2005-11



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小学部高学年児童で1対1対応のスキルを教えるための支援
概 要
 本児はこれまでの課題学習で、棒差し課題が列の順に沿ってできるようになってきた。1つの穴に1つの棒を入れるという課題はクリアしているが、他の場面での般化にはつながっていない。給食場面で、つきものの配り係をしているが、1枚のおぼんにつき1つを置くことは難しい。このため、1対1対応のスキルを獲得できるよう取り組んでいきたい。

対象児のプロフィール
K児。知的障害。

諸検査結果
SーM社会生活能力検査(1歳10ヶ月)2005年9月
新版K式発達検査(2005年11月)
姿勢・運動 1:7
認知・適応 1:8
言語・社会 1:5
全領域   1:7

障害の特性
知的障害からくる全般的な発達障害がある。

指導者
担任2名。

長期目標
決められたものを1対1対応で配ることができる。

短期目標
給食時に、6枚のおぼんに1対1対応でつきものを配ることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
容器に積み木の玉やふりかけ(6つ)をそれぞれ1対1対応で入れることができる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
 本児は給食のとき、ジャムやデザートなどつきものを配る係をしている。右手で配る物をカゴから取っておぼんの上に置いていくことをしている。しかし、カゴから1度に2つ取ったり、1枚のおぼんの上に全部置いたりと、1対1対応ができていない。間違えたときは、教員がおぼんから再びカゴに戻し、1つずつ配るようことばかけや身体的ガイダンスで支援している。1対1対応を確実におこなうために課題学習を設定することにした。

般化場面
給食準備、プリント配り

指導場面
課題学習

指導手続
【ベースライン】
 児童が着席しているときに、机の上に容器(紙の深皿)を3枚ずつ2列の横並びで置く。その際、皿と皿の間隔をあけないようにする。積み木の玉(6つ)が入った小さいカゴを児童の正面に置き、「1つずつ入れて」のことばかけをする。3日間とる。
【指導方法1:積み木の玉6つ】
 ベースラインと同じ手続きをする。小さいカゴを提示した後、5秒待っても自発的に入れない場合は、容器への指差しをおこなう。さらに5秒待ってできないときは、容器を指差したまま「入れて」のことばかけをおこなう。それでもできないときは、5秒待ってから、教員が手を添え一緒に容器に入れる。また、間違えて1つの容器に2つ入れてしまった場合は、後から入れた1つを元のカゴに戻し、空いている容器を指差しで示す。
【指導方法2:ふりかけ6つ】
 ベースラインと同じ手続きをする。ふりかけの小パック6つを小さいカゴに入れ提示した後、5秒待っても自発的に入れない場合は、容器への指差しをおこなう。さらに5秒待ってできないときやふりかけを振って遊んでいるときは、「入れて」のことばかけをおこなう。それでもできないときは、5秒待ってから教師が手を添え一緒に容器に入れる。
【指導方法3:ふりかけ6つ・プロンプトなし】
 プロンプトを出さないで、ベースラインと同じ手続きをする。

教材教具など
容器、積み木の玉、ふりかけ、小さいカゴなど

達成基準
プロンプトなしで、1人で連続して3回できる。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
 正反応の回数と、どのようなプロンプトを何回出したかを記録する。(指差し1点、ことばかけ2点、身体的ガイダンス3点)

指導期間
2005年11月1日〜12月5日

結果
 ベースラインの3日間は、1つの容器に2個の積み木の玉を入れてしまうことが続いていた。
【指導方法1】
 プロンプトを入れることで1つずつ入れていけるようになった。3日ほどで正反応の回数が伸び、15日目で達成した。積み木の玉を置いていくペースも早くなった。
【指導方法2】
 ふりかけを手にした後、5秒待ってもふりかけを振り続けるのでプロンプトを入れていたが、時間をかければ間違えずに1対1対応ができそうなので、目標は達成していなかったが、プロンプトを入れず自発的に容器に入れるのを待つことにしてみた。5日目に指導方法3に変更した。
【指導方法3】
 入れ終わるまでに5分程かかったが、ふりかけを振って遊んだ後、自発的に容器に入れることができた。3日目で達成した。

考察
 ベースライン時は、容器に1つずつ入れていくことを指導していなかったので、1対1対応の入れ方が意識できていなかったと思われる。指導方法1の積み木の玉の時には、積み木の玉が遊びにつながらなかったため、1つずつ容器に入れることがすぐできるようになった。しかし、指導方法2以降のふりかけの場合は、ふりかけを振って遊び、容器に入れることに時間がかかるようになってきた。ABC分析をした結果、ふりかけを振ると音がでることが好子となり遊びにつながってしまい、それ以上の好子がないため、ふりかけを振って遊ぶことが強化されてしまったと考えられる。1対1対応は、プロンプトを入れなくてもできたので、時間をかけずにできるようになることは、別の課題として残し、指導していくことにした。

指導方法1
A:先行条件 B:行動 C:結果
課題の時間、目の前に積み木の玉がはいったカゴと容器を置かれたとき 積み木の玉を容器に入れる 課題が終わる(↑)

指導方法3(遊んでしまう行動の分析)
A:先行条件 B:行動 C:結果
課題の時間、目の前にふりかけの入ったカゴと容器を置かれたとき ふりかけを振る 音がして楽しい(↑)

今後の指導
A:先行条件 B:行動 C:結果
課題の時間、目の前にふりかけの入ったカゴと容器を置かれたとき ふりかけを容器に入れる 好きな遊びができる(↑)
お菓子がもらえる(↑)
先生からほめられる(↑)


第一系列のタイトル: 正反応生起数
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導方法1(積み木の玉)   Intervention2: 指導方法2(ふりかけ)   Intervention3: 指導方法3(ふりかけ・プロンプトなし)  
第二系列のタイトル: プロンプト数
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導方法1(積み木の玉)   Intervention2: 指導方法2(ふりかけ)   Intervention3: 指導方法3(ふりかけ・プロンプトなし)  
記入日時 2005/09/21/16:13:40  No.20
記入者 SS  E-Mail

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