2005-34



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小学校高学年児童に50円玉を使って金額を構成することを教える
概 要
本児は,50円玉を含む硬貨の金額を読むことや50円玉を使って何十円を構成することは未習得である。
そこで,視覚的手がかり(硬貨カード)と本児が獲得している10とびの数唱を用いて課題を設定し,その習得について検討する。

対象児のプロフィール
A児
男児

諸検査結果
WISC−III(H17)
FIQ 46
VIQ 55
PIQ 47

障害の特性
発音は不明瞭だが,言語によるコミニケーションが可能。
手先は不器用。厚みの薄いものを拾う,おはじきなど小さいものを集めるなど指先を使うことが苦手。

指導者
1名,週2時間程度個別指導担当

長期目標
硬貨を組み合わせて,500円以下の料金を手渡せるようにする。

短期目標
200円以下の金額を100円玉と50円玉と10円玉で構成することができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
標的行動:100円以下の金額(50〜100円)を50円玉と10円玉で構成することができる。

これを選んだ理由:本児は,品物を選ぶ,レジに行く,代金を払うなどのスキルは獲得しており,近所の店ならば一人で買い物に行くことができる。代金を支払う際には,100円玉と10円玉のみを用い,「これで足りますか?」と尋ね,店員さんに確認してもらっている。10円玉で構成する金額が大きくなると硬貨の数も増えるため,数え間違いがあったり,手先が不器用なことから時間がかかったりすることもある。50円玉を用いることができるようになると,あつかう硬貨の枚数も減り,構成しやすくなるのではないかと考えた。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
1円,10円,100円玉で金額を構成することができる。
50円玉は「50円」と命名することはできるが,金額の構成に用いることはない。50円玉と10円玉の等価関係は理解できていない。

般化場面
般化課題
・指導課題以外の70,90,100円を10円玉と50円玉で構成する
・プリント課題(10円玉と50円玉で構成した何十円)で正しく金額を答えることができる

般化場面
・指導場面以外の買い物学習で,60円,80円の品物を買うとき


指導場面
週2回 算数の時間 1回10分

指導手続
(ベースライン)
1手がかりとなる硬貨カードを使用しないで必要以上枚数のある硬貨を構成させた。
2写真の50円玉と10円玉を組み合わせたプリント教材を見せ,金額を記述させた。

(指導手続き1)
ステップ1
(1)「80円の硬貨カード」を「50,60,70,80」と指さしながら数えるモデリングを行う。
(2)硬貨カードの左に金額カード(80円)を置く。
(3)「数えて」と指示する。1つづつ指差しながら数えられた場合は,金額カードを見せて言語賞賛する。できない場合は,再度モデリングする。
60円も同様に行う。

ステップ2
(1)「80円の硬貨カード」の写真のうえに「50,60,70,80」と数えながら硬貨を置くモデリングを行う。
(2)硬貨が必要数のみ入ったカップを手渡し,「80円の硬貨カード」の上に数えながら硬貨を置くよう指示する。
(3)正しく置けたら言語賞賛する。できない場合は,再度モデリングを行う。
(4)金額カードを提示し,「80円ください」と言いながら右手をA君の前に差し出す。
60円も同様に行う。

ステップ3
(1)硬貨が必要数以上入ったカップを手渡し,「80円の硬貨カード」の上に数えながら硬貨を置くよう指示する。
(2)正しく置けたら言語賞賛する。できない場合は,モデリングを行う。
(3)金額カードを提示し,「80円ください」と言いながら右手をA君の前に差し出す。
60円も同様に行う。

ステップ4.
(1)硬貨が必要数以上入ったカップを手渡し,丸だけのカードの上に硬貨を置くよう指示する。
(2)正しく置けたら言語賞賛する。できない場合は,モデリングを行う。
(3)金額カードを提示し,「80円ください」と言いながら右手をA君の前に差し出す。
60円も同様に行う。

ステップ5.
硬貨が必要数以上あるカップを手渡し,「80円ください」と言いながら右手をA君の前に差し出す。
60円も同様に行う。

(指導手続き2)
指導手続き1のステップ1とステップ5のみを行う。

教材教具など
・80円の硬貨カード(硬貨と同程度の大きさの丸を横1列に6個書き,右端から50円玉,10円玉3個の写真を貼ったもの)
・60円の硬貨カード(硬貨と同程度の大きさの丸を横1列に6個書き,右端から50円玉,10円玉1個の写真を貼ったもの)
・丸だけのカード(硬貨と同程度の大きさの丸を横1列に6個書いたもの)
・硬貨が必要数のみ入ったカップ
・50円玉2個と10円玉5個が入ったカップ
・金額カード(80円,60円)
・事前,事後テスト用プリント教材

達成基準
般化課題の正答率100%が2回続いた時達成したとみなす

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面
指導手続き1
ステップ1 ポインティングしながら硬貨を正しく数えることができたかどうか記録した。
ステップ2〜5 正しく硬貨を構成することができたかどうか記録した。

般化場面
50円玉を使って50,70,90,100円を構成できるかどうかを記録した

グラフ1には,指導手続き1の中のステップ1(60,80円の硬貨カードを数える)とステップ5(視覚的手がかりなしで60,80円を構成する)の正答率を%で表わした。
グラフ2には,般化課題(50,70,90,100円)の正答率を%で表わした。

指導期間
11月28日〜1月20日

硬貨カードの硬貨を数える
A:先行条件 B:行動 C:結果
硬貨カード+「数えて」 50円玉から順に10とびで数える 教師の誉め言葉(↑)

硬貨を構成する
A:先行条件 B:行動 C:結果
「何十円ください」 50円玉と10円玉で何十円を構成する 教師の誉め言葉(↑)


第一系列のタイトル: 指導課題の正答率
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2  
第二系列のタイトル: 般化課題の正答率
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2  
記入日時 2005/10/24/22:43:02  No.63
記入者 KH  E-Mail

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