対象児のプロフィール |
Y.T 高等部2年 男子 自閉症
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諸検査結果 |
TK式 田中ビネー知能検査(H10年) 生活年齢 10歳3月 精神年齢 3歳5月 知能指数 33
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障害の特性 |
基本的生活習慣は,ほとんど自立できているが,整理整頓や後かたづけができない。自分のものと他人のものの区別はなんとなくついているが,他人のものを勝手に使ったり持って帰ってしまうことがある。
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長期目標 |
教師の指示なしで,使ったものを決められた場所に戻すことができる
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短期目標 |
教師の指示なしで,使ったものを決められた一定の場所に入れることができる
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
色鉛筆を棚の上にあるかごに入れる
理由:対象となる生徒は,特定のもの(連絡帳)以外は教師の指示がなければ使った後の片づけをすることがほとんどできない。片づけができても,近くにあるロッカーに投げ込んだり取り出してきた場所と違う場所に戻す場合が多い。そのため,ものを痛めたりなくしたりすることが多く,今後の生活において使ったものを戻すことは必要であると考えたから。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
塗り絵をした後は使用した色鉛筆を机の上に出したまま次の活動(朝の会)をしたり,読み終えた本や遊んだカードは近くのロッカーに投げ入れる。
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般化場面 |
毎日1校時日生の時間と帰りの会前の塗り絵の時間 スケジュールボードに記載
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指導場面 |
毎日1校時日生の時間と帰りの会前の塗り絵の場面 塗り絵に使った色鉛筆を決められたかごに入れる
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指導手続 |
指導1 1.朝の流れ(帰りの流れ)を示したスケジュールボードの「ぬりえ」の後に「かたづけ」を入れる。かごに「ここにいろえんぴつをかたづけます。」と書いてあるカードを貼る。 2.できなければ教師がプロンプトを行う。 \x{2460}スケジュールボードを見せる \x{2461}\x{2460}+教師が「かたづけ」を指さす \x{2462}\x{2461}+「かたづけします」の声かけ 3.片づけができれば,ほめて教師と一緒に遊ぶ。
指導2 1.かごに貼ってあるカードを取り,スケジュールボードのみにする。 2.以降は指導1と同じ
指導3 1.スケジュールボードから「かたづけ」をはずす。 2.以降は指導2と同じ
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教材教具など |
塗り絵 色鉛筆 スケジュールボード かご かごに貼り付けるカード
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達成基準 |
満点16点(朝夕各8点)のうち連続して3日間14点以上とれる。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
プロンプトの回数を点数化する。 減点方式 持ち点8点として
a.ボードを見せる・・・ −2点 b.ボードを見せる+指さし・・・ −4点 c.ボードを見せる+指さし+声かけ・・・ −6点 d.片づけなかった・・・−8点
プロンプトは各1回のみとし色鉛筆をかごに入れた時点での減点を行う。
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指導期間 |
10月18日〜11月30日
ベースライン 10月18日〜10月26日
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結果 |
指導1,2,3ともに14点以上とれた日が3日以上続いた。
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考察 |
対象児は教師の声かけをよく聞き活動をすることができるので,色鉛筆の片づけもできるのだと思っていた。 しかし,今回の研究で耳からの情報よりも,目からの情報の方が対象児にとってわかりやすいのだと感じた。 また,「片づけ」という言葉の意味を十分に理解していなかったと考えられる。 「片づけ」という曖昧な表現では対象児に理解しがたく,場面を塗り絵の後の色鉛筆をかごに入れるという動作に限定すると対象児もよく理解できていたように思う。 場面を細かく区切り,何をどうするのかということを明確にして視覚からの情報を与えると対象児は理解して行動することができた。 よって,場面をどんどん変えていくことでいろいろな場面の般化ができると考えられる。
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参考にした先行研究や事例など |
メモ 指導1 ・スケジュールボードに「片づけ」を入れる ・色鉛筆と塗り絵が入っているかごに「片づけます」カードをつける 指導2 ・スケジュールボードに「片づけ」を入れる ・かごのカードは除く 指導3 ・スケジュールボードから片づけをはずす
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ビフォー
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
塗り絵が終わった時 教師に終わりを告げられた時 |
色鉛筆をかごに入れる |
次の活動への移動が遅れる(↓) |
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アフター
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
色鉛筆を戻すかごに「色鉛筆をかごに入れます。」という紙が貼ってあり,教師に終わりを告げられたとき |
色鉛筆をかごに入れる |
教師に遊んでもらえる(↑) |
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アフター
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
スケジュールボードの塗り絵の次に「片づけ」の項目があり,教師に終わりを告げられたとき |
色鉛筆をかごに入れる |
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第一系列のタイトル: Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4 第二系列のタイトル: Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4 |
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記入日時 2006/02/21/15:15:32
No.181
記入者 管理者
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