201217



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事例担当者のイニシャル[HELP]K・M
事例研究のタイトル[HELP]小学部高学年の自閉症児が手順書を活用して,トイレの一連の流れに取り組むための支援
事例の概要[HELP]学校のトイレで排尿する時は,洋式トイレで立って排尿していることが多い。他の児童が洋式トイレを使っていると,小便器を使って排尿することができる。家庭のトイレも洋式トイレである。学校のトイレでも家庭のトイレでも一人で用を足して帰ってくることはできる。しかし,「便座を上げる」「水を流す」「トイレの中でズボンを上げてから出てくる」などのトイレのマナーが分かっていない様子が見られた。「便座を上げずに排尿する」「水を流さず出てくる」というトイレでの行動が定着しており,ことばかけで指導を始めると,ことばかけでの指導を非常に嫌がり怒って靴下を脱ぐという様子が見られた。
対象児のプロフィール[HELP]阿南支援学校小学部6年,男子,知的障害,自閉症
・PEP-R発達年齢:2歳7ヶ月(平成22年4月22日〜5月21日実施)
・LDT-R太田のステージ:Stage2(平成24年6月実施)
長期目標[HELP]学校や家庭のトイレで,手順書を活用してトイレの一連の流れに取り組むことができる。
短期目標[HELP]設定された場面で,手順書を活用してトイレの一連の流れに取り組むことができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]給食後に「トイレに行く」スケジュールを確認した後,手順書を活用してトイレの一連の流れに取り組むことができる。
問題の推定原因[HELP]1.面倒くさいから
2.正しいやり方が分からないから
3.自分なりの手順を決めているから
想定される解決策[HELP]1.ご褒美を設定
2.手順書でやり方を示す
3.正しいやり方でできたらご褒美をあげる
選択した原因と解決策[HELP]原因3.自分なりの手順を決めているから
解決策3.正しいやり方でできたらご褒美をあげる
般化を狙う場面[HELP]校内の小学部トイレ以外のトイレ
家庭のトイレ
指導場面[HELP]小学部のトイレ,給食後の排尿時
指導手続き[HELP]【ベースライン】
(1)トイレの入り口付近に立ち,様子を見守る。
(2)排尿後も特にことばかけを行わず,見守る。
【指導1(手順書を持ってトイレに行く)】
(1)対面課題で,手順書を指さしながらトイレのマナーを伝える。
(2)給食後に「トイレに行く」スケジュールを確認した後,手順書を持って行くように促す。
(3)トイレに行った時,自発的に手順書の各行動を行うのを3秒待つ。
(4)各行動が見られない時は,手順書を指さしながら身体的ガイダンスをする。
(5)できたら,「できましたカード」を教員に渡しにくるように促す。
(6)「できましたカード」と引き替えに,本児の好きな動画の入った動画プレーヤーを渡す。
【指導2(トイレに行く前に教員と手順書を確認する)】
(1)給食後に「トイレに行く」スケジュールを確認した後,教室で教員と一緒に手順書の確認をする。
(2)トイレに行った時,本児から見えない場所で自発的に手順書の各行動を行うのを3秒待つ。
(3)各行動が見られない時は,指さしとことばかけをする。
(4)それでも各行動が見られないときは,身体的ガイダンスをする。
(5)「できましたカード」と引き替えに,本児の好きな動画の入った動画プレーヤーを渡す。
【指導3(手順書の確認なし)】
(1)給食後に「トイレに行く」スケジュールを確認してトイレに行った時,本児から見えない場所   で自発的に手順書の各行動を行うのを3秒待つ。
(2)各行動が見られない時は,指さしとことばかけをする。
(3)それでも各行動が見られないときは,身体的ガイダンスをする。
(4)「できましたカード」と引き替えに,本児の好きな動画の入った動画プレーヤーを渡す。
利用可能な好子[HELP]お菓子
シール
本時の好きなアニメの動画
記録の取り方[HELP]時系列に課題分析(1カーテンを閉める,2便座を上げる,3排尿をする,4ズボンを上げる,5便座を戻す,6水を流す)し,各行動について記録を取る。
 1点・・1人でできる
 0点・・できない(支援ありでできる)
指導期間と達成基準[HELP]指導期間:2012年10月19日〜2012年11月26日
達成基準:6点(満点)が5日続いたら達成とする。
結果[HELP]手順書で示した各行動について,ベースラインでできていたのは「排尿をする」のみだったが,指導を開始してから(指導1),手順書を見ることで求められている行動が分かってきつつあった。しかし,成功(6点満点)回数が少なく「手順書にしたがって行動すると,好きな動画を見れる」ということが結びつきにくかったため,指導2でトイレに行く前に教室で教員と手順を確認してから行くことにした。すると,成功(6点満点)回数が増え,確実に手順書にしたがってトイレの一連の流れに取り組むことができるようになった。達成が5日続いたので,指導3で事前の教室での手順書の確認をなくしたが,確認しなくても一人で手順書にしたがってトイレの一連の流れに取り組むことができた。
考察[HELP]支援ありで正しく行動できたときには,ご褒美の動画を笑い声を上げて楽しそうに見ている様子が見られた。指導を重ねるごとに,教員のことばかけがなくても手順書にしたがって行動できるようになり,満点の日が続くとすぐに「手順書にしたがって行動すると,好きな動画を見れる」ということが結びいたようだった。好きな動画を見れることが本児にとって大きな好子となり,抵抗感の強かった行動を獲得していこうとする意欲が高まったのではないかと考える。今後は,給食後以外の学校生活の場面や家庭でのトイレでも般化を図り,望ましい行動が定着していってほしいと願う。

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
排尿時
小学部のトイレ
洋式トイレ
手順書なし
教員のことばかけなし
便座を上げずに出てくる
水を流さずに出てくる
トイレから出てズボンを上げる
教員の注意(↓)
排尿できる(↑)

指導後
A:先行条件 B:行動 C:結果
排尿時
小学部のトイレ
洋式トイレ
手順書あり
トークンあり
教員のことばかけなし
便座を上げる
水を流す
トイレの中でズボンを上げる
教員の賞賛(↑)
好きな動画が見える(↑)
排尿できる(↑)
手順書の提示によって求められている行動が分かる(↑)


手順書を活用して各行動ができた数

手順書
記入日時 2013/03/18/10:28:16

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