200635



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小学部高学年の児童が、自立課題やお手伝い活動中に決められた約束を守って活動することができる指導
概 要
対象児の活動中によく見られるシールや紙をはがす、ちぎる、大声を出す行動は、場面によっては不適切な行動と見なされ、周囲から認められにくくなる。時と場合によって約束事を理解し適切な行動ができるようになると、周囲から受け入れられ、認められることにつながる。約束を守ることは、対象児にとって社会生活を営む上で重要なスキルであると考え、本事例で取り組むことにした。

対象児のプロフィール
小6男児 自閉症

諸検査結果
S−M社会生活能力検査 4歳2ヶ月(H18.3実施)

障害の特性
スケジュールや手順書を見て、時間がかかることも多いが、自主的に活動できる。
指示されるのが非常に苦手であり、攻撃行動に向かうことが多い。

指導者
担任1名

長期目標
決められた約束を守ることができる。

短期目標
お手伝い活動や自立課題の時間、手順書やカラーボックス、衝立をはがしたり、大声を出さずに取り組むことができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
洗濯物片付けのお手伝い活動や自立課題の時間、手順書やカラーボックス、衝立をはがしたり、大声を出さずに取り組むことができる。
【step1】洗濯物片付けの時間、手順書やボードをはがしたりちぎったりせずに、取り組むことができる。
【step2】自立課題の時間、手順書やボードやカラーボックスをはがしたりちぎったりせずに、取り組むことができる。
【step3】洗濯物片付けの時間、手順書やボードをはがしたりちぎったり、大きな声を出さずに、取り組むことができる。
【step4】自立課題の時間、手順書やボードやカラーボックスをはがしたりちぎったり、大きな声を出さずに、取り組むことができる。

(標的行動とこれを選んだ理由)
スケジュールを見て何をするか分かって活動できているが、取りかかるまで又は活動中に自分の世界に入り、時間がかかることがある。自分の世界に入ると、手を叩いて大きな声を出す、衝立や手順書をちぎる・はがすといった行動が見られる。こういった行動は、場面によっては不適切な行動と見なされると考えられる。又、対象児は指示をされるのは非常に苦手である。よって、活動内容の見直しや環境調整と並行しながら、あらかじめ時間を決め、約束事を守ることをスケジュールに設定する必要があると考えた。同時にトークンエコノミーシステムも取り入れることにより、行動を自分で制御することができるのではないかと考えた。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
段ボールやラミネート等、一度はがしだすと自分の納得するまではがしたりちぎったりする。こういった状況で、注意を繰り返し受けると、物や人への攻撃行動に向かう事が多い。周囲への注意引きでしているのではなく、“分かっているけど止められない”状況だと思われる。大声については、気持ちの安定・不安定にかかわらず見られる。
スケジュールや手順書を見ながら活動できているので、約束事もきっちりスケジュールに入れ、視覚的に分かりやすく提示することにより、約束事も理解できると予想される。トークンエコノミーシステムの理解はできている。

