201212



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事例担当者のイニシャル[HELP]K.S Y.E
事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年の自閉症児がトイレの便座に座るための支援
対象児のプロフィール[HELP]小学部1年 男児 Bさん 自閉症
PEP−R発達年齢:2歳5ヶ月(平成25年1月)
太田のステージ:ステージ2(平成24年10月)
指導者の役割と人数[HELP]担任2名
長期目標[HELP]教員が見守る中,一人で排尿することができる。
短期目標[HELP]排尿時,一人でズボンとパンツをおろすことができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]トイレに行き,便座に座ることができる。
標的行動を取り上げる意義[HELP]Bさんは入学してから,学校のトイレで排尿をほとんどしたことがない。トイレのスケジュールカードは取るが,トイレに行く途中で大の字になって寝転び,「いやん」と言って拒否する行動が多く見られた。徐々にトイレには入ることができるようになったが,カードをポケットに入れてすぐに水を流し,出て行くことがほとんどであった。身体的ガイダンスで脱がして座らせても立ち上がってすぐにズボンをあげる,もしくは逃げ出す行動が見られた。排尿しないため,何か別のことが原因で怒ったり泣いたりした拍子にもらしてしまい,着替えをすることが多く,多いときには1日に3回着替えることもあった。家や外出先では洋式のトイレで問題なく排尿しているということだった。
 トイレを嫌がる理由として考えられることは,学校のトイレは薄暗く,便座も冷たいなど環境的な要因があるということ,行っても楽しいことがないということが考えられた。
 学校は日中を過ごす場所であるため,排尿することは大切であると考える。排尿できるようになればもらした不快感を感じることなく,気持ちにも余裕をもって学習に取り組めると考えられる。大好きなパズルをご褒美に設定し,この実践に取り組んだ。
指導場面[HELP]洋式トイレ
朝 着替え後(9時頃)・・・1
昼 給食後(13時頃)・・・2
※週1回(午後の授業がある日)は14時半頃にも実施・・・3
指導手続き[HELP]【指導1:「ずぼんをおろす」の手順カード,ご褒美のパズルを使った指導】
(1)スケジュールに回数を示した数字シールを貼ったトイレの写真カードを提示しておく。
(2)Bさんが写真カードを取ったら,事前にパズルを見せる。
(3)トイレに行くよう促し,一緒に入る。
(4)写真カードをポケットに入れるよう促す。
(5)「ずぼんをおろす」とことばかけしながら手順カードを指さし,10秒程待つ。自分からしようとしない時は身体的ガイダンスで脱ぐよう促す。
(6)できたら大いに賞賛し,「ずぼんをおろす」の手順カードを剥がす。
(7)すぐにパズルのピースを手渡し,貼るよう促す。(トイレの写真カードの番号と対応する箇所に貼るよう促す。)

【指導2:「ずぼんをおろす」「すわる」の手順カード,便座シート,ご褒美のパズルを使った指導】
(1)〜(5)まで指導1と同様。※(3)トイレに入った後便座シートを敷く。
(6)再び,「すわる」とことばかけをしながら手順カードを指さし,10秒程待つ。自分からしようとしない時は身体的ガイダンスで座るよう促す。
(7)できたら大いに賞賛し,「すわる」の手順カードを剥がす。
(8)すぐにパズルのピースを手渡し,貼るよう促す。(トイレの写真カードの番号と対応する箇所に貼るよう促す。)
教材教具など[HELP]手順カード
便座シート
ご褒美のパズル
記録の取り方[HELP]1,2,3の指導場面において,「ズボンをおろす」「すわる」の項目についてプロンプトが必要だったかを記録する。
指導期間と達成基準[HELP]・指導1において1,2もしくは1,2,3の指導場面全てにおいて自分からズボンをおろすことができた日が3日続いたら,指導2に移行する。
・指導2において1,2もしくは1,2,3の指導場面全てにおいて自分からズボンをおろし,便座に座る日が3日続いたら達成とする。
結果[HELP] 指導1の指導が定着するまでは「いやん」という拒否のことばが多く出ていたが,できたらパズルのピースがもらえることが分かってくると次第に抵抗することもなくなってきて,手順書を提示するのみで自分からズボンをおろすことができるようになった。一部にピースを貼ったご褒美パズルを事前に見せておくことと,毎日絵柄を変えておくことでより意識が高まったと考えられる。また,指導時期に数字への興味関心が出てきており,1,2,3の数字を身の回りで見つけると指で数字を作り,嬉しそうにしていた。そのことをきっかけにトイレの写真カードやご褒美パズルに取り入れることで,より笑顔も増え,指で数字を作って楽しそうな表情でトイレに行く回数が増えてきた。
 指導2に移行してからも手順の項目は増えたが,全部終わればパズルのピースがもらえることが結びついたようで指導開始から身体的ガイダンスをすることもなく,手順書を見て自分から便座に座ることができるようになった。指導1での定着があったため,スムーズに移行することができ,標的行動をクリアし,短期目標も達成した。座ることができるようになったため,回数は少ないが排尿できた日もあった。
 便座に座るという目標を達成してから2ヶ月経過しても維持できている。座る事への抵抗感がなくなったため,座る時間を5カウント,10カウントと増やしているが,指示された時間までは座っていられることができている。
考察[HELP] 今後の課題としては,座っていられる時間をさらに増やしていくなど,排尿に近づく手立てを考えていきたい。また,排尿できたらもっと嬉しいご褒美や楽しいことがあるということを伝えたり,本人自身が達成感を感じることができる機会を増やしたりできるように検討していきたいと考えている。
 今後も安定した気持ちでトイレへ向かい,排尿できる回数をさらに増やしてさらなる学校生活の充実を願いたい。

記入日時 2013/03/14/16:39:25

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