対象児のプロフィール |
Aさん 自閉症女児、小学部1年生、PEP−R:2歳1ヶ月 スケジュールカードを見ながら活動に取り組んでいる。 自分の好きな活動のカードを見つけると、その他のカードは無視してしまい、スケジュールに従って活動することができなくなる時がある。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
スカートをハンガーにかけることができる
1学期に着替えの一連の流れが定着したため、2学期は入学当初難しかったハンガーかけに再度挑戦し、ステップアップをはかろうと考えた。本児は、スカートをハンガーにかけるスキルは充分に持っているが、今まで使用する機会がなかったために、苦手な活動になっていたと思われる。自分の制服をきちんと片付けることは本児にとって必要な活動であると考え設定した。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
入学当初、ほんの数日はハンガーを使用していた。本児は制服をハンガーに近づけることはできるが、引っ掛けることが難しかったため教師と一緒に行っていた。ハンガーをロッカーのポールにかける際、制服が落ちることがたびたびあったが、全く気にしていない様子であった。ハンガーにかけて片付けるのは、本児にとってわかりにくい活動のようであった。 よって、ハンガーかけは中止し、カゴに入れて片付けるようにした。カゴに片付ける活動はスムーズにできており、着替えの一連の流れが教師の指示なくできていた。 家庭でも同様で、制服はカゴに入れて片付けている。
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般化場面 |
学校:着替え後、制服の上着をハンガーにかけて片付ける 家庭:着替え後、スカート、上着をハンガーにかけて片付ける
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指導場面 |
教室(朝の着替え) 9月25日より、朝だけでなく課題学習時にも実施
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指導手続 |
ベースライン 朝の着替え時に、まず教師がモデルを示し、その後本児にスカートをハンガーにかけるように促す。
指導手続 ・スカートをハンガーにかける際、誤反応が出ればすぐに止め、身体的介助を行う。無反応の場合も同様。 ・肩紐をかける位置をわかりやすくするため、ハンガーに異なる2種類のテープを貼る。 ・9月25日より、朝の着替え場面だけでなく、課題学習としてハンガーかけを取り入れる。同じハンガーを用いて実施する。(テープも貼ってある)また、課題学習時のみスカートにもハンガーと同様に、異なる2種類のテープを貼る。
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教材教具など |
(朝の着替え) ・ハンガー(左右に引っ掛けるくぼみのあるもの) ・2種類のテープ (課題学習) ・ハンガー(左右に引っ掛けるくぼみのあるもの) ・2種類のテープ ・スカート
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導場面 一人でできた・・・3点 声かけでできた・・・2点 指さしでできた・・・1点 身体的介助が必要・・・0点
以上に従って課題分析のそれぞれの項目に得点をつける。
課題分析:ロッカーを開ける→ハンガーを取る→ハンガーをロッカーの取っ手にかける→スカートの肩紐を持つ→スカートの片方の紐をハンガーに通す→スカートのもう片方の紐をハンガーに通す→ハンガーを取っ手からはずす→ハンガーをポールにかける
般化場面 ポイントのみではあるが、保護者に記録してもらう
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指導期間 |
指導→平成15年9月〜10月
般化テスト→平成15年11月
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結果 |
スカートをハンガーにかけるという標的行動は達成された。 \x{2460}指導を始めた時期から課題学習として取り組み始めた時期までは、教師の介入が多かった。特に、スカートの肩紐をハンガーに通すことができない状態が続いた。 \x{2461}課題学習で取り組んで2週間を過ぎた頃から、一人でできる活動が増えた。 \x{2462}課題学習開始から1ヶ月後には、ほぼ確実にできるようになった。 \x{2463}家庭での般化も確認された。 \x{2464}スカートを自分でかけることができるようになり、上着もかけようとする姿勢が見られるようになった。
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考察 |
結果\x{2460}について 本児はハンガーにかける活動の機会が今までなかったために、何の目的で使用するのか、どのように指導するのかがわかりにくかったためではないかと思われる。 結果\x{2461}\x{2462}について 課題学習を設定したことは、本児にとって大変効果的であったと思われる。特に、スカートにもハンガーに貼ったテープと同じテープを貼ったことで、色マッチングが得意な本児には何をすればいいかがわかりやすくなったと思われる。 結果\x{2463}\x{2464}について ハンガーは何のために用いるか、どのように用いるかが理解できてきたと考えられる。
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