200617



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小学部高学年の自閉症児が携帯用カードで要求を伝えるための指導
概 要
本児が学校で使用している固定式の要求カード(おちゃがのみたいですカード)を携帯用として使用できることを目的とした。
カードを携帯することでいろいろな場面(家庭を含め)で利用したり、使用できるカードの種類(たすけてください・トイレにいきたいです)を増やしていくことでコミュニケーションの広がりをめざしたい。

対象児のプロフィール
Fさん 小学部5年 男子 自閉症

本児は、発声はあるが発語はない。要求を伝える手段としては、主に指さしやカードを使用している。学校で使用している要求を伝えるカードは数種類(おちゃがのみたいです・たすけてください・トイレ)ある。カードは本児が携帯しているのではなく、固定式のものを使用し、指さしや、手渡しによって伝えている。
スケジュールは全日スケジュールを使用し、時間割のPCSカードの意味を理解し、見通しを持って活動することができている。

諸検査結果
PEP-R発達検査(H14.7)
生活年齢:6歳6ヶ月 
発達年齢:1歳7ヶ月
S−M社会生活能力検査(H18.8)
生活年齢  :10歳7ヶ月
社会生活年齢: 2歳1ヶ月

指導者
担任3名

長期目標
要求を伝えたい時に、携帯用カード(数種類)を指さして要求を伝えることができる。

短期目標
お茶が欲しい時に、腰につるした「お茶が飲みたいです」カードを指さして教員に要求を伝えることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
朝の運動後の休み時間、お茶が欲しい時に、「お茶が飲みたいです」カードを教員に見せながら指さして、要求を伝えることができる。

本児の将来的なコミュニケーションとして、指さし等の身振りやサイン、カードの使用が考えられる。携帯用カードの使用が定着することで、コミュニケーション力を高めたい。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
本児がお茶を要求する時は、活動が終わったすぐの場面が多い。特に、朝の体育等の運動が終わった後は、必ずお茶を要求している。
お茶(水筒)は本児の手の届かない棚の上に置いており、その棚の側面に「おちゃがのみたいです」カードを貼り付けている。お茶が飲みたいときは、そのカードを指さしたり、カードを教員に手渡して要求を伝えている。約7割はカード手渡しでの要求であり、カードを指さした場合でも、ことばかけや、指さしによるプロンプトでカード手渡すことができている。 

般化場面
すべての休み時間(朝の運動後以外の休み時間)

指導場面
朝の運動後の休み時間

指導手続
(指導開始初日)
(1)普段使っていた固定式のカードは事前に取り除いておく。
(2)カードのついたスプリングキーホルダーを腰につけることに慣れるように、朝の着がえの時から着がえのズボンに付けておく。
(3)正しい反応が出た場合は「お茶が飲みたいんだね」とことばをかけ、すぐにお茶を渡す。
(4)誤反応が出た場合は、次の手順でプロンプトを行う。
 1自発的にカードが出るまで5秒間待つ。
 2「カード」ということばと、指さしによるプロンプ  トを行う。
 3児童の手を取り、身体的ガイダンスにより、行動を  一緒に行う。
(指導2日目以降)
(1)本児の左腰部分にカードを1枚つけたキーホルダーをつるしておく。
(2)手の届かない場所にお茶を置いておく。
(3)本児の要求が出るまで待つ。
(4)正しい反応が出た場合は「お茶が飲みたいんだね」とことばをかけ、すぐにお茶を渡す。
(5)誤反応が出た場合は、正反応が出るまで、次の順でプロンプトを増やしていく。
1カードへの指さし
2カードへの指さし+「カード」という言語プロンプ  ト(1で正反応がない場合)
3身体的ガイダンス(2で正反応がでなかった場合)


教材教具など
スプリングキーホルダー  
「おちゃがのみたいです」カード(PCS)
水筒

達成基準
指導場面においてプロンプトなしで携帯用カードで要求することができた日が、5日間連続したら達成とする。




記録の取り方(般化場面と指導場面)
お茶が飲みたい時に、「携帯カードを使えたか」「どのようなプロンプトが必要だったか」を記録する。

プロンプトなしで要求できた場合は2点
指さし又は、ことばによるプロンプトが必要だった場合は1点
反応がでなかったり、身体的ガイダンスが必要だった場合は0点

指導期間
2006年10月30日 〜 11月9日


結果
指導開始後2日目から、正反応が出た。5日連続して正反応が出たので達成とする。

考察
カードフォルダを最初に腰につけた時は、少し気にしていたが、指導初日から毎朝の着替えから帰りの着替えまでつけることができた。カードを携帯することは定着したと思われる。
固定用カードが定着していたため、携帯用カードの使用にもスムーズに移行できたと考えられる。
指導場面以外のすべての休み時間に携帯用カードでお茶の要求を教員に伝える行動が現れ、般化することができている。
次のステップとして、教員にカードを指差して見せる時に視線を合わせること、複数のカードの中から選択してお茶の要求ができるようになることを目標に設定したい。

ベースラインのABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
お茶が飲みたい時
固定式の「おちゃがのみたいです」カードを指さす、又はカードを教員に手渡す。 教員から、お茶をもらえる。↑

介入1のABC分析(正反応の場合)
A:先行条件 B:行動 C:結果
お茶が飲みたい時 携帯用の「おちゃがのみたいです」カードを教員に指さして見せる。 教員から、お茶をもらえる。↑

