200922



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事例担当者のイニシャル[HELP]K O O
事例研究のタイトル[HELP]給食時、「いただきます」をするまで座って過ごす支援
事例の概要[HELP]待ち時間やする事が決まっていない時間に、席に座って待つ事が苦手な女児。
友達がそろうまでまだ時間があると自分で判断すると、席を離れてビデオやパズルをしに行く。
対象児のプロフィール[HELP]特別支援学校在籍 小4女児 自閉症・知的障害
K−ABC:(継次処理尺度60±9 同時処理尺度68±7  有意差なし)
指導者の役割と人数[HELP]担任3名 (K, O, O)
長期目標[HELP]クラスの友達がそろい、授業(給食時の「いただきます」)が始まるまで、自分の席に座り5分程度、本を読む等して過ごす。
短期目標[HELP]クラスの友達がそろい、授業(給食時の「いただきます」)が始まるまで、自分の席に座り3分程度、本を読む等して過ごす。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]おかずのお皿を運んだ後、自分の席で30秒程度、本を読むなどして過ごす。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]おかずのお皿を運んだ後、小部屋に入り、ビデオを見たりパズルをしたりする。
標的行動を取り上げる意義[HELP]中学部・高等部に進学するにつれ、集団が大きくなっていくことから、今後、対象児が過ごすであろう「待ち時間」は長く、かつ、機会も頻繁になっていくことが予想される。その様な時に、自分の席に座り本を読む等などして時間を過ごす事ができるスキルは、集団生活を行う上で必要だと考える。
また学校生活を離れて、一人で公共の交通機関(路線バスや汽車)を使う際に、バス停や駅等で、決められた時間まで(時にはそれ以上の時間)その場で過ごさなければならない場面にも、般化できると考える。
事例に関する情報[HELP]・チェック式スケジュール(一日提示)に沿って活動できる。
・トークンが有効で、今までにもトークンを使った指導をしてきている。
・スケジュールの合間(する事が決まっていない時間や待ち時間)に、時間があると自分で判断すると、席を離れて好きなこと(ビデオを見たりパズルをしたり)をし始める。
・自分の席を離れて、ビデオなど好きなことをし始めると、言葉かけをしてもすぐに席に戻る事が難しい。
問題の推定原因[HELP]1.イスに座っていても良い事がないから
2.遊んでいた続きが気になるから
3.友達がイスに座って待ち時間に見ているビデオ(でこぼこフレンズ等)に興味がないから
4.イスに座って待つ意味が分からないから
5.イスに座って待つ経験がないから
6.みんながしている(イスに座っている)から自分もしなきゃ・・という協調性がないから
7.一秒でも遊びたいから(空き時間を自分で判断して遊び時間にしたいから)
8.座る前から周りが気になり仕方がなくて、動いてしまうから
9.一回座っても、周りが気になってすぐに立ってしまうから
想定される解決策[HELP]1.座っていられたらご褒美がもらえる(トークン)
2.キリが良いところでタイマーが鳴るようにセットしておく。納得するまで遊ばせる
3.羞恥心やプリキュアのビデオを流す
4.イスに座って待つ意味を教え、できたら褒める(ことば、ご褒美)
5.イスに座って待つ経験を積み、できたら褒める(ことば、ご褒美)
6.イスに座って待つ意味を教え、できたら褒める(ことば、ご褒美)
7.その時にするべき事を伝える・確認する
8.気になるものを取り除いておく(環境を整理しておく)
9.イスの周りに衝立を立てる
選択した原因と解決策[HELP]イスに座っていても良い事がないから
→座っていられたらご褒美がもらえる(トークン)
般化を狙う場面[HELP]朝・帰りの会の前、授業の前、行事などの待ち時間、公共交通機関を使う時の待ち時間
指導場面[HELP]4くみ教室 給食の準備時間
