201104
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事例担当者のイニシャル
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A
事例研究のタイトル
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小学部児童が友だちに要求を受け入れられなかったときに自傷をせず言葉で伝えることができるための支援
事例の概要
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本児は要求を受け入れてもらえなかったとき、否定的な言葉を言われたとき、思い通りにならないとき、思っていいたこととは違う出来事があったとき、未経験の活動、初めての場所での活動など負荷が高い場面での額を拳や床や壁に打ち付ける、肘で壁を叩くといった自傷行為が目立つ。このような場面で定着している自傷行為の代替行動を見つけ、自傷行為を減らすことを目標に本実践に取り組んだ。
対象児のプロフィール
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小学部4年 男児 知的障害
新版K式発達検査2001(H13.12.7実施)
全領域 2:8 (姿勢・運動 2:4 認知・適応 2:1 言語・社会 3:4)
S-M社会生活能力 SQ 35 SA 3:5
指導者の役割と人数
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担任3名
その他学部教員5名
長期目標
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嫌なことがあった時に自傷をせず言葉で伝えることができる
短期目標
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要求を受け入れられなかったときに自傷をせず言葉で伝えることができる
標的行動(増やしたい行動)
[HELP]
友だちに要求を受け入れられなかったときに言葉で伝えることができる
標的行動(減らしたい行動)
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友だちに要求を受け入れられなかったときに自傷をする
標的行動を取り上げる意義
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学校生活だけでなく施設での集団生活においても、嫌なことがあった時に言葉で嫌だったことを伝えることで他害や自傷以外の適切な対応方法を身につけることができる。また、生活全体でのトラブルを減らし、褒められる機会を増やしていくことができる。
事例に関する情報
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学校に隣接している児童福祉施設に1歳の頃から入所している。
要求が通らないと額を机や壁に打ち付けたり、拳で額を叩いたり、手をかんだりという自傷行為や壁や窓ガラス机などを肘でたたいり、八つ当たり的に友だちを叩いたりという他害行為がみられた。
昨年度、他害したら3分間その場から放すと同時に言葉で対応することを指導することで、他害行為はかなり減少した。しかし、自傷行為は1日数回見られている。主に、自分の要求が通らないときや他児に不意に触られたとき、自分が予期していたことと違うことがおこったとき、難しい課題や初めての活動に取り組むときなどに自傷行為は見られる。自傷行為は1日に10回以上見られ、額に瘤ができている。1分以上続く場合もあるが、徐々に自傷時間は短くなり、気持ちの切り替えが早くなってきた。自傷行為が激しいときや物にあたるときは、他の児童の学習も中断されてしまう。
問題の推定原因
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自傷をすることで周囲の大人が注目してくれる、嫌な状況を回避してくれる
嫌なことを相手に伝えることができる
これまでに要求がかなうことがあった
他害・自傷以外に要求を伝える方法を身についけていない
想定される解決策
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自傷以外の方法を教える
相手や周囲の大人に伝わる言葉を身につける
選択した原因と解決策
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嫌なことを相手や周囲の大人に伝える方法として、言葉で伝えることを学習する
般化を狙う場面
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入所している児童福祉施設で嫌なことがあった場面
特定の友だち以外が嫌なことをした場面
指導場面
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登校後の対面課題の時間
Yくんと一緒に学習する場面(朝の会、体育、音楽、生活単元学習、下校前のビデオの時間他)
指導手続き
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指導1
・朝の会の前の対面学習の時間に,アンパンマンからの手紙形式でクラスメイトのYくんがするべきことに取り組まない時や逸脱行動などが見られたときに「Yくんちがうよ」と言い,Yくんが大きな声を大きな声を出したときは「Yくん静かにして」と言って対応できることを賞賛した内容のソーシャルストーリーズの読み聞かせをする。
・適切な言葉で対応できたときはすぐに賞賛する。また,共感する。
・自傷する場合は,無反応で対応する。
・適切な言葉で対応できた日は,アンパンマンから褒め言葉の手紙が届くようにしておく。
指導2
・Yくんに関することで自傷が起こりそうな学習場面の直前に「Yくんちがうよ」「Yくん静かにして」という練習を行うことを追加した。
利用可能な好子
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褒め言葉 汽車に乗る・見る お菓子 お出かけ 車に乗る
フリフリグッズ(棒状のものを振る感覚刺激が好き)
プレゼント
教材教具など
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アンパンマンからの手紙形式のソーシャルストーリーブック
アンパンマンからの賞賛の手紙
記録の取り方
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Yくんがするべきことに取り組まない時や要求に応じてくれない時に自傷があったら ×
適切な言葉で対応できたら ○ を記録する。
(適切な言葉で対応できても自傷があれば×とする)
日ごとに適切な言葉で対応できた割合を出す。(○の数/○と×の合計)
*どのような言葉で対応できたかも記録しておく。
指導期間と達成基準
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12月1日から1月17日
自傷せずに対応できる割合が80%以上の日が5日間続いたら達成とする。
結果
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指導1
指導開始をしてからYくん関係で不快な場面があった日の中で,4日目で言葉で対応できる割合が100%になった。その後,100%,67%,100%という結果であった。
指導2
指導2の手だてを加えて,8日目で達成した。
考察
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指導1として,朝の対面学習の時間に「Yくんが大きな声をだしたときは『Yくん静かにして』という」ことと「するべきことに取り組まない時は『Yくんちがうよ』という」ことのアンパンマンからの手紙を読んで,その言葉を言う練習をすることで,そのような場面時に自傷をせずに,言葉で対応する場面が出てきた。Yくんに関する不快な場面では言葉で対応することができるようになってきた。より効果を高めるため,指導2としてYくんに関することで自傷が起こりそうな学習場面の直前に「Yくん静かにして」「Yくんちがうよ」という練習を行うことにした。言葉で対応できた時に,すぐに褒めることで,その後も言葉で対応できることが何度か続けて見られた。また,「Yくん座ってください」といったような自分なりの言葉で対応する場面も見られるようになった。
本児は不安が強く過敏な部分があるため,不快な出来事に過剰反応して他害や自傷で対応することが多く,その他の解消方法を習得できていなかったと考える。落ちつているときに適切な行動を伝えて練習し,できたときにすぐにほめられることで適切に対応できる場面が定着してきたと思われる。
Yくん関係以外の場面で自傷することもたくさん残っているため,今後は自傷が起こりやすい場面を想定して指導場面を増やしていき,適切場面を増やしていきたいと思う。
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214_231_1.xls
自傷回数
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214_231_2.xls
言葉で対応できた割合
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214_231_3.xls
言葉で対応できた回数と自傷した回数
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214_231_5.ppt
春の特別講座ポスター発表用スライド
記入日時
2012/01/09/16:38:28
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