介入1のABC分析(誤反応の場合)
A:先行条件 B:行動 C:結果
お茶が飲みたい時 水筒の方を指さす。
固定式のカードがあった場所を指さす。
お茶をもらえない↓


第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/11/01/17:52:14  No.304
記入者 K.F.K  E-Mail

短期目標
お茶が欲しい時に、腰につるした複数のカードの中から「お茶が飲みたいです」カードを選択し、教員と視線を合わせ、カードを指さして要求を伝えることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
お茶が欲しい時に、腰につるした2枚のカード(「おちゃがのみたいです」「たすけてください」)の中から「お茶が飲みたいです」カードを選択し、教員と視線を合わせ、カードを指さして要求を伝えることができる。

携帯用のカードの束から、自分にとって必要なカードを選択して使用できるように目標を設定した。  

般化場面
すべての休み時間

指導場面
朝の運動後の休み時間

指導手続
(1)本児の左腰部分にカードを2枚つけたキーホルダーをつるしておく。
(2)本児の要求が出るまで待つ。
(3)正しい反応が出た場合は「お茶が飲みたいんだね」とことばをかけ、すぐにお茶を渡す。
(4)誤反応(正しいカードを指させない)が出た場合は、正反応が出るまで、次の順でプロンプトを増やしていく。
1カードへの指さし
2カードへの指さし+「カード」という言語プロンプ  ト(1で正反応がない場合)
3身体的ガイダンス(2で正反応がでなかった場合)
(5)誤反応(視線が合わない)が出た場合は、次の手順で教員に注意が向けるようにプロンプトを行う。
1児童の名前を呼ぶ
2児童の名前を呼びながら、肩を叩く(1で正反応が出なかった場合)

教材教具など
スプリングキーホルダー
「おちゃがのみたいです」カード(PCS)
「たすけてください」カード(PCS)
水筒

達成基準
指導場面においてプロンプトなしで携帯用カードで要求することができた日が、5日間連続したら達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
お茶が飲みたい時に、「携帯カードを使えたか」「どのようなプロンプトが必要だったか」を記録する。

プロンプトなしで要求できた場合は2点
指さし又は、ことばによるプロンプトが必要だった場合。カードは指させたが視線が合わなかった場合は1点
反応がでなかったり、身体的ガイダンスが必要だった場合は0点

指導期間
2006年11月13日〜12月4日

結果
指導開始後11日目より5日連続正反応が見られたので達成とする。

考察
ステップ2より、指導目標の中に「教員と視線を合わせて」という目標が入ることで、達成するのに日数がかかった(11日間)。誤反応は11回のうち3回で、すべて視線が合わずにカードを出していた。しかし、複数のカードから選択してカード(おちゃがのみたいです)が出せていたので、携帯用カードの利用は確実に定着したと考えられる。
次の課題としては、他のカードの使用について指導を進めたい。


第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/12/07/14:42:43  No.331
記入者 K.F.K  E-Mail

小学部高学年の自閉症児が携帯用カードで要求を伝えるための指導
短期目標
給食の時でパンやソース等の袋を開けて欲しい時に、教員と視線を合わせ、「たすけてください」カードを指さして要求を伝える。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
給食の時でパンやソース等の袋を開けて欲しい時に、教員と視線を合わせ、「たすけてください」カードを指さして要求を伝える。

携帯用カードで使用できるカードの種類を増やすため。

般化場面
休み時間、教員に遊具(お散歩カー・回転遊具)で遊んでもらいたい時。

指導場面
給食の時でパンやソース等の袋を開けて欲しい時。

指導手続
(1)本児の左腰部分にカードを3枚つけたキーホルダーをつるしておく。
(2)本児の要求(袋を開けて欲しい等)が出るまで待つ。
(3)正しい反応が出た場合は「はい」とことばをかけ、袋を開ける等の本児の要求を満たす。
(4)誤反応(カードを指させない)が出た場合は、正反応が出るまで、次の順でプロンプトを増やしていく。
1カードへの指さし
2カードへの指さし+「カード」という言語プロンプ  ト(1で正反応がない場合)
3身体的ガイダンス(2で正反応がでなかった場合)
(5)誤反応(視線が合わない)が出た場合は、次の手順で教員に注意が向けるようにプロンプトを行う。
1児童の名前を呼ぶ
2児童の名前を呼びながら、肩を叩く

教材教具など
スプリングキーホルダー
「おちゃがのみたいです」カード(PCS)
「たすけてください」カード(PCS)
「トイレ」カード(写真カード)

達成基準
5日間連続で誤反応なしで正反応が出た時。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
正反応・・・プロンプトなしで,教員と視線を合わせ、「助けてください」カードを指さすことができた回数を記録する。
誤反応・・・プロンプト(身体的ガイダンス,ことばによる指示、指差し)をした時,プロンプトをしても要求が出なかった時の回数を記録する。どのようなプロンプトを出したかについても,別に記録しておく。


指導期間
12月5日〜1月24日

結果
指導開始13日目より5日連続で誤反応がなかったので,達成とする。

考察
指導場面が給食時ということもあり,要求も高く,達成までに時間はかからないと思われた。しかし,逆に食べたいという要求が高いため,逆に本児の反応が出るまで待っていると持ちきれずに教員の手を引いたり,視線を合わせずにカードを指さしてしまうことが多かった。また,達成基準も高くなったため達成までに時間がかかった。


第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/12/20/17:49:54  No.337
記入者 K.F.K  E-Mail

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