指導手続き[HELP]1.スケジュールに、今日の約束「おかずを配った後、自分の席に行き、「いただきます」をするまで本を読んで座っています」カードを表示しておく
2.T1が配膳カートを教室内に入れ、「お願いします!」と声をかける
3.T1、T2、T3は、対象児が自分と友達のお皿(ご飯やおかず)を配るのを見守る
配り始めなかった場合→T1が声かけや指さしを行う
4.対象児が配り終えたら、席に着くように声をかける
席に着かなかったら→声かけや身体的ガイダンスで席に誘導する
5.対象児が着席したのを見届け、T1が職員のお皿を配る。
6.T2T3は、対象児が座っているかを見守る
職員が配り終えるまで(30秒ほど)座っていられたら→「シールゲットだね」等ことばかけをする
席を立ったとき→「約束は?」等ことばかけをし、約束の内容に気づかせる
7.T2(手が空いている教員)が、約束チェックを行う
約束が守れていたら(自己評価と教員からの評価)→チェック表に○をつけるように促し、シールを一枚渡す
約束が守れていなかったら→自己評価で×だったらチェック表に×をつけるように促す
            自己評価が○で教員からの評価が×だったら、本人のした行動を思い出             すように話をし、本人が納得したらチェック表に×をつけるように促す。
8.シールが5枚貯まったら、エヴァンゲリオン(シンジ)のカードを一枚渡す。
利用可能な好子[HELP]エヴァンゲリオン(シンジ)のカード
羞恥心のカードやグッズ
お菓子
可愛いドレスが着れる権利 
遊びの時間の延長 
教材教具など[HELP]エヴァンゲリオン(シンジ)のカード
きょうのやくそく(チェック表)カード
シール表
記録の取り方[HELP]自分の席に着いた後、教員が配膳し終えるまで(30秒程度)イスに座っていた:1点
自分の席に着いた後、教員が配膳し終えるまで(30秒程度)イスに座っている以外の行動を取った:0点 
とし、点数化する。
ベースライン期は3日間
指導期間と達成基準[HELP]ベースライン期:10月28日〜30日(3日間)
指導期:11月9日〜20日(10日間)
達成基準:10日間のうち、続けて5日間○が続いたら達成とする。
結果[HELP]ベースライン期:3日間とも×だった。配膳後、教室内の小部屋に入り、本やビデオを見て過ごしていた。
指導期:指導2日目は、一度席に座ったものの風船を見つけて気になり立ち上がって取りに行った。
    指導3日目以降、11月11日から11月18日の間(11月17日は欠席)に、5日間連    続で正反応(おかずのお皿を運んだ後、自分の席で30秒程度、本を読むなどして過ごす。)    が見られた。
考察[HELP]今回指導を行ったことで、指導する前に見られた、給食の準備時間に小部屋に入り、絵本やビデオを見る行動が減った。
「今日の約束」で、お皿を配った後、イスに座るという行動を意識付ける事ができた。また、対象児にとっての好子であるエヴァンゲリオンのカードをご褒美にしたトークンを活用したことが効果的であったと考える。
指導2日目に×がついたとき、教員が「なぜ×が付いたのか」「どうしたらシールがもらえたのか」等について介入した結果、3日目からは、席につく前に本を準備しておく等の工夫がみられるようになった。
「今日の約束」の中で提示された以外の時間においても、小部屋に入らず、自分の席に座り本を読んで過ごす姿も見られ始めた。
この標的行動(自分の席で30秒程度、本を読むなどして過ごす)は、学校生活の他場面や、中高等部に進学してから、また、公共の交通機関を利用するときなどに般化可能性があり、社会的妥当性が高いと言える。
対象児の興味関心が変わりやすいので、今回好子に使ったカードがいつまで有効か分からない。使う好子は頻繁に見直す必要があると考える。
また、対象児にして欲しい行動を「今日の約束」の中で、分かりやすく表現することが難しかった。「待つ」という抽象的な表現を避け、「イスに座っている」という具体的な行動を示す必要があった。

記入日時 2010/01/12/17:45:09

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