201237



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事例担当者のイニシャル[HELP]Y
事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年知的障害の児童がスケジュールカードを上から順番に取るための支援
事例の概要[HELP] 3枚提示のスケジュールカードを上から順番に取ることが難しい。スケジュールを見ずにとったり,自分のしたいカードを取ったりする。周囲の刺激に弱く,集中して活動することが難しい。
 スケジュールは3枚提示で,取るごとに1枚ずつ減っていく。
対象児のプロフィール[HELP]小学部 男子 知的障害
円城寺式・乳幼児分析的発達検査(平成24年11月)
 移動運動:2歳7ヶ月   手の運動:2歳4ヶ月
 基本的習慣:3歳6ヶ月  対人関係:2歳7ヶ月
 発語:10ヶ月      言語理解:2歳9ヶ月
S-M社会生活能力検査(平成24年11月)
 身辺自立2-6  移動2-4    作業3-3
 意思交換1-8   集団参加3-7  自己統制2-9

・カードで要求(手伝って・おかわり)ができる。
・注目行動が多い。
・人と関わる事が好き。注意散漫。
・ことばでの叱責は関わりになることが多い。
指導者の役割と人数[HELP]担任2人
長期目標[HELP]スケジュールカードを上から順番に取ることができる。
短期目標[HELP]3枚提示のスケジュールカードを上から順番に取ることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]スケジュールカードを上から順番に取る
標的行動を取り上げる意義[HELP]一人でスケジュールに沿って動くことができ,本児の自立性が高まる。他の活動場面でも(着替えや課題学習)一人でできることが増える。
事例に関する情報[HELP]・スケジュールはイラスト・写真の定期券サイズのカードを使用している。
・注意散漫。特に友だちのしていることによく反応し,寄って行ったり指さしをしたり,声を出した りする。
・スケジュールエリアの四方を段ボールで囲んでいる。
・2枚提示では5日連続100%達成したが(6月下旬),3枚提示(7月2日から)にしてから100%にならない。
・スケジュールカードの意味は理解しており,一人で場所の移動ができる。
・上から取っても特に賞賛なし。間違えた時は「違う」と言われスケジュールエリアに戻される。
・現状のABC分析と,他の学習場面でできていることのABC分析から,「カードを手渡すことで教員と関わる」「教員の関わり方を変える」ことで正反応を強化しようと考えた。
問題の推定原因[HELP]1.カードを上から順番に取っても賞賛がないから。
2.2番目や3番目のカードを取った時は教員が関わるから。
3.友だちが気になるから。
4.カードの大きさが小さいから。
5.カードが見えにくいから。
6.カードが取りにくいから。
7.周囲の音が気になるから。
8.上から取る必要性を感じていないから。
9.カードを見ずに取っているから。

想定される解決策[HELP]1.即時に褒める。
2.無表情で指導する。
3.スケジュールエリアの奥行きを工夫する(長くして椅子や足形を置く)
4.カードを大きくする。
5.スケジュールボードの高さ(視線の位置)や広さを工夫する。
6.スケジュールエリアの奥行きを工夫する(長くして椅子や足形を置く)
7.イヤーマフをつける
8.スケジュールの提示方法を工夫する(めくり式にする・上からしか取れないような提示の仕方にあ する・パズルのようにして上からカードを取るとパズルが完成するなど)
9.スケジュールエリアの奥行きを長くする
選択した原因と解決策[HELP]1.カードを上から順番に取っても賞賛がないから。
 →すぐに褒める。
2.2番目や3番目のカードを取った時は教員が関わるから。
 →無表情で指導する。
般化を狙う場面[HELP]着替え場面
自立課題
作業学習
指導場面[HELP]スケジュールを見に行った時
指導手続き[HELP] 【介入1】
1 スケジュールの1番上のカードに「できました」カードをつける。
2 スケジュールを取ったら「できました」カードを外して教員に渡す。
3 カードを受け取った教員は笑顔で「正解」と褒める。
4 間違えてスケジュールカードを取った時には無表情,無言で身体的ガイダンスでスケジュールエ  リアに戻し,正しいカードを取るようにする。
【介入2】
介入1と同じ 
追加
ついたての奥行きを43cmから67cmに伸ばす。間違っている場面を観察すると,カードを見ていない時(ついたての横から周りを見ている状態)と,クラスの友だちがしている活動のカードを取ってたため,ついたてを長くした。
追加
スケジュールカードを3枚提示から5枚提示にする。
次のスケジュールを貼っているボードを指さしすることが多く,カードの枚数を増やして見通しを持てるように,提示枚数を増やした。
【介入3】
介入1と同じ
追加
スケジュールを5巻いて時から7枚提示にする。
【介入4】
1 「できました」カードを外しておく。
2 1番上のスケジュールカードを取っていたら,「そうそう」「正解」などと笑顔で褒める。
3 違うスケジュールカードを取った時は,無表情と無言で身体的ガイダンスをしてスケジュールエリアに戻し,正しいカードを取るようにする。
【介入5】
介入4と同じ
追加
スケジュールを7枚提示から10枚提示にする。


