概 要 |
窓を拭くお手伝いに取り組む。窓の場所、霧吹きを利用する、手順書を利用する等、本児が一人でできるように工夫する。 今年度前期に、印に沿っての窓拭きに取り組んできたが、窓の印を意識して窓を拭くことが難しかったため、今回は、霧吹きを利用した窓拭きに取り組む。 また、写真で示した手順書を利用しながら一人で活動することができるようにする。 霧吹きで吹きかける行動や窓を拭く行動を課題分析することで、どこでつまずいているかを発見したりプロンプトを身体的ガイダンスから声かけのみ等フェイドアウトしやすいようにしたりする。
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諸検査結果 |
・KIDS 1歳2ヶ月(平成16年4月) ・S-M社会生活能力検査 社会生活年齢2歳2ヶ月(平成17年2月) ・PEP−R 1歳6ヶ月(平成14年6月)
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障害の特性 |
・こだわりが強い。気になることがあると突発的に自分のしたいように直しにいく。 ・要求はお願いポーズをとることや具体物を持ってくることで伝えることができる。 ・拒否は「やーやー。」と言うことで伝えることができる。
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長期目標 |
手順書を利用した窓を拭くお手伝いをすることができる。
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短期目標 |
手順書を利用しながら、窓の印に霧吹きを吹きつけ、水滴がなくなるまで窓を拭くことができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
(標的行動) 手順書を利用しながら、窓の印に霧吹きを吹きつけ、水滴がなくなるまで窓を拭くことができる。 (選んだ理由) 霧吹きで吹いた水滴がなくなるまで窓を拭くことは、視覚的に終わりが分かり易く達成感が得られ易いと考える。中腰での活動はほとんど経験がないと思われるので、中腰でも窓が拭けるように練習していきたい。 また、個人の手順書を利用することができるようになることで今後一人でできることを増やしていきたい。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
(4月〜7月) 教室外のホールにある窓拭きを行った。印を意識することが難しい。また、窓の近くにあるビデオコーナーにある物やビデオが気になることで窓拭きに集中できないことが多かったので中止している。 (9月 ) 今回の指導手続きのもと行う。 ○9月12日:窓に印がない状態 ・適当に霧吹きを吹き付ける。同じ場所でも構わず吹き付ける。 ・声かけにより、水滴がなくなるまで吹くことができる (10月) 10月3日〜10月5日 霧吹き、窓拭き用雑巾がセットしてある窓拭きセットを用意し、めくり式の手順書を見せながら、「拭くよ。」と声をし、手順書や霧吹き等指さしをする。その時、誤反応についても修正はしない。
○個人の手順書を利用して活動してきた経験は、ほとんどない?。
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般化場面 |
(1)学校内の他の窓を拭くことができる。 (2)家庭の窓を拭くことができる。
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指導場面 |
朝の活動中のお手伝いに位置づける。窓は教室内にある1枚の窓ガラス下半分である。
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指導手続 |
(ベースライン) 霧吹き、窓拭き用雑巾がセットしてある窓拭きセットを用意し、めくり式の手順書を見せながら、「拭くよ。」と声をかけをし、手順書や霧吹き等指さしをする。その時、誤反応についても修正はしない。 (指導1) 下のように課題分析した記録用紙を利用する。教室内にある1枚の窓ガラス下半分の窓拭きを行う。最初は後方より身体的ガイダンスを行う。誤反応については、活動を一度止め、声かけと指さしを行う。それでも誤反応の場合は、後方より身体的ガイダンスを行う。 (指導2) 指導1と指導場面やプロンプトの出し方は同じである。課題分析した表の【1】→【3】→【4】→【5】→【6】→【7】→【8】→【9】→【11】→【12】→【13】の活動に絞って行う。同時に「表【3】:窓の印に霧吹きを吹きかける」は、取り出し課題として対面学習で取り組む。
<表:課題分析> 【1】手順書を手洗いスペースにかける 【2】手順書を1枚めくる 【3】窓の印に霧吹きを吹きかける 【4】手順書を1枚めくる 【5】霧吹きを片付ける 【6】手順書を1枚めくる 【7】窓拭き用雑巾で吹きつけた水滴がなくなるまで窓を拭く 【8】手順書を1枚めくる 【9】雑巾を洗う 【10】手順書を1枚めくる 【11】雑巾を窓拭きセットに干す 【12】手順書を1枚めくる 【13】手順書を窓拭きセットに片付ける
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教材教具など |
・目隠しシートを貼った窓ガラス。霧吹きで吹き付ける所に印をつけてある。 ・窓拭き用雑巾 ・窓拭きセット 窓拭き用雑巾、霧吹き、手順書 を片付けることができる
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達成基準 |
(指導1) 26点満点中、16点以上が5日で達成とする。 (指導2) 20点満点中、17点以上が5日で達成とする。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
(指導場面) ・準備・窓拭き・片付けの行動を課題分析した記録用紙を使用する。 ・次のように得点化する。 一人でできる …2点 声かけ・指さしでできる …1点 身体的ガイダンスでできる …0点 ・(指導1)の満点は26点、(指導2)の満点は20点である。
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結果 |
