2005-05



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記入日時 /  No.

小学部中学年自閉症男児のタイマー音で自主的にスケジュールに戻ることができるための指導
概 要
本児は、障害の特性から多動性・衝動性がみられ、同じ場所で居続けることや同じ遊びをし続ける等、興味の持続が難しいことが多くみられる。遊びの時間では、遊び場所を児童が選択しているが、遊び場所を選択しても、選択した場所で居続けることが難しく、次々と遊び場所を移動し、居場所がわからなくなることが多い。学校外へ行くことはないが、行動範囲が広く農園や運動場、駐車場、高等部棟まで行くことがある。そこで、教室外の場所にいても、タイマーの音やトランジッションカードを手がかりに自主的にスケジュールに戻る習慣を身につけて欲しいと考えた。

対象児のプロフィール
E 小3 自閉症

諸検査結果
PEP-R発達検査結果 2歳2ヶ月(H15年7月) 

障害の特性
多動性、衝動性がある。聴覚過敏。パニック時には、まれに激しい自傷行為がみられる。

指導者
担任2名

長期目標
タイマーの音を聞いて、自主的にスケジュールに戻ることができる。

短期目標
遊びの時間の終わりにトランジッションカードを受け取り、スケジュールに戻ることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
授業の終わりにトランジッションカードを受け取り、スケジュールに帰ることができる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
4限目の授業が終わった後、教員からトランジッションカードを受け取ってもスケジュールに戻らず、その時の気分で行きたい場所に行ってしまい、居場所がわからなくなることが多い。教員が側にいれば、一緒にスケジュールに戻ることができるが、教員が側にいなければ、自主的にスケジュールに戻れることが少ない。本児にとっては、自由に遊ぶことができる遊びの時間がなによりの好子となっている。

般化場面
遊びの時間終了時や他の授業の終了時等、スケジュールに戻る場面。

指導場面
4限目の授業(体育、音楽)終了時

指導手続
\x{2460}スケジュールに4限目の授業の後、遊びのカードを挿んでおく。
\x{2461}授業が終了したら、教員がトランジッションカードを児童に手渡す。
\x{2462}教員は先に教室に帰り、待機しておく。カードを渡してから5分以内に児童が帰ってこない場合は、児童を迎えに行き声をかけて教室へ帰ることを促す。
\x{2463}児童がスケジュールに帰ることができれば、すぐに遊びの選択できるようにする。

教材教具など
トランジッションカード

達成基準
トランジッションカードを受け取った後、教員から声かけ、身体的ガイダンスのプロンプトが必要なく一人でスケジュールへ戻ることが5日連続で続けば達成。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
・ベースラインは5日間とする。

・ベースライン1
 トランジッションカードを受け取ってから、教室に戻るまでの教員からのプロンプトの合計点数を記録する。(教員が後ろからついていく)

 記録方法
 プロンプトなしで教室へ戻ることができた →0点
 声かけのプロンプトが必要だった     →1点
 身体的ガイダンスのプロンプトが必要だった→2点

・ベースライン2
 トランジッションカードを受け取ってから、教員のプロンプトなしで教室に戻ることができたかできたかったかの正誤反応を記録する。(教員は児童から見えない場所に待機する)

 記録方法
 プロンプトなしで教室へ戻ることができた
 →正反応
 プロンプトなしで教室へ戻ることができなかった
 →誤反応

結果
 ベースラインを記録した結果、3日目以降の声かけ・身体的ガイダンスのプロンプトが必要なくなった。指導をしようと後ろからついてくる担任の姿が、児童にとってのプロンプトとなっているのではないかと考え、担任が児童の視界からいなくなった場合のベースラインを取り直すことにした。

 担任が児童の視界からいなくなった場合のベースラインを取り直したが、ベースラインの時点で目標を達成し、指導の必要がなかった。

考察
 以上の結果には、同じころに指導を始めた「行きたい場所を教員に声で伝える」という指導が関係しているのではないかと考えている。この指導を始めたことで以下の点が児童にとって目標達成を促す力になったのではないかと考える。

