概 要 |
本児が学校で使用している固定式の要求カード(おちゃがのみたいですカード)を携帯用として使用できることを目的とした。 カードを携帯することでいろいろな場面(家庭を含め)で利用したり、使用できるカードの種類(たすけてください・トイレにいきたいです)を増やしていくことでコミュニケーションの広がりをめざしたい。
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対象児のプロフィール |
Fさん 小学部5年 男子 自閉症
本児は、発声はあるが発語はない。要求を伝える手段としては、主に指さしやカードを使用している。学校で使用している要求を伝えるカードは数種類(おちゃがのみたいです・たすけてください・トイレ)ある。カードは本児が携帯しているのではなく、固定式のものを使用し、指さしや、手渡しによって伝えている。 スケジュールは全日スケジュールを使用し、時間割のPCSカードの意味を理解し、見通しを持って活動することができている。
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諸検査結果 |
PEP-R発達検査(H14.7) 生活年齢:6歳6ヶ月 発達年齢:1歳7ヶ月 S−M社会生活能力検査(H18.8) 生活年齢 :10歳7ヶ月 社会生活年齢: 2歳1ヶ月
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長期目標 |
要求を伝えたい時に、携帯用カード(数種類)を指さして要求を伝えることができる。
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短期目標 |
お茶が欲しい時に、腰につるした「お茶が飲みたいです」カードを指さして教員に要求を伝えることができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
朝の運動後の休み時間、お茶が欲しい時に、「お茶が飲みたいです」カードを教員に見せながら指さして、要求を伝えることができる。
本児の将来的なコミュニケーションとして、指さし等の身振りやサイン、カードの使用が考えられる。携帯用カードの使用が定着することで、コミュニケーション力を高めたい。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
本児がお茶を要求する時は、活動が終わったすぐの場面が多い。特に、朝の体育等の運動が終わった後は、必ずお茶を要求している。 お茶(水筒)は本児の手の届かない棚の上に置いており、その棚の側面に「おちゃがのみたいです」カードを貼り付けている。お茶が飲みたいときは、そのカードを指さしたり、カードを教員に手渡して要求を伝えている。約7割はカード手渡しでの要求であり、カードを指さした場合でも、ことばかけや、指さしによるプロンプトでカード手渡すことができている。
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般化場面 |
すべての休み時間(朝の運動後以外の休み時間)
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指導手続 |
(指導開始初日) (1)普段使っていた固定式のカードは事前に取り除いておく。 (2)カードのついたスプリングキーホルダーを腰につけることに慣れるように、朝の着がえの時から着がえのズボンに付けておく。 (3)正しい反応が出た場合は「お茶が飲みたいんだね」とことばをかけ、すぐにお茶を渡す。 (4)誤反応が出た場合は、次の手順でプロンプトを行う。 1自発的にカードが出るまで5秒間待つ。 2「カード」ということばと、指さしによるプロンプ トを行う。 3児童の手を取り、身体的ガイダンスにより、行動を 一緒に行う。 (指導2日目以降) (1)本児の左腰部分にカードを1枚つけたキーホルダーをつるしておく。 (2)手の届かない場所にお茶を置いておく。 (3)本児の要求が出るまで待つ。 (4)正しい反応が出た場合は「お茶が飲みたいんだね」とことばをかけ、すぐにお茶を渡す。 (5)誤反応が出た場合は、正反応が出るまで、次の順でプロンプトを増やしていく。 1カードへの指さし 2カードへの指さし+「カード」という言語プロンプ ト(1で正反応がない場合) 3身体的ガイダンス(2で正反応がでなかった場合)
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教材教具など |
スプリングキーホルダー 「おちゃがのみたいです」カード(PCS) 水筒
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達成基準 |
指導場面においてプロンプトなしで携帯用カードで要求することができた日が、5日間連続したら達成とする。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
お茶が飲みたい時に、「携帯カードを使えたか」「どのようなプロンプトが必要だったか」を記録する。
プロンプトなしで要求できた場合は2点 指さし又は、ことばによるプロンプトが必要だった場合は1点 反応がでなかったり、身体的ガイダンスが必要だった場合は0点
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結果 |
指導開始後2日目から、正反応が出た。5日連続して正反応が出たので達成とする。
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考察 |
カードフォルダを最初に腰につけた時は、少し気にしていたが、指導初日から毎朝の着替えから帰りの着替えまでつけることができた。カードを携帯することは定着したと思われる。 固定用カードが定着していたため、携帯用カードの使用にもスムーズに移行できたと考えられる。 指導場面以外のすべての休み時間に携帯用カードでお茶の要求を教員に伝える行動が現れ、般化することができている。 次のステップとして、教員にカードを指差して見せる時に視線を合わせること、複数のカードの中から選択してお茶の要求ができるようになることを目標に設定したい。
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ベースラインのABC分析
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
お茶が飲みたい時
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固定式の「おちゃがのみたいです」カードを指さす、又はカードを教員に手渡す。 |
教員から、お茶をもらえる。↑ |
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介入1のABC分析(正反応の場合)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
お茶が飲みたい時 |
携帯用の「おちゃがのみたいです」カードを教員に指さして見せる。 |
教員から、お茶をもらえる。↑ |
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介入1のABC分析(誤反応の場合)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
お茶が飲みたい時 |
水筒の方を指さす。 固定式のカードがあった場所を指さす。 |
お茶をもらえない↓ |
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第一系列のタイトル: |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1
Intervention2: 指導手続き2
Intervention3: 指導手続き3
Intervention4: 指導手続き4
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第二系列のタイトル: |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1
Intervention2: 指導手続き2
Intervention3: 指導手続き3
Intervention4: 指導手続き4
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記入日時 2006/11/01/17:52:14
No.304
記入者 K.F.K
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