200603



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母が出かけるときに一定時間家で遊ぶことができる
対象児のプロフィール
K児
小学3年生
女児
自閉症

諸検査結果
S-M社会生活能力検査:4歳0ヶ月

指導者
YM

長期目標
母(父)が出かけるとき、自分は一緒に出かけられないことを知り、一定時間家で別の遊びをしていることができる

短期目標
母(父)が出かけるとき、遊びブックの車カードに×印がついているのを見て、自分は一緒に出かけられないことを知り、母(父)が帰宅するまで家で別の遊びをしていることができる

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
○標的行動
母(父)が帰宅するまでの時間、遊びブックから好きな遊びを選択して遊ぶことで、ほかの家族と一緒に留守番をすることができる

○この標的行動を選んだ理由
本児は外出して買い物に行くのが大好きである。母(父)が出かけるときには、一緒に出かけようとする。どうしても一緒に出かけられない事態もあるが、その場合においてもついていけると思い、でかけようとする行動が見られる。
そこで、まず、「視覚的手がかりによって本児は一緒にでかけられないことを知る」ことができるのを目標とした。遊びの選択ブックに10種程度の遊びカード提示し、その中の2〜4種の遊びカードに×印をして添付しておくことにした。学校生活ではこのシステムをよく理解し適応できていたこともあり、家庭生活においても×印があるとその活動は選択できないと理解し、別のカードを選択することができた。
続いて、遊びブックに車カードを加え、出かけられないときは×印をつけ、出かけられるときは何もつけずにしておいた。出かける前にはこの遊びブックを提示することにした。すると、でかけられないときは車カードを選択せず、別の遊びカードを選択することができた。しかし、母(父)を見送った後に涙を流して泣く、といった行動が見られた。
そこで、母(父)が出かけ留守番をした後、帰宅した母(父)と買い物に出かけられるように、事後に強化子を加えて、この事例に取り組むことにした。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
カードに×印をしているとそのカードは選択できないことがわかり、別のカードを選択する。しかし、母(父)を見送った後、別の遊びで遊ぶものの、出かけたいという気持ちが強く、気持ちの切り替えができず、5分ほど泣くといった様子が見られる。

般化場面
1)家庭:母(父)が30分以上でかけたとき
2)家庭:母(父)が1時間以上でかけたとき

指導場面
毎日
(母もしくは父が外出する場面)

教材教具など
遊びブック
遊びカード(お絵かき、ぬりえ、貼り絵、キックボード、ぬいぐるみ、車等)
ただし、母(父)が出かけるときには車カードに×シールを貼って選択できないようにしておく)
財布(母が帰宅後買い物に行くときに使用する。)

達成基準
父母が外出中、遊びブックからカードを選択して遊ぶことができることが2日間続いたとき。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
毎日、母(父)が外出する機会を設ける。
母(父)が外出中、遊びブックからカードを選択して待つことができたときは1点、
選択せず待つことができなかったときは0点とした。
(ただし、今回の指導において、待つことができなかったときには、本児が泣いたり後をついてきたことで、父母が外出に連れて行った場合も含んでいる)

指導期間
8月7日〜22日

結果
母や父の外出時には毎回、外出ができると思い、自らかばんを準備する様子がうかがえた。外出できないことを伝えようと遊びブック(×印の入った車カードを含む)を提示すると、泣いたり後をついてくる行動が見られた。母によるABC分析の記録(10試行の記録)を見るといかの3パターンに分けられる。

\x{2460}10試行中5回
A:父母が外出するときに
B:出かける準備をして玄関に出る
C:すぐ外出できる(↑)

\x{2461}10試行中1回 
A:父母が外出するときに
B:手をばたばたさせる、怒る
C:すぐ外出できる(↑)

\x{2462}10試行中4回
A:父母が外出するときに
B:(泣いたり怒ったりするが)その後は遊びブックから遊びを選択する
C:外出できず別の遊びをする(↓)
  父母が帰宅後、外出できる(↑)
(この4試行は、本児の兄の面談がある等の理由でどうしても外出に連れていけない日であったらしい。)

