201211



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事例担当者のイニシャル[HELP]C.I
事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年の自閉症児が給食を自分から終わるための支援
事例の概要[HELP]Aさんは,給食を食べ始めてもすぐに離席し,遊びの部屋に入って絵本を読んだり,自分の世界の入り込み踊ったりすることが多かった。教員が「もう終わり?」「ごちそうさま?」と言ってもなかなか席に戻らなかったり,戻ってもちょっと食べてまた離席したりと終わるまでに時間を要していた。
対象児のプロフィール[HELP]小学部1年 女児 Aさん 自閉症,てんかん
 LDT-R:太田のステージ3−2(平成24年5月)
 WPPSI:動作性 IQ103 言語性 測定不能
 Aさんは,活発でことばでの簡単なやりとりができる。興味の限定があり, 自分の世界に入り込み,ずっと同じフレーズや同じことを繰り返ししゃべることも多い。失敗することが苦手で,自信のないことには取り組むことが難しい。
 偏食があり,ご飯や麺のほかにあえていない生の野菜に醤油をつけて食べるぐらいで,給食のメニューで食べることができるものが極度に少ない。給食の準備にも時間がかかっていたが,トークンエコノミーシステムを使い,シールが貯まったら,アイロンビーズをすることができることを楽しみにして,毎日10分程度でできるようになった
指導者の役割と人数[HELP]3名(担任2名と給食時に入ってくれる教員)
長期目標[HELP]給食時,食べるのをやめるときに,自分から終わることができる。
短期目標[HELP]給食時,食べるものがなくなったときに,自分から終わることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]給食時(食べると言ったものがお盆にのっている時),食べるものがなくなったときに自ら片づけに行くことができる。
標的行動を取り上げる意義[HELP]給食を終わるまでにかなりの時間を要していた。家庭でも,なかなか終わることができず,何かをしてはまた戻ってきて食べると言うこともあったり,食べない日があったりすることがあった。標的行動を取り上げることで,家庭での食事場面への般化も狙っていきたい。
事例に関する情報[HELP]Aさんは,給食を食べ始めてもすぐに離席し,遊びの部屋に入って絵本を読んだり,自分の世界の入り込み踊ったりすることが多かった。教員が「もう終わり?」「ごちそうさま?」と言ってもなかなか席に戻らなかったり,戻ってもちょっと食べてまた離席したりと終わるまでに時間を要していた。
問題の推定原因[HELP]給食で食べられるものがないことが第1にあげられる。それが起因となって離席し,興味のあることや自分の世界に入り込んで夢中になってしまうことがあげられる。
般化を狙う場面[HELP]家庭での食事場面
指導場面[HELP]給食時
指導手続き[HELP]教室にある興味のあるものはできるだけ排除しておく。
(1)給食の配膳時に食べるものを聞いて,食べるものだけをお盆にのせる。お茶は配っておく。
(2)給食の約束カード(写真1)と「約束守れたね」表とシール(写真2)を目の前に表示する。
(3)食べるものがなくなった時(離席しようとしたら),絵カードを指さして片づけるように促    す。
(4)それでも離籍しようとしたら,教員がお盆を持って片づけようとする。
(5)片づけて教室に戻ったら即座に「約束守れたね」表とシールを手渡す。
(6)最初の5日間はエラーレス指導を行う。
利用可能な好子[HELP]シール
DVD
絵本
アイロンビーンズ
教材教具など[HELP]給食の約束カード
「約束守れたね」表とシール
記録の取り方[HELP] ○:自ら片づけに行こうとする。
 △:カードを指さし ことばかけ
 ×:教員がかたづけようとする
指導期間と達成基準[HELP]指導期間:11/6〜12 ベースライン
     11/26〜30 エラーレス指導
12/3〜1/16 指導期間(20日)
達成基準:20日間,自ら片づけしようとした(正反応)の割合(%)が80%で達成とする。
結果[HELP]エラーレス指導期は,指さしの支援が必要であった日が1日あったが他の4日は約束カードなどだけの提示で自ら片づけに行こうとした。エラーレス指導後2週間は,家庭での出来事が原因で学校でも不安定になることがあり,給食中も急に自分の世界に入り込んでしまい,離席をするようになった。そのため,離席だけで誤反応としてしまわず,教員のことばかけで直ぐに席に戻り食べ始めた後,食べるのを終わるときに自ら片づけようとした場合は正反応に評価を一時的に変えた。2週間後は家庭も落ち着き,正反応が続き,冬休み明けも正反応が続いた。20日間で自ら片づけしようとした(正反応)日数は16日間,割合は80%で達成した。
考察[HELP] 本事例を通して,給食の時間(指導場面)には本児のかかえているたくさんの問題や課題,考えられる原因が混在していた。加えてとりまく環境要因も深くかかわっていることから指導の難しさを実感した。
 今後の課題としては,今身につき始めている「給食を自分で終わる」という行動を定着させるためにはどのようにしたらよいか,また家庭への般化をどのように図っていったらよいか支援の方法を考えていかなければならない。また,給食についてのAさんの1つ1つの問題に対しての原因推定や課題分析を行い,適切な目標設定や標的行動の設定をしていく必要がある。また,なにを優先すべきなのかも考えて取り組んでいきたいと考えている。

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食 (食べられるもの) 食べる すこしお腹が満たされる(↑)▼給食の時間が終わる(?)

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食 (食べられないもの) あそびの部屋へ行く
踊る
ロッカーの上に上る
じゃべる など
遊べる(↑)
高いところ(↑)
自分の世界(↑)
教員のことばかけ(↓)

指導後
A:先行条件 B:行動 C:結果
「食べる」と言った物がのったお盆(食べられるもののみ) 食べる 教員と一緒に片づけ(↑)
ご褒美シール(↑)
教員のさりげない賞賛(↑)

指導後
A:先行条件 B:行動 C:結果
食べられないもの
約束カード
「約束守れたね」表とシール
片づける
教員と一緒に片づけ(↑)
ご褒美シール(↑)
教員のさりげない賞賛(↑)

記入日時 2013/03/25/15:00:40

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