201030



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事例担当者のイニシャル[HELP]
事例研究のタイトル[HELP]ひとりで指定された準備物を準備するための支援
事例の概要[HELP]現在、朝の運動に行く前に、持って行く物(帽子・タオル・マグネットボード)の写真カードをパートスケジュールとして提示し、写真を終了ボックスに入れる→写真で示された物を持ってくる、という指導を行っている。
しかし、写真カードをとることに教員の指さしが必要な状態である。
また、写真カードをすべてとってしまったり、写真カードをとっても行動が見られず、教員の声かけや指さし、身体的ガイダンス(物がある方向に体の向きを後方より変える)が必要なことが多い。
物を取りに行った先で立ち止まり、声かけが必要なこともある。
対象児のプロフィール[HELP]高1 男子生徒 知的障害
新版K式 P−M1歳8ヶ月 C−A2歳 L−S1歳11ヶ月 全領域1歳11ヶ月(H22、10、6)
指導者の役割と人数[HELP]担任3名(ローテーションで1名ずつ)
長期目標[HELP]運動や作業等で必要な物を自分で準備することができる。
短期目標[HELP]朝の運動に行くとき、教員の声かけでカゴの前に移動し、帽子をかぶり、マグネットボードを持つことができる。
(12月より月・水は帽子のみ、金は帽子とマグネットボードを準備する)
標的行動(増やしたい行動)[HELP]朝の運動の準備をする(帽子・マグネットボード)
標的行動(減らしたい行動)[HELP]カゴ以外の前に移動する、立ち止まる、準備をせず朝の運動に行く
標的行動を取り上げる意義[HELP]現在、教員の言葉かけや指さし等の支援を受けて活動を行う場面が多く、本人も指示を待つ傾向にある。
卒業後を見据えて、教員や支援者の言葉かけなく1人で行うことができる活動が増えればと考えた。本人が分かりやすいもの・ことであること、他の活動に般化しやすい内容であること、という2点を考え、「活動に必要な物を、準備してあるカゴに取りに行く」という標的行動を設定した。

事例に関する情報[HELP]活動に必要な物を準備することなく、すぐに移動しようとすることがある。
指示された物と違う物を手にすることもある。
指示されて取りに行くが、手に持たずに戻ってくることもある。
自分の物と他者の物の区別はできるが、物に注目できていない場合は他者の物を取ることもある。
(他者のロッカーに手を入れ、他者の帽子をとるなど)
身近な物の写真と具体物のマッチングはできる。
短い言語指示(○○取ってきて、△△に行くよ等)を理解し、指示に従うことができる。
問題の推定原因[HELP]1、求められている行動(活動に必要な物を取りに行く)を本人が十分理解できていないから。
2、教員が支援してくれるから。
3、友だちや教員の動きが気になるから。
4、友だちや教員の言葉が聞こえてくるから。
5、その行動をしなくても、困ることがないから。
想定される解決策[HELP]1、本人が分かりやすい方法に変更する。
2、本人の行動を見守る時間を持つ。
3、友だちや教員から離れた場所(教室後方)で指導を行う。
4、教員の他の生徒に対する声かけを減らす、または声の大きさを小さくする。
5、
選択した原因と解決策[HELP]1、求められている行動を本人が十分理解できていないから。
→本人が分かりやすい方法に変更する。

2、教員が支援してくれるから。
→本人の行動を見守る時間を持つ。
般化を狙う場面[HELP]他の授業の準備
指導場面[HELP]日常生活の指導(月、水、木、金)
(朝の会終了後、「朝の運動」に行く直前)
指導手続き[HELP](指導開始初日)
1、朝の会終了後、教員は「朝の運動の準備をしてください。」と言う。
2、教員は、黒板前のカゴの前に移動するよう「カゴ」と声かけを行いまがら、カゴを指さす。
3、カゴの前に移動したら、教員は「帽子」と声かけを行いながら、カゴの中の帽子を指さす。
4、教員は「かぶる」と声かけを行いながら、本人の頭部分を指さす。
5、教員は「マグネット」と声かけを行いながら、カゴの中にあるマグネットボードを指さす。
6,教員は「いってらっしゃい」と声かけを行いながら、手を振る。

(介入1)
1、朝の会終了後、教員は「朝の運動の準備をしてください。」と言う。
2、教員は本人が黒板前のカゴの前に移動するよう指さしを行う。移動する行動が見られない場合、教員は「カゴ」と声かけを行う。
3、教員は本人がカゴの中にある帽子をとるよう、指さしを行う。行動が見られない場合、教員は「帽子」と声かけを行う。
4、教員は本人が帽子をかぶるよう、本人の頭部分を指さしする。帽子をかぶる行動が見られない場合、教員は「かぶる」と声かけする。
5、教員は本人がカゴの中にあるマグネットボードとるよう、指さしを行う。マグネットボードをとる行動が見られない場合、教員は「マグネット」と声かけをする。
6、教員は「いってらっしゃい」と声かけを行いながら、手を振る。

