対象児のプロフィール |
M.M 中学部3年 女子 知的障害 てんかん
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長期目標 |
「1年後」 活動の終わりや次の活動への移行を,落ち着いて行えるようになる。
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短期目標 |
教室への移動をスムーズに行えるようになる。 (声かけなしで)
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
指導目標 首からのカードをかけて移動する
標的行動 カードをもらって「〜へ行って」の声掛けだけで移動できるようになる。
標的行動を選択した理由 現在,同クラスの生徒(Y子)の指導において使用している場所カードに興味を持っており,カードを持つ事により場所移動の動機付けをして,効果がありそうだと考えたから。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
指導目標に関する本児の実態 具体的な原因が明確にできていないのだが,教室移動(教室←→学習活動の場所,トイレ等)の前に急に不機嫌になり,怒り出したり,泣き出したり,周囲の物を投げたり,人をたたいたり等の行動が出ており,「行かんのな」と言う事が多い。
ベースライン ・かんしゃくを起こしたら,おだてたり,好きな物に興味を持たせて誘導していた。 ・強制的に連れて行っていた。 ・かんしゃくを起こしたら,言葉での注意(叱咤) ・行かずに同教室内で活動させる。 ・無視する。 等,様々な働きかけをしていた。
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般化場面 |
本人が一番行く事を拒否するトイレへの移動 (カードなしで移動する)
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指導手続 |
◆カードの提示の仕方
○移動の際に出発点から,目的地のカードをカードケースに入れて首に掛けてきます。 ○目的地に着くと,その授業の担当の先生にカードケースを渡します。 ○トイレに行くときは,カードケースのカードを入れ替えてください。 ○授業が終わると,カードケースに次の教室(目的地)のカードを入れ,首に掛けてやってください。 その際に,カードを見せながら「○○に行ってください」 「次は○○です」 との声かけだけでお願いします。
※移動の際に,途中で止まることがあればプロンプトを各担当の先生で与えてやってください。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導場面の記録の取り方 ◆移動に関する評価記入
各教科,または移動に関わった先生は評価用紙に記入をお願いします。
◆評価の仕方 どれかに○を入れてください 気になることがあれば記入してください。?の場合は,どの様なプロンプトを与えたかを記入してください。 ??の場合は必ず思い当たる理由を記入してください
?一人で・・・カードを首に掛け最初の指示だけで移動できた ?プロンプト・・・その場で止まっていたり,途中で移動を止めてしまったので,2度目の指示を与えた ?強制・・・仕方なく無理矢理移動場所に連れて行った ?×・・・上記のいずれでも移動ができなかった(行っていることを終了できず,移動をしなかった)
般化場面の記録の取り方 指導場面と同様に記録をとる
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結果 |
移動(一人+プロンプトあり) 86% そのうち 一人での移動は 52% プロンプトありは 34% となり,移動はスムーズに行えるようになってきた。
※10/15〜17の期間は修学旅行中だったので,以前のBaselineの指導方法で行った。
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考察 |
指導前は,かんしゃくの原因が教室移動にあるのでは?と考え,教室移動をなるべく無くして活動させるようにしていたが,今回カードを使用しての教室移動の指導を行い,観察してみると,移動自体がかんしゃくの原因にはなっていないのではないかと思われた。 もしくは,これまで言葉での指示で教室移動をするよう促してきていたのが,明確に場所がわかるカードを提示する事で,自身の行動にはっきりしたゴールを見いだせ,移動がスムーズに行われたのかもしれない。以前は,言葉だけによる場所の提示が,約1ヶ月カードと言葉による場所の提示をする事で,はっきりと,場所が明確になり,カードを提示しなくても,スムーズに移動が行われるようになったのではないかと思われる。
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