録の取り方(般化場面と指導場面)
(介入1)
プロンプトなし・・・5点
指導者の写真カードを指さすとできる・・・4点
指導者の写真カードを指さし,「ちょうだい」と手を出すとできる・・・3点
手を取ってメニューボードの近くに導き,「ちょうだい」と手を出すとできる・・・2点
手を取ってカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「ちょうだい」と声をかけるとできる・・・1点
遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・・0点

(介入2)
プロンプトなし・・・5点
プロンプターが手渡しの写真カードを見せるとできる・・・4点
プロンプターが手渡しの写真カードを見せ,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・3点
プロンプターがメニューボードの遊びカードをはがして手渡し,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・2点
プロンプターが手を取って遊びカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・1点
遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・0点

(介入3)
プロンプトなし・・・5点
が手渡しの写真カードを指さすとできる・・・4点
プロンプターが手渡しの写真カードを指さし,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・3点
プロンプターがメニューボードの遊びカードをはがして手渡し,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・2点
プロンプターが手を取って遊びカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「O先生に渡して」と声かけをするとできる・・・1点
遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・0点

(介入4)
プロンプトなし・・・5点
指導者が手渡しの写真カードを指さすとできる・・・4点
指導者が手渡しの写真カードを指さし,「ちょうだい」と声かけをするとできる・・・3点
指導者がメニューボードの遊びカードをはがし,手渡し,「ちょうだい」と声かけをするとできる・・・2点
指導者が手を取って遊びカードをはがさせ,カードを持った手を指導者の方に向け,「ちょうだい」と声かけをするとできる・・・1点
遊びカードを持たせ,指導者の方に手を向けても手渡すことができない・・・0点


2試行行い,記録を取る。

グラフ下
第一系列のタイトル: 指導者にカードを手渡し,選択したカードの遊びをする得点(第1試行)
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル: 指導者にカードを手渡し,選択したカードの遊びをする得点(第2試行)
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4

指導期間
9/10〜  週1,2回の指導

参考にした先行研究や事例など
メモ
対象児が指さしでスケジュールを確認した後,すぐ遊びカードを示し,「何で遊ぶ」の声かけをする。注意がすぐ逸れてしまうので。

介入1
A:先行条件 B:行動 C:結果
自由遊び時間に遊ぶとき <正反応>
a)指導者の写真カードをはがしてから手渡す。
b)メニューボードの遊びカードをはがして手渡す。
c)遊びカードの遊びをする。

<誤反応>
a)遊びカードをはがさず,指さしをする。
b)選択したカードと違う遊びをする。
c)逸脱しようとする。

<無反応>
a)3秒間何もしない
<正反応>
a)手を出して受け取る。
b)手を出して受け取る。
c)指導者と一緒に遊ぶ。

<誤反応>
a)カードを指さす。それでもできない場合は「ちょうだい」と手を出す。
b)「ちがうよ」と声かけをし,遊びカードを見せる。
c)行こうとする方向をブロックする。

<無反応>
a)写真カードを指さす。それでも,正反応が出ない場合は,「ちょうだい」と声かけをする。

介入2,介入3
A:先行条件 B:行動 C:結果
自由遊び時間に遊ぶとき <正反応>
a)指導者の写真カードをはがしてから手渡す。
b)メニューボードの遊びカードをはがして手渡す。
c)遊びカードの遊びをする。

<誤反応>
a)遊びカードをはがさず,指さしをする。
b)選択したカードと違う遊びをする。
c)逸脱しようとする。

<無反応>
a)3秒間何もしない。
<正反応>
a)手を出して受け取る。
b)手を出して受け取る。
c)指導者と一緒に遊ぶ。

<誤反応>
a)プロンプターがカードを指さす。それでも,正反応が出ない場合は,「o先生に渡して」と声かけをする。
b)指導者が「ちがうよ」と声かけをし,遊びカードを見せる。
c)指導者が行こうとする方向をブロックする。

<無反応>
a)プロンプターが写真カードを指さす。それでも,正反応が出ない場合は,「o先生に渡して」と声かけをする。


介入4
A:先行条件 B:行動 C:結果
自由遊び時間に遊ぶとき <正反応>
a)指導者の写真カードをはがしてから手渡す。
b)メニューボードの遊びカードをはがして手渡す。
c)遊びカードの遊びをする。

<誤反応>
a)遊びカードをはがさず,指さしをする。
b)選択したカードと違う遊びをする。
c)逸脱しようとする。

<無反応>
a)3秒間何もしない。
 


記入日時 2006/02/27/14:42:03  No.253
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