1遊べる場所の選択を増やしたことで、休み時間になれば自分の好きな所へ教員の許可を得て行くことができるようになったこと。
 以前は、行きたい場所があることを教員に伝える手段がなく、教員のいない間にこっそり行くという行動が多々見られた。教員の許可を得て行くことで、報告をすれば、遊びの時間にいつでも行けることがわかり、授業の終わりにこっそり遊び場所に移動するという行動がなくなった。

2新しい好子の出現。
 教員が用意したテレビゲームが気に入り、遊びの時間に頻繁にゲームで遊ぶようになった。教室でゲームがしたいために、授業場所から自主的に帰る行動が増えたのではないかと考える。

参考にした先行研究や事例など
2003池田小学部ケース1


第一系列のタイトル: プロンプトの合計点数
Baseline1: ベースライン1   Baseline2: ベースライン2   InterVention2: 指導方法2  
記入日時 2005/09/21/20:07:25  No.23
記入者 K,M S,T  E-Mail

小学部中学年の自閉症児が自主的にスケジュールへ戻るための指導
指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
タイマー学習の時間にタイマーの音が鳴ったら、自主的にスケジュールへ戻ることができる。

般化場面
家庭での遊び

指導場面
2校時後の休み時間後と昼休み後

指導手続
ベースライン
\x{2460}児童が操作できないようにケースに入れられたタイマーを手渡し、遊びの選択をうながす。
\x{2461}セットされたタイマーが鳴る頃に教員が遊び場所に移動し、児童に見つからないように見守る。
\x{2462}タイマーが鳴ったら15秒待ち、児童が移動する様子がなければ児童の前に現れ、視線を送る。
\x{2463}それでも移動する様子がなければ、声をかけたり、身体的ガイダンスを用いて教室へ戻ることを促す。
・ベースラインでは、休み時間ごとにタイマーを渡す。
・タイマーの音でスケジュールに戻ることのできた割合を記録。
指導場面1
・タイマー学習の時間を2校時後の休み時間後と昼休み後と設定しEくんのスケジュールに、タイマー学習カードと、ごほうびカードを入れておく。
・児童の好子となる物を4種類ごほうびボードを作成し用意しておく。
・設定時間○秒でスケジュールに戻る学習を行う。
step1 
\x{2460}児童がスケジュールを確認に来た時、タイマー学習カードを入れる箱を所定の場所に設置しておく。
\x{2461}児童がカードを取り所定の場所に着くと、タイマー学習を始める挨拶をして、10秒で鳴るようにセットしたタイマーを渡しながら「鳴ったらスケジュールに戻ってよ」と声をかける。
\x{2462}タイマー音が鳴りスケジュールに戻り、ごほうびカードを児童が取ったらすぐに教員が、ごほうびボードを渡す。
\x{2463}選んだ遊びを渡し、5分間タイマーをセットする。
\x{2464}5分経過したらトランジッションカードを渡す。
・step2〜step5までは10秒ずつタイマーの設定時間を長くしていく。
・step6〜step15までは1分ずつタイマーの設定時間を長くしていく。

教材教具など
タイマー、タイマー学習カード、ごほうびボード、ゲーム

達成基準
教員のプロンプトなしでスケジュールに戻ることが5回連続でできれば達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
・タイマーの音でスケジュールに戻ることのできた割合を記録する。
・プロンプトなしでスケジュールに戻ることができるまでは、誤反応として記録するが、ごほうびは有りとする。正反応が出てから後の誤反応は、ごほうび無しとする。


指導期間
step1
12月5日〜

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
休み時間にタイマーの音が鳴る スケジュールに戻る 次の活動がわかる(−)(↓)
ごほうびなし(↓)

指導場面1
A:先行条件 B:行動 C:結果
タイマー学習時にタイマーの音が鳴る。 スケジュールに戻る ごほうびがもらえる(↑)
ほめられる(↑)


第一系列のタイトル: スケジュールにプロンプトなしで帰ってこれた割合
Baseline: ベースライン   InterVention1: 指導方法1   InterVention2: 指導方法2  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2005/11/18/20:17:38  No.69
記入者 K.M. S.T.  E-Mail

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