201105



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事例担当者のイニシャル[HELP]N/S/T
事例研究のタイトル[HELP] 小学部ダウン症児童が髪をひっぱろうとする行動をぬいぐるみを抱く行動に替える実践
事例の概要[HELP] 本児の目の前や目線より下に髪がある時,髪をつかんで離さない行動を事前に防いで,別の行動に替えたい。
対象児のプロフィール[HELP]・学校生活では,具体物のスケジュールを使って活動している。
・言葉の理解は難しいが,状況や場面で「取って」「入れて」「バイバイして」「姿勢,礼」「なでなでして」等の言葉かけと指差しに応じて反応することができる。
・聴覚過敏があり,自分の嫌いな音には,耳ふさぎをすることがある。
・おもちゃのキーボードや音の出る絵本で一人で遊ぶことが多い。
指導者の役割と人数[HELP]担任N(一番長い時間(週16時間)担当している)
担任S(同じ教室でいる,週3時間担当,給食及びトイレ介助)
教科担任T(週4時間担当)
教科担任T・M・I(週1時間担当)
他学部の教員(給食及びトイレ介助時のみに入る)F・H・M

合計9名の教員
長期目標[HELP]学校生活で教員又は児童生徒が近くにいる時,目の前に提示されたぬいぐるみを抱くことができる。
短期目標[HELP]トイレへの移動中,同じクラスの児童が近くにいる時,目の前に提示されたぬいぐるみを抱くことができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]ぬいぐるみを抱く
標的行動(減らしたい行動)[HELP]髪をひっぱる
標的行動を取り上げる意義[HELP] 生活全般で学校,放課後の施設,家庭と近くにいる人の髪をひっぱる行動が見られるので,学校で解決した方法を他の生活の中でも般化をねらっていく。
事例に関する情報[HELP]・人が接近している時,トランポリンなど揺れる運動をした時や寝転んでいる人,腹筋運動など揺れている人を見ると,興奮人を倒したり,髪やTシャツをひっぱったりといった行動がでる。着替え・トイレなどで介助をされている時も髪をひっぱる行動がでることがある。髪をひっぱった時は,「あれー」「ん?」「だめです」と言うと手を離すこともあるが,さらに強くひっぱって離すことが困難になることもある。ひっぱる力も強い。

問題の推定原因[HELP]1.髪がはえているから
2.ふさふさした感触が好きだから
3.髪をひっぱった時の反応がおもしろいから
4.髪をひっぱる感触が好きだから
5.髪がひっぱりやすい位置にあるから
6.揺れている(笑っている)人が目に入りやすく,髪がそこに見えるから
7・声をかけられてそばに髪があることに気づくから
8.手を伸ばすとつかめる距離にあるから
9.ひっぱった後,抱え込む感触が好きだから

想定される解決策[HELP]1.帽子又はヘルメットをかぶる
2.ふさふさした物を持つ
3.反応をしない
4.何か別のひっぱる物をつける
5.髪を目の前に見えないようにする
6.揺れている人と髪を見えないようにする
7.
般化を狙う場面[HELP]排尿失敗をした時の衣服介助場面
指導場面[HELP]トイレへ移動する場面
指導手続き[HELP]介入1
1.トイレのオブジェクトを取って移動する時,教員はぬいぐるみをAに渡す。ぬいぐるみを本児の体に密着するように提示する。児童の横について歩く。
2.同じクラスの児童が本児の視界に入らない位置に立つ。
3.本児がぬいぐるみを抱いたら,そのまま移動し,トイレのカーテン前まできたら,ぬいぐるみを椅子に置くように促す。
4.ぬいぐるみをなかなか抱こうとしない時は,「Aくん,ギュッてして」と言葉かけをして抱くまでぬいぐるみを体に密着するように提示する。
5.本児がぬいぐるみを投げる,または落としたら,本児から目を離さず本児とともにぬいぐるみをとりに行く。
利用可能な好子[HELP]キーボード・音の出る絵本・動いて音のでるぬいぐるみ・ふわふわの感触
リズムのある言葉かけや童謡,ハイタッチ
教材教具など[HELP]ぬいぐるみ
記録の取り方[HELP]ぬいぐるみを抱きながら移動することができた  ○
ぬいぐるみを持とうとしない,落とす,遊ぶ   ×
教員の髪とひっぱりにくる,ひっぱる      ×
指導期間と達成基準[HELP]平成23年.12.5(月)〜平成24年.2.13(月)
結果[HELP]指導1日目の2回目から正反応が見られた。しかし,指導開始9日間は,1日を通しての割合が
100%に達することができなかった。2週目から3週目にかけて連続して5日間正反応が見られた。冬季休業をはさんだ後5日間正反応が続いた。1月17日〜2月3日まで体調不良で学校を欠席したため,指導を行えなかった。2月6日から再び指導を開始し,正反応が5日間続き,指導目標が達成となった。
考察[HELP] 指導場面でぬいぐるみを抱いて移動することとその際に教員がバリアになって視覚的に遮断することは有効であった。 ぬいぐるみを抱くことは,指導開始9日間は抱くことができる時と床に落とす,又は手で持って左右に動かす時があった。ぬいぐるみで何をしたらよいのかがわからなかったからだと思われる。再び持ち直すように指導することを繰り返すことで,持って移動するということを本児が理解したと思われる。ぬいぐるみの感触とぎゅっとできる感触は本児にとって好子となっている。結果,指導場面での髪ひっぱりが起こることはなかった。
 しかし,学校生活全般における髪ひっぱりは,ベースラインと比べて回数に変化が少ない。人が密接している,特定の人の笑い声や体の揺れが視界に入る状況になると髪ひっぱりが起こっている。このような状況の場面をつくらないようにすることや,このような状況を避けられない場面では指導場面以外でも,ぬいぐるみを抱くようにすることが必要だと思われる。
 現在15日間○が続き,指導場面での目標は達成している。長期欠席の後も指導場面では,ぬいぐるみを抱いて移動することにより髪引っ張りはみられなかった。しかし学校生活全般の髪引っ張りは起こっている。支援者の頭がAの目線より下で介助する時,感覚あそびをした後,興奮状態にあるときに近くにいる友達の髪を引っ張りにいくなどがある。今後トイレの移動以外の場面で,学校全般の生活でぬいぐるみをもつ機会を増やしていきたい。

FILE 215_234_1.ppt
記入日時 2012/02/23/15:08:07

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