概 要 |
・対象児は,2〜3語文程度の理解や表出ができ,一問一答程度の会話が可能である。 ・登校時に,教師などの挨拶に対して応答ができないことが多く見られるため,この指導を計画した。
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対象児のプロフィール |
氏名:M.T. 養護学校小学部2年生男子 障害名:自閉症
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諸検査結果 |
津守式発達検査:1歳10ヶ月 大田のステージ:\x{2162}−2 CARS:34点(中度自閉症)
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障害の特性 |
・言葉の理解や表出に,偏りや歪みが見られる。 ・味や匂い,温度(気温が高い)等に関して過敏性が強い。 ・多動傾向。集団活動の時にじっとしていることが苦手である。 ・マナーの理解や遵守が難しい。
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指導者 |
指導者A:H.I.(担任) 指導者B:T.I.(担任) 指導者C:M.O.(専科) 指導者D:N.O.(大学院)2005年9月5〜16日参加
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長期目標 |
・3〜4場面で,絵・写真・文字等で提示されたルールを理解し行動する。
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短期目標 |
・1〜2場面で,絵・写真・文字等で提示されたルールを理解し行動する。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
・標的行動:登校時,指導者の「T君,おはよう」という挨拶を聞いて,「おはよう」と答える。 ・選んだ理由:挨拶は,進路支援に関わる指導内容の中でも重要とされる内容である。挨拶が円滑な人間関係を支える大切なスキルであることや,挨拶によって相手の気持ちがどのように変化するのかを知ることは,対象児にとって大切な学習内容であると考えた。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
・標的行動について,2005年9月5日〜12日の記録を取る。
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般化場面 |
1.他の小学部の教師の挨拶に答えることができる。 2.他の学部の教師の挨拶に答えることができる。 3.下校時,教師の挨拶に答えることができる。
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指導手続 |
・毎日,登校後の片づけが終わった後,指導者Aが「挨拶はどうしてするのか?」をテーマとした,絵・写真と文字を組み合わせたソーシャルストーリーを,対象児に読ませる。 ※上記のように指導手続きを計画したが、実際には9月12日と13日の二日間のみ,対象児にソーシャルストーリーを読ませるという指導手続きを実施した。
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教材教具など |
・パワーポイントによるPC版ソーシャルストーリー「あいさつのひみつ」
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達成基準 |
・達成率100%が5日連続した時,達成とする。 ・達成率25%以下が5日連続した時,中止し指導計画を修正する。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
・指導場面: (得点) 指導者のあいさつに対して,1回目で「おはよう」といえた。=1点 指導者のあいさつに対して,1回目で「おはよう」といえなかった。=0点 (得点の処理) 指導者A,B,Cの試行は,それぞれ別々に記録し,(得点)÷(試行回数)×100=(達成率)として,記録する。 ・般化場面:指導場面と同様の手順で記録する。
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指導期間 |
・2005年9月5〜12日(ベースライン) ・2005年9月13〜30日(介入期)
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結果 |
指導期間終了までに,グラフのような結果を得た。標的行動の生起頻度は上昇したが達成基準には達していない。
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考察 |
・指導期間内には達成基準には達していないが,ベースライン期と比較すると標的行動の生起頻度は明らかに上昇が見られる。ゆえに,ソーシャルストーリーによって,本児の挨拶に関する理解が促進された可能性が示唆された。 ・標的行動を,指導者の「Fくん,おはよう」という挨拶に対して答える行動と設定した。これには,「Fくん」という呼びかけによって,本児の注意を喚起する目的が含まれているが,この設定が標的行動の生起頻度上昇に影響を与えた可能性も考えられる。 ・指導手続きが,当初計画したとおりに実施できなかった。その原因の一つとして,ノート型パソコンによるプレゼンテーションを利用したソーシャルストーリーは,紙に書かれたストーリーとくらべて実施に手間がかかるといったことがあげられる。
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第一系列のタイトル: 達成率 |
Baseline: ベースライン
intervention: 介入
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第二系列のタイトル: |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1
Intervention2: 指導手続き2
Intervention3: 指導手続き3
Intervention4: 指導手続き4
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記入日時 2005/09/05/15:35:35
No.8
記入者 IK
E-Mail
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