200702



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事例担当者のイニシャル[HELP]KM I.M WT
事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年の知的障害児に対する登校時,一人で上靴に履き替えるための指導(奥田先生によるアドバイス事例)
事例の概要[HELP] Aさんは登校時に下靴から上靴に履き替えるとき,靴を履くスキルはあるが周りの友だちの様子が気になって自分のことに集中できなくなってしまう。靴箱の前に来ても靴の履き替えをせずに寝ころぶ,靴下を脱ぐ,下靴のまま広場に遊びに行くなどの逸脱行動を起こしてしまう。逸脱行動を制止しようとする教員に対して叩こうとしたり,大きな声をあげて怒ったり泣いたりすることもしばしばみられる。

対象児のプロフィール[HELP]養護学校小学部1年生、女子、知的障害・てんかん

SM社会能力検査:
CA(生活年齢)7歳2ヶ月
SQ(社会生活指数)43
SA(社会生活年齢)3歳1ヶ月
SH(身辺自立)3−6
L (移動)2−11
O (作業)2−9
C (意思交換)3−4
S (集団参加)3−1
SD(自己統制)2−2    
実施年月日2007.10.10

その他の特徴:
・1音ずつひらがなを読むことができる。
・シャボン玉、お絵かき、音楽、踊りが好き。
指導者の役割と人数[HELP]指導者A:KM(担任)
指導者B:IM(担任)
指導者C:WT(担任)
以上3名
長期目標[HELP]登校時、一人で上靴に履き替えて教室に入る。
短期目標[HELP]登校時、一人で上靴に履き替える。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]一人で上靴に履き替える。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]玄関で寝転ぶ。
標的行動を取り上げる意義[HELP] 靴の脱ぎ履きを一人でできるスキルはあるので,靴の履き替えをせずに遊んでしまうという正しくない行動の流れを修正して,一人で靴を履き替える習慣を身につけてほしいと考えた。靴の履き替えは登校して最初の活動であり,一日の学校生活の流れに影響を及ぼすこともある大事な活動の一つである。靴の履き替えがスムーズにできることが行動の切りかえができることにつながっていくであろうと考え指導目標に設定した。

事例に関する情報[HELP]毎朝、靴箱に着くと、すぐ上靴を取り出そうとせず、寝ころんだりしゃがみ込んだりする。少し離れた場所からしばらく様子をみていると、Aは友だちや教員の名前を呼び出す。それでも反応を示さずいるとと、寝ころんだままその場を動こうとしなくなる。教員が迎えに行き、やりとり遊びを始めると、Aは上靴を履き始める。着替えの後の上靴履きは素早くできる。(着替えの後にあそびを設定して遊びを楽しみにしているようである)







逸脱行動を起こしてしまうまでの時間:15〜30秒
問題の推定原因[HELP]1.上靴を履いてもすぐに好きなことがないから。
2.教員にそばにきてほしいから。
3.周りの友だちが気になるから。
4.靴の脱ぎ履きをするまでに間(時間)があるから。
想定される解決策[HELP]1.スケジュールを設置して、靴を履いたら遊びがあることを提示する。
2.スケジュールを設置して、靴を履いたら教員と遊べることを提示する。
3.靴箱を別の場所に設置する。
4.靴箱に着くとすぐに靴を履く動作をプロンプトする。
選択した原因と解決策[HELP]原因4:靴の脱ぎ履きをするまでに間(時間)があるから。
解決策4:靴箱に着くとすぐに靴を履く動作をプロンプトする。
般化を狙う場面[HELP]外周周りから帰ったとき
指導場面[HELP]登校時、玄関。
指導手続き[HELP]靴の履き替えに関して課題分析を行う。
1.靴箱に着くとすぐに椅子に座る。
STEP1
1.教員は、Aが登校してきたら玄関まで迎えに行く。
2.Aが靴箱につくとすぐに教員は、Aが椅子に座るようプロントを行う。
3.椅子に座ればすぐに上靴を取るように教員がプロンプトを行う。
4.上靴を取り終わったらすぐに教員が下靴を脱ぐようにプロントを行う。
5.脱ぎ終わったらすぐに教員が右足の上靴を履くようにプロンプトを行う。
6.履き終わればすぐに教員が左足の上靴を履くようにプロンプトを行う。
7.上靴が履けたら下靴を片付けるように教員がプロンプトを行う。
8.Aが下靴を片付け終わったら教員は「はやく靴が履けたね」と賞賛する。

STEP1を5日間続ける。
STEP2プロンプトを5秒間遅らせる。
STEP3プロンプトを15秒間遅らせる。











 
利用可能な好子[HELP]教員とのやりとり遊び、シャボン玉、お絵かき、ほめ言葉、励まし言葉、大きい動作。
教材教具など[HELP]簡易靴箱、椅子
記録の取り方[HELP]指導場面:登校時,,玄関。
・記録項目
 STEP1 必要だったプロンプトを各項目ごとに記録。
 STEP2 必要だったプロンプトを各項目ごとに記録。     
各項目ごとにプロンプトの有無を色別で表にする。


般化場面:外周周りから帰ったとき 
指導期間と達成基準[HELP]ベースライン:5日間

指導期間:STEP1 11/21〜11/29 5日間。
     STEP2 11/30〜

達成基準:項目5 6 7 がプロンプトなしでできた日が5日間連続すれば達成とする。
結果[HELP]STEP1では1〜6の項目で身体的ガイダンスが多く必要であった。
 STEP2ではプロンプトを5秒間遅らせる指導手続きに移行し指導を行った。4〜7の項目でプロンプトなしでできる項目が増え,1〜3の項目でも指さしやことばかけでできる日が増えてきた。
考察[HELP]この指導を始めるにあたり,まず環境設定の見直しを行った。靴を履き替えることに集中しやすいようにAさんの靴箱を他の児童とは離れた壁際の場所に設置した。そのことで,靴を履くという行動に集中できるようになった。ベースラインの記録をとる際に逸脱行動を始めるまでの時間を記録したところ平均すると靴箱に着いてから15秒前後で逸脱行動を起こし始めることが明確となった。そのため逸脱行動に出る前に教員がプロンプトを瞬時に出し,短時間で靴の履き替えをすることができた。さらに教員から賞賛してもらえることが好子となり,STEP2以降も5,6の項目でのプロンプトなしでできる日が多くなり靴箱で靴を履き替えるという行動が一連の動作として繋がってきつつあると考えられる。しかし,その日その日の体調や精神状態に大きく左右され,前半部分での身体的なガイダンスはどうしても必要な日が多かった。

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
登校時に靴箱で 下靴のまま寝転ぶ
靴下を脱ぐ
教員からの関わりあり(↑)
(起こしてくれる 靴下を履かせてくれる)
楽しい(↑)
教員からのほめことばなし(↓)
行動を制止される(↓)

指導
A:先行条件 B:行動 C:結果
登校時に靴箱で 上靴に履き替える 教員からの褒め言葉あり
(↑)
教員からの注目あり(↑)
教室に行くことができる(↑)

FILE 29_46_4.xls

データとグラフ:第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
データとグラフ:第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2007/10/18/14:42:19

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