この結果を見ると、\x{2460}\x{2461}の行動をとるとすぐに外出に連れて行ってくれるといった強化子がすぐもらえる。一方、\x{2462}の場合、出かけたいという気持ちでいながらも、遊びブックから遊びを選び遊んだ場合は、父母が帰宅した後に外出できるとは言え、行動の直後に強化子があるとはいえない。
       

考察
今回、保護者にABC分析によって指導の記録をしていただいた。その記録から、指導パターンが3パターンに分類できた(結果のABC分析を参考のこと)。
ABC分析を見ると、\x{2460}\x{2461}のように、行動の直後に強化子(外出できる)があることで、その行動は一層増える結果となったことが分かる。一方、増やしたい行動である\x{2462}の『遊びブックから遊びを選択して遊ぶ』行動は、行動の直後に強化子がなかった(行動から随分経ってから強化子がある)。このことより、望ましい行動を増やすためにも、本児の行動が\x{2460}\x{2461}\x{2462}のどのパターンであっても、父母が外出先に連れて行かないという対応をすることが必要であったことがうかがえる。
今回、3パターンのABC分析を保護者と一緒に見たときに、保護者から、「望ましくない行動は、家庭生活での大人の対応によって、この子が学習した結果であることがわかった」との反省の言葉があった。
本来ならば、ここで目標達成のために指導を転換していくところであるが、夏休み終了前ということで家庭で留守番をする必要がなくなることを理由に、達成しないまま指導を一時中断することになった。保護者をサポートする教師としては、夏休みが終わる直前ではなく、もっと早い時点でこのことを保護者に伝え、指導の切り替えを進めるべきだったと反省が残る。また、指導を実際に行っている保護者を強化することの難しさを痛感した。

また、外出から父母が帰宅したら自分も外出ができることが事前に分かっている状況をスケジュール等で示してあげると、泣く、怒る、玄関で待つといった行動が少なくなったかもしれない。

《beforeのABC分析》
A:父母が外出するとき
  (スケジュールに父母が帰宅すると外出できるという予告なし)
B:泣く、怒る、玄関先に出る
  (スケジュールがなく、外出できる予定がわからないため)
C:外出できる(↑)

冬季休業中にも本児が留守番をする機会が増えると考えられるので、そのときにはスケジュールによる視覚的手がかりを加えて、指導が行えるように、保護者と話しあっていきたい。


第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/08/28/13:53:42  No.280
記入者 ym  E-Mail

小学部中学年児童が、下校時の買い物の有無を、スケジュールをみて理解し従うことができるための指導
概 要
本事例の対象児童は、スクールバス乗車→バス停車後母のお迎えの車にて下校をしている。今年度に入り、バス降車してから自家用車に乗ると、帰宅途中のコンビニやマクドナルド、自動販売機に寄って買い物がしたいと指さしによって要求することが増え、9月にはいると連日続いていたとのことであった。母が声かけやジェスチャーによって「今日は寄らない」ことを伝えるが、要求が叶えられないと泣き、帰宅後の活動(着替えや遊び)に影響がでることもあった。「買い物に寄る日と寄らない日を理解して、泣かずに下校してほしい」と、母の要望もあり、下校時用のスケジュール(買い物に寄る時と寄らないときの2パターンのスケジュール)を使って、本事例に取り組むことにした。

対象児のプロフィール
小学3年生
自閉症
女児

諸検査結果
S-M社会生活能力検査:4歳0ヶ月(H18.2)

障害の特性
学校生活では、ひらがな文字カードによる表示によってスケジュールに従い、確実に活動が遂行できる(初めての活動については写真カード+ひらがなによる表示)。
スケジュールの変更や中止については、→や×マークで表示すると納得して取り組むことができる。
習得したお手伝い活動は確実に一人で行うことができる。
要求や報告の表出はカードや指さしによって行う。
拒否は泣く、地団駄を踏む、他傷(軽くたたく)があるが、次の活動への切り替えは早い。

