2003-07



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ズボンの中にシャツを入れる指導
対象児のプロフィール
G児 小3男児。自閉症。
PEP-R 4才0か月(平成13年2月実施)

指導者
D.J

長期目標
服装に応じて、身なりを整えることができる。

短期目標
学生服、体操服(長袖)を着ている時、指示なくズボンの中にシャツを入れたままで過ごすことができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
指導目標
短期目標と同じ。

標的行動
学生服、体操服(長袖)を着ている時、トークンを使用すると、ズボンの中にシャツを入れたままで過ごすことができる。

標的行動を選択した理由
上記の2種類の服装は、どちらもシャツをズボンに入れた方が望ましい服装であると考えられ(シャツが上着から出てしまう為)、保護者からの指導の要望もあった。
本児は、これまでも他の指導目標(おもちゃの片付け)においてトークンを使用し、効果をあげている。トークンを使用することにより、シャツを入れる行動を強化できるのではないかと考えた。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
指導目標に関する本児の実態
本児の着替えスキルは自立しており、シャツを入れるスキルは獲得している。声かけすればシャツをズボンの中に入れることはできるが、すぐに自分で出してしまう。入っている感触があまり好きでないことや多少のこだわりもあるのではないかと推測される。家庭では、シャツを入れるように声かけするだけでも拒否が見られている。

ベースライン
登校時から下校までシャツをズボンに入れることへのプロンプトは全く行わず、シャツをズボンに入れているかどうかの記録をとった。

般化場面
(1)家庭で学生服を着た時に、自分からシャツを入れる。
(2)家庭から学校へ登校するまで、シャツを入れたままで過ごせる。
(3)家庭場面で、学生服・体操服以外の服でも、シャツを入れたままで過ごせる。

指導場面
学校生活全般

指導手続
『やくそく「シャツをズボンにいれる」』と10個の丸印が書かれたトークン表を本児のロッカーに貼る。1日10回、シャツが入っているかどうかを確認し、シャツが入っている時(正反応)は、「入っているね」と賞賛し、トークンシールを1枚手渡した。シャツが出ている時(誤反応)は、「あれ!(シャツが出てるよ)」等の声かけを行い、自分で入れることができたら、シールを手渡した。10個シールが貯まったら、ごほうびのキャラクターカードと交換できるように設定した。(あらかじめ、キャラクターカードは、3種類の中から好きなカードを1枚選択させておく。)
 シャツが入っているかどうか確認する時間(チェック時間)は、着替え後、トイレ後のシャツを出す機会のある直後と課題学習等の活動後、遊び時間等に行った。

教材教具など
トークン表

達成基準
チェック時間すべてにおいて正反応が見られ、それが4日間連続したら達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面の記録の取り方
チェック時間(主に登校時、着替え後、朝の会前、運動後、課題後、給食前、着替え後、昼休み中、帰りの会前、トイレ後等)にシャツがズボンの中に入っているかどうかを記録した。

般化場面の記録の取り方
達成基準に達した後で、家庭との連携のもと、実施予定。

指導期間
2003 年 10月 8日〜11月5日

結果
ベースラインでは、どの場面においてもシャツをズボンに入れている様子は観察されず、入れている確率は、0%であった。
トークンシステムを導入後、3日目で正反応率が100%になった。8、9日目で達成率が下がっているのは、寒くなってきたためにシャツを2枚着るようになったためである。指導13日目に達成基準に達した。
般化(2)については、登校時に添乗している教員にたずねたところ、シャツを入れたままで過ごすことができており、般化が確認された。
家庭場面での般化(1)(3)については、連絡帳を通して保護者にたずねると、『休日は、自分でシャツを入れるようになってきました。時々シャツが見えることもありますが。以前のように、嫌がってすぐに引っ張り出し、「これで良し!」という顔はしなくなりました。』との返答があった。家庭では、トークンシステムは未使用であるが、般化が確認されている。
12月頃からシャツをパンツの中に入れる過剰般化が見られるようになったが、冬休み以降は、ほとんど見られていない。2月現在において、家庭・学校両場面でも行動を維持することができている。(現在は、学校場面においても、トークンシステムは未使用である。)

考察
トークンシステムを利用することで、「シャツを入れる」行動が早期に獲得できた。本児をはじめ多くの障害のある児童は、「何故シャツを入れたほうが良いのか」という社会的な理由(例えば、「はずかしい」や「場にそぐわないから」等)を理解することが難しい場合が多い。社会的な理由が理解できなくても、トークンを用いることで、シャツを入れる行動を強化することができることがわかった。
また、トークンを徐々にフェードアウトすることによって、トークンがなくても行動を維持することができるようになった。家庭場面において、トークンを使用しなくても般化したことの要因として、自閉症児の特性(獲得した行動を保持しようとする)とトークンに変わる保護者の言語賞賛が影響していると思われる。
今後は、TPOに応じた服の着方(シャツを出してもいい服等)の指導も必要になってくるだろう。


記入日時 2006/01/29/17:20:10  No.99
記入者 管理者  E-Mail

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