200612



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ズボンの前部分のみを下ろして排尿するための支援
概 要
本児はおしっこと教員に告げ、ひとりでトイレに行くことができているが、排尿時にはズボンを膝まで下ろしてしまう。写真カードを見て確認することで、ズボンの前部分のみを下ろして排尿できるよう指導していく。

対象児のプロフィール
Cさん 小3男子 自閉症

諸検査結果
PEP-R 2歳2ヶ月(H18 10 21)

障害の特性
ことばの指示でも理解できることが増えてきたが、視覚的に提示するほうが理解しやすい。
自分の興味がないことに関しては注意がそれやすく、ひとつの物事に対して注目が長く続かない。

指導者
担任2名

長期目標
ズボンの前部分のみを下ろして排尿することができる。

短期目標
校内服ズボンの前部分のみを下ろして排尿することができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
標的行動 
校内のトイレを使用する時、写真カードで確認し、校内服ズボンの前部分のみを下ろして排尿することができる。
理由
ズボンの前部分のみを下ろして排尿することは、社会生活において望ましい行為であると考えられる。保護者から指導の要望もあった。
本児の手を取ってズボンの前に持っていくと前部分のみ下ろすことはできる。そこで写真カードを提示し、ズボンの前に手を持っていくことが意識づけできれば、ズボンの前部分のみを下ろすことができるようになるのではと考えた。また、ズボンの腰部分がゴムになっている校内服は上げ下ろしもしやすく取り組みやすいと考えた。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
ひとりでトイレに行き、排尿することができている。 小便器の前に立つと、ズボンの後ろ部分に手を持っていきズボンとパンツを同時に下ろして排尿する。
おなかを突き出すようなかっこうで排尿していることが多い。    
教員が、ズボンの前部分に手を持っていくと、前部分のみ下ろして排尿することができる。
ベースライン
プロンプトはまったく行わず、ズボンの前部分のみ下ろしているかどうかの記録をとった。

般化場面
制服ズボン着用時
家庭トイレ
外出先のトイレ

指導場面
校内服着用時、校内のトイレに行ったとき

指導手続
step1 排尿前に教員が写真カードを見せ「手は前」とことばかけする。
  正反応 「まるです」と言って誉める
  誤反応  手がズボンの後ろ側をさわろうとしたら
1 前部分を指さしする。
2「手は前」とことばかけする。
3 身体的ガイダンス(手をズボンの前にもっていく)
のプロンプトを行う。

step2 排尿前に教員が写真カードを見せる
  指導手続きについてはstep1と同じ

step3 小便器の近くに写真カードを貼る
  指導手続きについてはstep1と同じ

教材教具など
写真カード(本児がズボンの前部分に手を置いている)

達成基準
正反応率100パーセントが3日連続したら達成とし、次のstepに進む。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
1日のうちプロンプトなしで、ズボンの前部分のみ下ろせた回数を記録し正反応率を出す。



指導期間
平成18年10月19日〜12月5日

結果
step1
 始めの3日間は、ことばかけ、指さしのプロンプトが必要であり達成率は0パーセントであったが、その後プロンプトなしでできることが増えていき13日目に達成した。連休明けに達成率が下がることが多く達成まで時間がかかった。
step2
何の問題もなく3日間で達成した。写真カードを見ることで確実にズボンの前部分のみを下ろすことができている。
step3
初回は、写真カードが目に入らず写真カードを指さす支援が必要であった。その後も、その日の1番始めのトイレでは、カードを自分で確認することができず、ひざ部分までズボンを下ろしてしまうことが多かった。12日目に達成した。

考察
 写真カードを使って、まず視覚的な面から支援していくことは有効であった。写真カードを自分で確認することで、確実にズボンの前部分のみ下ろすことができた。
 しかし、写真カードを確認することができなかったとき(あわててトイレに駆け込んだ時、反対に、小便器の前に立つまでに時間がかかり注意が逸れてしまった時など)手がズボンの横部分に伸び、膝部分まで下ろしてしまうことが多かった。
 今まで習慣として身についているものを変えることは容易なことではない。達成まで思いのほか時間がかかった。 step3では、写真カードをすぐ目につく場所に貼る、小便器の前までスムーズに移動するようことばかけする支援が必要であった。
 ズボンの前部分のみ下ろすことが習慣として身につくよう支援を続けていきたい。写真カードは、見えにくい場所へと移動していく。

参考にした先行研究や事例など
自分でズボンの中にシャツを入れることができる
ズボンの中にシャツを入れる指導
トイレに入ってからズボンを下ろす
(事例研究支援データベース)

A:先行条件 B:行動 C:結果
校内服を着用しトイレを使用する時、教員がカードを見せて手は前と言う。 正反応
ズボンの前部分のみを下ろして排尿できる。
誤反応
手がズボンの後ろ部分にのびる。
正反応
まるですと言って誉められる(↑)。
誤反応
指さし、ことばかけ、身体的ガイダンスされる(↓)


第一系列のタイトル: ズボンの前部分のみを下ろして排尿できたか(達成率)
Baseline: ベースライン   Intervention1: step1   Intervention2: step2   Intervention3: step3   Intervention4:   
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/10/16/15:03:58  No.295
記入者 A  E-Mail

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