利用可能な好子[HELP]教員の賞賛
教材教具など[HELP]「できました」カード
定期券サイズのスケジュール
ついたて
記録の取り方[HELP] 一番上のカードを取ったら○
それ以外のカードを取ったら×

正反応=1番上のカードを取った回数÷1日に提示するカードの枚数×100


指導期間と達成基準[HELP]ベースライン  9月24日から9月28日
指導期間    10月1日から


達成基準    正反応率が5日連続100%の時
指導中止の条件 正反応率が50%以下が3日連続で続いた時
結果[HELP]【結果1】
ベースライン
5日間の平均は約95%
間違えたカードの順番や,取ったカードと本来取るべきカードを記録したが,明らかな偏りは見られない
介入1 
10月18日〜10月23日まで100%が4日連続で続くが,5日連続にはならない。

【結果2】 
11月2日より5枚提示にする。11月7日〜11月13日まで5日連続100%となる。

【結果3】
7枚提示にする。11月19日〜11月30日まで9日連続で100%となる。

【結果4】
12月3日より「できました」カードを外す。指導開始5週の間100%にならなかった。指導開始6週目で100%が続くようになった。1月21日〜1月29日まで7日連続で100%となる。

【結果5】
2月4日より10枚提示にする。初日から100%が続いている。
考察[HELP]【結果1】より
「できました」カードでの教員との関わりだけでは指導の効果が見られなかった。
【結果2】より
すぐに目標を達成したことから,ついたてを長くしてカードを取る時の刺激を減らしたことが有効だった。
【結果3と4】より
ついたて」「賞賛」という条件ありで,1番上のカードを取ることが定着したため,スケジュールカードの提示枚数を増やしても達成した。
【結果4より】
結果3との違いは「できました」カードを外したこと。
教員の賞賛を得る機会が減少し,カードを上から取ることができなくなったと思われる。
上から順番にカードが取れたときに賞賛を続けることで,順番に取ることができるようになったと思われる。
【結果5】より
スケジュールカードを上から順番に取る行動が身に付いた。

本事例では,集中できる環境を設定したこと,計画的な賞賛が有効だった。

現状のABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
3枚提示のスケジュール
定期券サイズのスケジュールカード
別の活動をする友だち
いろいろな音や声
トランジッションエリアについたて
間違えて取りそうな時に指さし有り
1番上のカードを取る 教員の制止なし(−)
賞賛なし(↓)
時々「そうだよ」等のことばの賞賛有り(↑)
次の活動ができる(−)

解決策のABC分析(介入1)
A:先行条件 B:行動 C:結果
3枚提示のスケジュール
定期券サイズのスケジュールカード
別の活動をする友だち
いろいろな音や声
トランジッションエリアについたて
「できました」カード有り
「できました」カードがついているカードを取る 賞賛あり(↑)
カードを教員に手渡す関わりあり(↑)
教員の笑顔(↑)
教員の制止なし(−)
次の活動ができる(−)

解決策のABC分析(介入4)
A:先行条件 B:行動 C:結果
7枚提示のスケジュール
定期券サイズのスケジュールカード
別の活動をする友だち
いろいろな音や声
トランジッションエリアに延長したついたて
1番上のカードを取る 賞賛あり(↑)
教員の笑顔(↑)
教員の制止なし(−)
次の活動ができる(−)


介入ごとの上から順番に取ることができた割合

長くしたついたて

スケジュールエリア

「できました」カード
記入日時 2012/11/14/16:38:31

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