ベースラインでは、「表【7】:窓拭き用雑巾で水滴がなくなるまで窓を吹く」と「表【11】:雑巾を窓拭きセットに干す」各2点ずつの計4点である。手順書を教員が提示すると、見ることはあるが手順書の写真内容を意識して活動する様子は見られなかった。 指導1では、「表【3】:窓の印に霧吹きを吹きかける」行動には、身体的ガイダンスが、「表【2、4、6、8、10、12】:手順書を1枚めくる」行動には、声かけと指さしが必要であった。窓を拭くことや片付けることが定着した結果得点が増え、達成することができた。 指導2では、指導1の課題分析より「表【3】:窓の印に霧吹きをふきかける」を取り出し課題として対面学習で行うことにし、印を意識して霧吹きを吹くことができるようになった。手順書の利用については、初めてめくり式の手順書を利用するには、数が多すぎたのかもしれないという反省から、手順書を主たる活動のみの内容「表【6、8、12】:手順書を1枚めくる」にした。手順書を利用することが少しずつ定着し、達成することができた。
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考察 |
窓に横線の印を付けて窓拭きをすることが難しかったため、霧吹きに変えたが、霧吹きで吹いた水滴がなくなるまで窓を拭く活動は、視覚的に終りが分かり易く本児には有効であった。 「表【3】:窓の印に霧吹きを吹きかける」行動には、身体的ガイダンスが必要であった。これは、先に誤反応を覚えてしまったためではないかと考える。指導2で取り出し課題として始めるのではなく、ベースラインをとった時点で取り出し課題として行う必要があったと反省している。 「表【2、4、6、8、10、12】:手順書を1枚めくる」行動には、声かけと指さしが必要であることが多かった。声かけと指さしが必要であった理由として、初めてめくり式の手順書を利用するには、数が多すぎたのではと考える。指導2で手順書を主たる内容にすることで、本児もスムーズに活動することができた。 また、Gさんは、窓拭きの一連の活動の流れを把握しているため手順書をめくることなく次の活動に移ろうとしていたのではないかということも考えられたため、指導2が達成した現在、手順書がない状態で窓拭きに取り組んでいる。一連の活動を覚えており、全て一人で取り組むことができた。よって、現在Gさんが窓拭きを行うことに関して手順書は必要でないことが分かった。手順書の利用については、別の簡単な内容で進めていく必要がある。 今回この指導にあたり、[1]「実態把握を十分にし、スモールステップで指導を進める必要性」、[2]「課題分析を行い、記録をとることの大切さ」を改めて感じた。[1]については、子どもの実態をじっくり見ながら、指導内容を工夫していきたい。[2]については、記録用紙を見ることで、どこに重点を置いて指導すべきかが明確になり、指導に役立った。改めて感じたこの2点を今後の指導に生かしていきたい。
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参考にした先行研究や事例など |
PTのO君の事例「テレビの画面を拭く指導」
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手順書を利用することができる
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
次の活動に移る時 + めくり式手順書
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(正反応) a)行動毎に手順書を1枚めくる (誤反応) b)手順書をめくらず、次の行動をする c)手順書で示された行動と違う行動をする (無反応→5秒) d)無反応
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(正反応) a)何も言わず見守る (誤反応) b)「めくるよ。」と声かけをしながら手順書を指さす⇒身体的ガイダンス c)「例:拭く」など声かけをしながら手順書を見せる⇒身体的ガイダンス (無反応) d) 「めくるよ。」と声かけをしながら手順書を指さす⇒身体的ガイダンス
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水滴がなくなるまで拭くことができる
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
水滴がついた窓 |
(正反応) a)水滴がなくなるまで窓を拭く (誤反応) b)水滴が残っている (無反応→5秒) c)無反応
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(正反応) a)「きれいに拭けたね。」とほめる。 (誤反応) b)「ここは?」と声かけをしながら残っている水滴を指さす⇒身体的ガイダンス (無反応) c)「拭く。」と声かけをしながら窓を指さす⇒身体的ガイダンス
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印に霧吹きを吹き付けることができる
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
印が付いた窓 |
(正反応) a)印に霧吹きを吹き付ける (誤反応) b)印がない所に霧吹きを吹き付ける (無反応→5秒) c)無反応
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(正反応) a)「そうそう。」とほめる。 (誤反応) b)「ここは?」と声かけをしながら印を指さす⇒身体的ガイダンス (無反応) c)「ここは?」と声かけをしながら印を指さす⇒身体的ガイダンス
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第一系列のタイトル: 手順書を利用しながら、窓の印に霧吹きを吹きつけ、水滴がなくなるまで窓を拭くことができる。 |
Baseline: ベースライン
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第二系列のタイトル: 手順書を利用しながら、窓の印に霧吹きを吹きつけ、水滴がなくなるまで窓を拭くことができる。 |
Intervention1: 指導1
Intervention2: 指導2
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記入日時 2005/11/14/18:34:35
No.66
記入者 TOM
E-Mail
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