般化場面
1 学校:体育の時間
2 家庭:自分の部屋の壁紙をはがさない

指導場面
洗濯物片付けのお手伝い活動、自立課題の時間

指導手続
〔事前の準備〕
・約束事を示したカード、カードを貼る約束ボード、守れたら貰える赤シール用のボードは全てトランジションエリアに置いておく又は提示しておく。
・約束カードには、○(正しい行為)と×(正しくない行為)を写真で示しておく。×マークの上に小さな“×の行為”の写真カードを3枚(【step3,4】では4枚)貼っておき、してしまう度にそのカードを外し、全部外されたら下の×マークが見えるようにしておく。
・赤シールは2枚貯まると、従来からしているトークンシステムの好子(お菓子ボード)が“ティータイム”にランクアップする。※従来のトークンシステム・・・緑シールを4枚貯める。課題、お手伝い、運動に設定。1日で必ず貯まるように設定。
・約束ボードには、“やくそくまもる→あかシールもらう”とそれに赤×を付けた2種類のカードを貼っておく。
・赤シール
・スケジュールには、その活動の前に“○○のやくそくをきく”、後には“やくそくのかくにん”を書いておく。
〔指導場面での流れ〕
《“○○のやくそくをきく”》
1.「おねがいします」と対象児が言ってくる。
2.約束カードをボードに貼るよう促す。
3.貼ったら教師がカードを指さししながら約束事を読み、約束の内容を伝える。ボードの“やくそくまもる→あかシールもらう”も指さし読み、「頑張って約束守ろうね」と激励する。
《洗濯物片付け又は自立課題の活動中》
・“はがす”“大声を出す”のどちらも、ほんの少しだけはがしたり大きな声を出したものの、教師による「うん?」「あれ?」といった声かけによって次にするのを止められたのなら、それは“×の行為”とは見なさないようにする。
・廊下にいてもはっきりと聞こえる声や手叩きを“大声”と見なす。
・×の写真カードを外す時は、本人の目に入るところで行い、「ごめんなさい」と言っても、無視する。カードを見せて「まだ、×見えてないよ」と声かけし、大丈夫であることを伝える。
《“やくそくのかくにん”》
1.「おねがいします」と対象児が言ってくる。
2.約束カードを指さし、×が見えていないこと、○の行為ができたことを伝える。
3.ボードの“今日は”の下にやくそくまもる→あかシールもらう”カードを貼り、赤シールを渡す。
4.対象児がシールを貼り、2枚貯まったらシールボードを教師に持ってくる。
5.「頑張ったね」と声かけし、緑シールボードのお菓子カードをティータイムカードに替える。


教材教具など
・約束事を示したカード、カードを貼る約束ボード、守れたら貰える赤シール用のボード

達成基準
・各ステップとも、4回連続して守ることができたら、ステップアップし達成したとする。
守れないのが2回続けてあれば、規準や提示方法の見直しを検討する。
“×の行為”については【step1】では2回まで、【step2】では3回まではしてもよいことにする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
◎(3点):はがす”又は“大声を出す“”が無し
○(2点):はがす”又は“大声を出す“”が1回
△(1点):はがす”又は“大声を出す“”が2回(【step3,4】では2,3回以上)
×(0点):はがす”又は“大声を出す“”が3回以上(【step3,4】では4回以上)

※いずれも×以外は、約束が守れたことになる。

指導期間
2006年9月〜

指導前
A:先行条件 B:行動 C:結果
スケジュールで“せんたくものかたづけ”“かだい”が提示されている。 (正反応)・はがしたり、大声を出さずに、洗濯物を片付けたり、自立課題に取り組む。
(誤反応)・はがしたり大声をだして活動に取り組む。
(正反応)・活動が早く終了する。(↑)
(誤反応)・時間が長引き、その後の活動中にプロンプトを出される可能性がある。(↓)

指導前
A:先行条件 B:行動 C:結果
スケジュールで“せんたくものかたづけ”“かだい”に約束が設定されている。 (正反応)
・はがしたり、大声を出さずに、洗濯物を片付けたり、自立課題に取り組む。
・声かけされ、はがしたり大声を出すのをやめる。
(誤反応)・決められた回数以上、はがしたり大声を出して活動に取り組む。
(正反応)
・約束が守れ、赤シールが貰える(↑)
・褒められる(↑)
(誤反応)
・約束が守れず、赤シールが貰えない。(↓)



約束カード

第一系列のタイトル: 【step1】
Baseline: 約束設定無し   Intervention1: 約束設定あり  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/11/24/05:41:04  No.323
記入者 IC  E-Mail


約束カード

第一系列のタイトル: 【step2】
Baseline: 約束設定無し   Intervention1: 約束設定あり  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/12/04/04:18:56  No.324
記入者 IC  E-Mail

小学部高学年の自閉症児が携帯用カードで要求を伝えるための指導

【step3】の約束カード

第一系列のタイトル: 【step3】
Baseline: 約束設定無し   Intervention1: 約束設定あり  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/12/04/09:37:37  No.325
記入者 IC  E-Mail

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