(介入2)
1、朝の会終了後、教員は「朝の運動の準備をしてください。」と言う。
2、教員は本人が黒板前のカゴの前に移動する様子を後方より見守る。移動する行動が見られない場合、教員はカゴを指さしする。
3、教員は本人がカゴの中にある帽子をとる様子を後方より見守る。帽子をとる行動が見られない場合、教員は指さしを行う。それでも行動が見られない場合、教員は本人の手を後方から持ったまま、カゴの中にある帽子をとる。
4、教員は本人が帽子をかぶる様子を後方より見守る。帽子をかぶる行動が見られない場合、教員は「かぶる」と声かけする。
5、教員は本人がカゴの中にあるマグネットボードをとる様子を見守る。マグネットボードをとる行動が見られない場合、教員マグネットボードを指さす。
6、教員は「いってらっしゃい」と声かけを行いながら、手を振る。
利用可能な好子[HELP]「すごいね」等の言語賞賛
教材教具など[HELP]カゴ
記録の取り方[HELP](ベースライン)
写真カードを用い、「朝の運動の準備をしてください」と教員が声かけしてから、本人が準備して教室を出るまでの行動を課題分析し、各項目ごとに以下のように記録する。

1人でできた・・・◎、指さしでできた・・・○、声かけでできた・・・△、身体的ガイダンスでできた・・・×

(指導1・2)
「朝の運動の準備をしてください」と教員が声かけしてから、本人が準備して教室を出るまでの行動を課題分析し、各項目ごとに以下のように記録する。

1人でできた・・・◎、指さしでできた・・・○、声かけでできた・・・△、身体的ガイダンスでできた・・・×
指導期間と達成基準[HELP]『指導期間』
(ベースライン)
12月6日〜12月10日

(指導1)
12月13日〜2月7日

(指導2)
2月8日〜3月23日

『達成基準』
(指導1) すべての項目で○か◎がつくことが、5回連続した場合を達成とし、次の指導に進む。

(指導2) すべての項目で◎が5回連続した場合を達成とする。

結果[HELP](指導1)
カゴの前に(指さしで)移動するという行動は、12月16日(指導開始2日目)からできるようになった。
その他の行動(帽子を取る等)は、1月17日にすべて指さしでできるようになった。
1月19日以降には、教員が指さしをする前に行動を行う姿が見られるようになり、1月28日に目標を達成した。 目標達成後の2月1日・2日に、違う場所(カゴ以外)に置いてあるマグネットボード(その日に使用しない準備物)を持って行こうとする行動が見られた。本人に見えない場所に片付けることで、2月3日にはその行動は見られなくなった。

(指導2)
2月9日(指導初日)には教室を出ることに声かけが必要であったが、それ以降は声かけなしでできている。
2月17日から、全ての項目で◎が4回連続したが、2月25日に帽子をかぶることに指さしが必要なことがあり、達成にはいたっていない。
3月に入ってから欠席が続いたため、継続して指導を行うことが出来ず、指導2は達成しないまま終了した。

考察[HELP]○準備の簡略化
ベースラインの指導では、行動が途切れたり、「写真カードを取る→物を取りに行く」という手順が本人に分かりにくく、行動が連鎖しにくかった。指導1では準備物を全てカゴに入れて提示するという方法を行った。指導1で、指さしなしでも一人でできることが多くなったことからも、カゴに準備する物を入れて提示する方法が、本人にとって分かりやすかったと考えられる。

○早めのプロンプトの有効性
指導1で、早めに指示(指さし)を出して行動を促すことで、標的行動以外の行動が起こることを防ぐことができたと考えられる。

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
目線より下にパートスケジュールあり
クラスメイトあり
教員あり
教員のスタートの声かけなし
写真カードをとる 教員の指さし(↓)
教員の声かけ(↓)
訂正あり(?)


指導1
A:先行条件 B:行動 C:結果
前方にカゴあり
クラスメイトあり
教員あり
教員の指示の声かけあり
『朝の運動セット』のカゴの前に移動する 目の前に帽子とマグネットボードあり(↑)
教員の褒め言葉(↑)

FILE 190_185_1.jtd

カゴの置き場所

カゴの中
FILE 190_185_6.ppt
春の講座ポスター
記入日時 2010/10/20/09:46:50

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