概 要 |
「掃除をする」という活動は日常生活のうえでも将来、職業能力においても大切なスキルのひとつであると考えている。そこで、本事例では、ほうきとちりとりを使って掃除をするスキルに着目し、実践する。
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長期目標 |
日常生活のなかで簡単なお手伝いができる。
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短期目標 |
ほうきとちりとりを使って決められた場所を掃除することができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
【標的行動】 ビニルテープで指定された範囲をはいて、指定された部分にゴミを集めて、ちりとりでごみをとることができる。 【選んだ理由】 本児は、お手伝い活動が好きであり、できることは自信をもってすすんでする。初めてのことや苦手意識があることに対しては拒否を示したり「いやだよ」といって逃げ出そうとすることもあるが、教員と対面でゆっくり行うことによって、興味を持って最後まで努力することができる。また、できたときの成功感を味わい、教員に褒めてもらうことで次へのステップにつなげることができる。しかし、身体的に不器用なこともあり、細かい作業は好まないことがある。 ほうきとちりとりでの掃除は本児にとって初めての経験であるが、教員と1対1で行うことによって、本児のペースで取り組むことができる。また、視覚的にゴミがなくなることで達成感や興味をもって取り組めるのではないかと考える。また、ほうきを使っての掃除は、日常生活にも密着しており、さらに職業能力においても重要なスキルのひとつになると考えている。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
「ほうきをもってはく」という活動について、ほうきの持ち方、使い方は本児にとって未経験である。 【ベースライン】 スケジュールに「そうじ」を入れておき、本児が「何?」質問してきたら、「西ホールの掃除をお願いします」といって、ビニルテープを貼ったところまで一緒にいき、ほうきとちりとりを渡す。
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般化場面 |
【学校】 学校の西ホール玄関をほうきとちりとりを使って掃除することができる。 【家庭】 玄関をほうきとちりとりを使って、掃除することができる。
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指導場面 |
【時間】 朝または給食前の掃除の時間 【場所】 小学部の西ホール、西玄関
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指導手続 |
【ベースライン】 スケジュールに「そうじ」を入れておき、本児が「何?」質問してきたら、「西ホールの掃除をお願いします」といって、ビニルテープを貼ったところまで一緒にいき、ほうきとちりとりを渡す。
【指導の手続き】 1.ほうきには、右手、左手の持ち手をそれぞれ異なる色のテープでマークしておく。 2.ゴミは新聞紙を野球ボールほどの大きさに丸めた物を10〜15個を掃除する場所にまく。 3.ごみを集める場所は、ほうきではく場所とは別の色のビニルテープで示すようにする。 4.身体的プロンプト→指差しプロンプト→言語プロンプトの順で支援を減らすようにする。 5.掃除が終えた後は、言語賞賛を行う。また、約束の時間内に活動ができたときに遊び3分のシールがもらえるシステムに掃除の活動を加えるようにする。 6.ほうきとちりとりを使う行動を課題分析し、記録する。 ア ほうきを右手が上、左手が下に両手でもつ。 イ 床を線、または番号にそってはく。 ウ 指定された場所にゴミ(野球ボールぐらいの大き さに丸めた新聞紙)を集める。 エ 右手でほうきをもつ。 オ 左手でちりとりをもつ。 カ ほうきでゴミをちりとりにはきこむ。 キ ちりとりのゴミをバケツに捨てる。 ク ほうきとちりとりを片づける。
上記の1から6の手続きを、次のステップでそれぞれ行うようにする。
【ステップ1:西ホール】 ・長方形の枠(80センチ×30センチ)を8枠(縦4列横2列)ビニルテープで示しておく。 それぞれの枠には、ほうきではく順に番号と、その方向を矢印で示しておく。 【ステップ2:西ホール】 ・縦4列の枠を半分除く。(80センチ×120センチ枠1つと、80センチ×30センチ枠4つにする。) ・ほうきではく順に番号と、その方向は矢印で示しておく。 【ステップ3:西ホール】 ・縦4列の枠をすべて除く。(80センチ×120センチ枠2つにする。) ・ほうきではく順に番号と、その方向は矢印で示しておく。 ・ごみは野球ボールの大きさからピンポン球ほどの大きさに縮小する。
【般化場面:西玄関】 ・西玄関に、枠を作る。 ・ほうきではく順に番号と、その方向は矢印で示しておく。
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教材教具など |
・床に示すビニルテープ ・ほうき ・持ち手の長いちりとり
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達成基準 |
指導の手続きの課題分析の項目について、プロンプトを数字化する。
達成基準 【ステップ1】 すべての活動の合計点が21点以上が5回連続できたときとする。 【ステップ2】 すべての活動の合計点が21点以上が3回連続できたときとする 【ステップ3】 すべての活動の合計点が21点以上が3回連続できたときとする (ただし すべてのステップにおいて1つの活動は2点以上とする。)
【般化場面】 すべての活動の合計点が21点以上が5回連続できたときとする
(ただし すべてのステップにおいて1つの活動は2点以上とする。)
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導の手続きの課題分析においてそれぞれのプロンプトを以下のように数字化する。 一人でできた :3点 声かけでできた :2点 指さしでできた :1点 身体的プロンプトでできた:0点 とする。
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ほうきとしろとりを初めてもったとき(ベースライン)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
「そうじをしてください」とほうきとちりとりを渡される。 |
ほうきとちりとりでそうじをする。 |
ほうきを振り回して注意をうける(↓)
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ステップ1・ステップ2の指導
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
スケジュールで「そうじ」のカードが示されている。 |
ほうきとちりとりでそうじをする。 |
ごみがなくなる。 ほめられる。(↑) |
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ステップ1のほうきではく場所を示した画像 |
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第一系列のタイトル: ほうきとちりとりを使ってそうじをする指導 |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1
Intervention2: 指導手続き2
Intervention3: 指導手続き3
Intervention4: 指導手続き4
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第二系列のタイトル: |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1
Intervention2: 指導手続き2
Intervention3: 指導手続き3
Intervention4: 指導手続き4
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記入日時 2006/10/28/15:50:29
No.296
記入者 N.K
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