2004-47



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要求カードを教師に手渡す
概 要
歯磨きを一人で行い、教師に仕上げ磨きをしてもらうことになっている。音声言語はもっているが、機能的な利用が難しいために、文字カードを使って要求するように設定した。
カードを相手に渡すことを理解できても、教師の対応の不十分さから生徒が立っている場所でカードを振っても生徒のところまで駆けつけて仕上げ磨きを重ねていたこともあり、その場で立ったままカードを振るという行動を強化し続けてしまった。
できれば、相手のところまで手渡しができるようになってもらいたいと考えた。

対象児のプロフィール
高等部1年
診断名:自閉症

諸検査結果
太田のStage\x{2161}

障害の特性
変化への抵抗、ルーティンへのこだわり
視覚優位の情報処理、偏ったコミュニケーションの発達

指導者
N.I

長期目標
学校生活の予想される要求場面で文字カードを相手に手渡して要求する。

短期目標
学校生活で予想される場面(歯磨き、連絡帳、課題)で文字カードを教師に手渡して要求する。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
ステップ1
 教師の腕にセットされたポケットに文字カードを入れる。
ステップ2
 教師の手首にセットされたポケットに文字カードを入れる。
ステップ3
 教師の手のひらにセットされたポケットに文字カードを入れる。
ステップ4
 教師の手のひらに文字カードを手渡す。

<理由>
対象生徒は、相手に自分の要求を伝えるという意思は強くもっているものの、手を振ったり、場面とは関係のない言葉の繰り返しで伝えようとするために、思いが伝わらないことでストレスをためてしまう傾向がある。
そこで、相手がわかるような文字カードの使用ができるようになることで、スムーズに自分の意思を伝えられるようになることを意図して設定した。
ただし、教師の対応の不十分さから自分の立っている場所からカードを振って注意喚起して教師に受け取らせるということが定着してしまったために、本来の目的である教師に手渡すことを目指すこととした。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
ルーティンに従う傾向が強く、一度覚えた方法をかたくなに守る。故に変化に対しての抵抗が強く、心理的な不安定に陥ることが多い。
コミュニケーション面では、獲得している限られた言葉を繰り返し発するので、要求場面とは関係のない言葉で訴えられるために、要求された側は意味が分からず対応できず、心理的な不安定に陥ると言った悪い結果がよく見られる。

般化場面
(1)N.I以外の教師
(2)歯磨き以外の場面
(3)歯磨き要求以外の内容

指導場面
歯磨きの時

指導手続
\x{2460}歯磨き場所の生徒の目のつく場所に要求カードをセッ トする。
\x{2461}教師は、<ステップ1:左腕にカードポケット><ステップ2:手首にポケット><ステップ3:手のひらにポケット>を準備する。
\x{2462}生徒がカードをもって振っている場合は、指さしでポケットの位置を知らせる。
\x{2463}ポケットに入れることができれば仕上げ磨きをする。
<ステップ4>
\x{2460}同上
\x{2461}机に座って待つ。
\x{2462}生徒が教師に手渡しにくるまで待つ。

教材教具など
仕上げ磨き要求カード・ポケット
ステップ\x{2460}〜\x{2462}教師の腕にセットするポケット

達成基準
ステップ\x{2460}〜\x{2462}はそれぞれ3回連続して自発的にポケットにカードを入れることができれば合格。
ステップ\x{2463}は、教師の援助なしに5回連続して教師にカードを手渡すことができれば合格。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
教師のプロンプトの有無で記録を取る。
 プロンプトなし…2点 プロンプトあり…1点
 プロンプトありでもってくることができない…0点

教師との距離は,N.I(2月:3m),他の教師(4〜5m)

指導期間
ステップ1  1月17日〜 1月21日
ステップ2  1月24日〜 1月28日
ステップ3  1月31日〜 2月 2日
ステップ4  2月 3日〜 2月25日

結果
標的行動及び人の般化も達成。
・各ステップ共に順調に推移することができた。ステップ1〜3までは、生徒からのモーションが起きてからカードポケットを示すプロンプトを出すことが必要であったが、ステップ4になるとプロンプトなしでも生徒から教師に手渡すことができるようになってきた。
・ステップ4に入ると特定の教師に限らず比較的距離的に近い教師や大人にカードを手渡すことができるようになった。
・給食場面以外でも報告カードなどを教師に手渡すことができるようになってきた。

考察
・これまでの教師の介入のタイミングが早かったこともあり、生徒から教師に手渡そうとすることを阻害してしまっていた。
・そのために、介入のタイミングを遅らせることで生徒の自発的な動きを導き出すことができた。

要求カードを教師に手渡す
A:先行条件 B:行動 C:結果
仕上げ磨きの時に <ステップ\x{2460}\x{2461}\x{2462}>
教師の腕・手首・手のひらのポケットにカードを入れることができる。
<ステップ4>
教師に要求カードを手渡すことができる。
仕上げ磨きをしてくれる。↑


第一系列のタイトル:step1: ステップ1 step2: ステップ2 step3: ステップ3 step4: ステップ4 Intervention4: 指導方法4   第二系列のタイトル:Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4   
記入日時 2006/02/21/14:50:38  No.177
記入者 管理者  E-Mail

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