指導者

担任

長期目標
スケジュールに従って、買い物の有無を理解し、下校することができる。

短期目標
朝、母に手渡された下校時用のスケジュールシートを見て、買い物の有無を理解し、スケジュールをチェックしながら下校ができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
指導目標
下校時、下校時用スケジュールシートの項目に自らチェックを入れながら、買い物の有無を理解し、従うことができる。


本児は買い物が大好きな児童である。概要にも記したとおり、本年度9月に入ってから、下校時の車内で買い物を要求する場面が連日続き、要求が強いときには、運転中の母の目の前にマクドナルドのチラシを提示することもあった。要求が叶えられないときには泣く、たたくといった行動も見られることもあった。
これは、下校時(バス下車から家に着くまで)の活動に見通しがもてないこと、また要求をすれば買い物に寄れる経験を繰り返し学習したためであると考えた。そこで、家庭に着くまでのパートスケジュールを使用して、買い物の有無を理解して下校できるように支援を行いたいと考えた。
本児は、学校生活上ではスケジュールに従って活動を遂行できる。しかし、家庭ではスケジュールを使用したことがない。スケジュールの使用に慣れていても使用する場面や支援者が変われば、スケジュールの遂行も困難になることも考えられる。
そこで、使用するスケジュールは、一目で買い物があるかないかを理解できるように、4つまでの活動を表示した短いスケジュールにした。また、買い物に寄る時と寄らない時の2パターンのスケジュールシートを使うことを考えた。
一方、支援する側の保護者がスケジュールを使用するのも初めてであるため、負担を感じずに取り組めるように、本児が自分で活動をチェックしながら取り組める、チェック式スケジュールシートにした。

下校時のスケジュールシートの使用に必要となる行動を以下に課題分析した。
a 買い物に寄るとき
1 朝学校に着いたら、下校時用スケジュールシートを学校用スケジュールの最後尾に差し込む。
2 下校時に学校用スケジュールから下校用スケジュールシートを取り持ち帰る。
3 下校バスに乗ったら【バス】の覧に○でチェックをする。
4 バス下車前、【おかあさん】の覧に○でチェックをする。
5 自家用車に乗ったら【かいもの】の覧に○でチェックをする。
6 買い物に寄った後、【いえ】の覧に○でチェックし、帰宅する。

b 買い物に寄らないとき
1 朝学校に着いたら、下校時用スケジュールシートを学校用スケジュールの最後尾に差し込む。
2 下校時に学校用スケジュールから下校用スケジュールシートを取り持ち帰る。
3 下校バスに乗ったら【バス】の覧に○でチェックをする。
4 バス下車前、【おかあさん】の覧に○でチェックをする。
5 自家用車に乗ったら【いえ】の覧に○でチェックし、帰宅する。


指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
スケジュールシート使用前のベースライン(連絡帳より)
10月26日
学校からの帰りはほぼ毎日と言っていいほど『コンビニに寄って』と要求します。運転している私の目の前にお菓子の中に入っているチラシを指さしして要求してきます。行かなかったらワーワー奇声を上げてなき・・・

スケジュールシート使用開始初日のベースライン
課題分析での評価を示した。評価は、
○:一人でできる 
△:母や担任の指さしや声かけが一度でできる
×:支援が2度以上必要
で行っている。
11月10日(買い物なしバージョン)
1 ×
2 △
3 △
4 ○
5 △
スケジュール使用初日、4の【おかあさん】の覧にチェックしたあと、ジェスチャーと声かけによってスケジュールの説明(今日は買い物に行けないことの説明)をすると、車内で泣いていたとのことである。



般化場面
1家庭:休日(外出の予定があるとき、外出までスケジュールに従ってすごす)
2家庭:休日(外出の予定がないとき、スケジュールに従ってすごす)

指導場面
登校時
下校時

指導手続
・保護者は、
買い物に寄る日は買い物ありバージョンのスケジュールシートを、
買い物に寄らない日は買い物なしバージョンのスケジュールシートを連絡袋に入れる。
・買い物に行く日と行かない日は、隔日(毎日交互に)設定する。
・指導目標で上げた課題分析に従って評価する。

