2005-36



[TOP]  [新規データ登録]  [検索]  [修正・削除・データ処理


視覚障害児に箸の使い方を教える
対象児のプロフィール
・プロフィール: A 中学1年生

・障害の特性:視覚障害 全盲

諸検査結果
・諸検査結果:WISCーIII 言語性IQ76

障害の特性
・視覚障害

指導者
担任1名

長期目標
・長期目標:箸の機能を活かして食事をする

短期目標
・短期目標:箸で食物を挟み食べることができる

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
・指導目標:訓練用の箸を正しく操作して,多様な食物を挟んで食べる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
本児は,視力に障害があり箸の多様な動きを認知することが困難である。小学部5年の時点の箸の使い方は,二本の箸を握り込み,食器を口に付けて箸で食物を口に掻き込むものであった。本児は小学部低学年の時点では,握力の強さや手指の動きの強さが十分でなかったが,手指の機能には問題はなく,5年生で箸の指導を開始した。箸の上部がバネで接続された訓練用の箸を使用して,自立活動の時間にスポンジの小片をつまんで容器から容器へ移したり,本児が興味を持って学習に取り組めるよう給食の時間に訓練用の箸で食事をしたりした。しかし,バネ付きの訓練用箸は「挟む」と「開く」の簡単な操作しか学習できず,ゆっくり使えることができても箸本来の「指の置く位置」や「二本の箸の分離した動き」を習得することはできなかった。また,食物を挟んで食べることは掻き込むより時間がかかり,食事に時間のかかる本児にとってさらに効率の悪い食べ方であり,本児自身が挟んで食べる事を必要と感じなくなっていた。6年生の時点では,箸の指導はしておらず,箸を機能的に使うと言う学習に意欲をもてず,箸を握り込み食物を食器から口に掻き込むという現状のまま,��在の中1に至っている。本児の身辺処理能力や学力から考えると,箸の使用方法を習得することは,適切な指導方法によって可能ではないかと考えられる。本児の将来の社会生活の広がりやQOLを考えると,現在必要な学習であると思われる。


般化場面
昼食時

指導場面
自立活動の時間
放課後の個別学習の時間

指導手続
箸蔵君を使い方をガイダンスで指導する。持ち方・探し方・運び方を注意して指導する。
それでもできなかってものに関しては個別の指導の時間を通じて指導する。

教材教具など
箸蔵君

達成基準
箸蔵君を適切な持ち方で持って,お皿の中にある食べ物を箸で探し,つまんで口に運ぶ。但し,口をお皿や食器に着けない。昼食時に関してはビデオ録画し複数の教員によって達成を評価する。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
般化場面 ビデオ  指導面 数を数える。

指導期間
1月8日から2月中

結果
箸蔵君を正しく持ち,食物を箸先で探し,挟み,口に運んで食べることができた。指導の結果,従来の箸を握り込んで,食器から直接口に書き込む方法より,良い姿勢で効率よく早く食事がとれるようになり,給食の場面では箸蔵君を本児自ら好んで使用している。外出時も持参し,お弁当形式の食事も上手に早く食べることができた。保護者からは,家庭でも箸蔵君を使用したいとの要望があった。

考察
箸を持つ,食物を探す,口へ運ぶの中では,箸を持つと口へ運ぶはすぐ学習できたが,箸で食物を探すことが一番困難であった。また二本の箸の間に食物を置くことが理解しにくかった。課題別の指導ではこれを中心に練習した。これは視覚障害者の持つ空間概念認知の問題かと思われる。指導の結果,健常者が目隠しをして箸蔵君を使うのと同じ程度の結果が得られた。指導を終了した。


第一系列のタイトル: 個別指導時の正反応数
training1: 練習1   training2: 練習2  
第二系列のタイトル: 個別時間の誤反応数
training1: 練習1   training2: 練習2  
記入日時 2005/12/15/14:51:58  No.80
記入者 S  E-Mail

現行ログ/ [1]
++コラボネット++

++マニュアル++
TOP
shiromuku(h)DATA version 4.00