教材教具など
買い物ありバージョンのスケジュールシート
買い物なしバージョンのスケジュールシート

達成基準
a買い物に行く日は12点満点
b買い物に行かない日は10点満点とし、
それぞれ満点の日が3日間続いたら目標達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
買い物に行く日と行かない日それぞれの課題分析で評価、点数化する。
a 買い物に行く日
1 朝学校に着いたら、下校時用スケジュールシートを学校用スケジュールの最後尾に差し込む。
2 下校時に学校用スケジュールから下校用スケジュールシートを取り持ち帰る。
3 下校バスに乗ったら【バス】の覧に○でチェックをする。
4 バス下車前、【おかあさん】の覧に○でチェックをする。
5 自家用車に乗ったら【かいもの】の覧に○でチェックをする。
6 買い物に寄った後、【いえ】の覧に○でチェックし、帰宅する。

b 買い物に行かない日
1 朝学校に着いたら、下校時用スケジュールシートを学校用スケジュールの最後尾に差し込む。
2 下校時に学校用スケジュールから下校用スケジュールシートを取り持ち帰る。
3 下校バスに乗ったら【バス】の覧に○でチェックをする。
4 バス下車前、【おかあさん】の覧に○でチェックをする。
5 自家用車に乗ったら【いえ】の覧に○でチェックし、帰宅する。

○:一人でできる 
△:母や担任の指さしや声かけが一度でできる
×:支援が2度以上必要
○は2点、△は1点、×は0点とする。

指導期間
11月10日〜

結果
指導日は11月10、14、15、16、17、22、28日の7日間。
買い物ありの日は11月14、16、22日
買い物なしの日は11月10、15、17、28日に取り組んだ。
11月10日の初日は母や担任の声かけや指さしが必要であったが、それ以後はスケジュールをチェックしながら流れ沿った活動を落ち着いて行うことができた。

考察
ABC分析1の使用前の行動の流れを見ると、Cの結果はコンビニに寄ってくれる日と寄ってくれない日とがあり、保護者のB泣く、怒るといった行動への対応はまちまちであるが、Bの行動が減らない事を考えると、本児にとってコンビニに寄ってくれず辛い経験よりもコンビニに寄ってくれて嬉しい経験の方が勝り、泣く、怒るといったBの行動は維持継続していると考えられる。

ABC分析2のスケジュールシート使用後の行動の流れをみると、先行条件にスケジュールシートが追加されると、泣く・怒るといった行動は生起しなくなった。スケジュールシートが追加されただけで、それまで存在した買い物に行きたい欲求が消失したとは考えにくい。しかし、その欲求に増して、「帰宅までのスケジュールが示され、その通りに行動することに達成感を感じる」ことや「スケジュールシートに全てチェックを入れることに意欲を感じる」ことが、泣く・怒るという行動を生起させなくなったと考えられる。

スケジュールシート使用前の行動の流れ
A:先行条件 B:行動 C:結果
買い物に行きたい欲求
 +

これまで泣いたり怒ったりしたら買い物に寄ってくれたと言う経験
泣く・怒る 買い物に寄ってくれない日あり→つらい気分

買い物に寄ってくれる日あり→欲しい物が買え嬉しい気分

(「寄ってくれない日の経験<寄ってくれる日経験」の結果、Bの行動は↑)

スケジュールシート使用後の行動の流れ
A:先行条件 B:行動 C:結果
買い物に行きたい欲求
  +
スケジュールシート
(泣く・怒るといった行動は生起せず) スケジュールシートのチェックが最後までできる→スッキリ、満足


第一系列のタイトル: 買い物に寄らない日
Baseline: ベースライン   Intervention: 指導  
第二系列のタイトル: 買い物に寄る日
Intervention: 指導  
記入日時 2006/09/26/18:35:01  No.282
記入者 ym  E-Mail

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