201310



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事例担当者のイニシャル[HELP]DS、HI  
事例研究のタイトル[HELP]知的障害特別支援学校寄宿舎に在籍する中学部舎生の水遊びを減らす -指導1-
事例の概要[HELP]帰舎後、手洗いやうがいの時などに頻繁に水遊びをする。水遊びとは「流し台に水を垂らす」ことや「不適切な場面で顔を洗う」ことである。
対象児のプロフィール[HELP]学年:中学部1年
性別:男
障害名:自閉症
S-M社会生活能力検査:社会生活年齢4歳3ヶ月(H24)
その他の特徴:発話は単語レベルで、会話は難しい。日常の指示理解は可能。時折パニックが見られる。同じ絵本を見比べたりすることを好む。
指導者の役割と人数[HELP]寄宿舎における指導担当者:1名(第1著者)
役割:指導計画立案と教材等の作成を行い、指導および記録方法を他の寄宿舎指導員に伝達する。対象児の指導と記録を行う。

寄宿舎指導員:15名
役割:対象児の指導と記録を行う。

特別支援学校教員:1名(第2著者)
役割:記録の整理と考察を行い、第1著者に助言する。
短期目標[HELP]帰舎後、手洗いやうがいの時などに水遊びをすることを減らす。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]水遊び(水滴垂らし、顔洗い)をする。
標的行動を取り上げる意義[HELP]日課が進まない。公共の場で正しい使い方ができるようになってほしい。
寄宿舎指導員が個別の指導計画を使って教えるトレーニングができる。
問題の推定原因[HELP]・暑いから
・視覚的におもしろいから
・水が好きだから
・他の遊びがないから
・しても良い場所が分からないから
想定される解決策[HELP]・クールネックを利用
・水の動画を見せる
・して良い場所と行けない場所を設定する。
選択した原因と解決策[HELP](原因)水遊びをしても良い時間がないから。水遊びの感覚刺激が必要だから。
(解決策)時間を決めて水遊びをさせる。
般化を狙う場面[HELP]学校、家での手洗い
指導場面[HELP]帰舎後、手洗い、うがい、水筒洗いをする時
食後の歯磨きの時
トイレの後の手洗いの時
指導手続き[HELP]入浴の終了時に2分程度、金だらいにためた水で遊ばせる。
利用可能な好子[HELP]水の感触、水滴が金属に落ちる様子
教材教具など[HELP]金だらい
記録の取り方[HELP]以下の時間帯ごとに、発生した水遊びの頻度を記録する。
14:30-17:00
17:20-19:20
19:20-21:00
結果[HELP]不適切な水遊びの回数は、ベースライン期の平均2.2回から1.2回に減少した。
考察[HELP]入浴終了時に水遊びを設定することで、不適切な水遊びを減らすことにやや効果があった。また、記録はしていないが、指導員の印象として入浴中の不適切な水遊びが減ったように思われる。

指導1期に見られる問題行動がゼロの日の多くは金曜日である。金曜日は対象児が帰省するため、他の曜日と日課が異なり水に触れる機会が少ない場合が多い。

入浴終了時の水遊びは指導者にとってさほど手間がかかるわけではなく、対象児にとっては楽しい時間であると考えられる。よって、この指導は次の指導期においても継続する。

設定した入浴後の水遊び(15:10〜16:00頃)は、それよりも前の帰舎直後(14:30頃)の手洗いやうがい、水筒洗いの場面での問題行動に対しては効果がないと考えられる。この手洗い場では、ステンレス流しの上に水を垂らす問題行動が多くみられた。この原因として、手を洗う蛇口から手拭きタオルまでの距離が遠いこと、水を十分切らずに手がぬれたまま移動することが考えられる。


帰舎後の水遊び回数1

金だらい

手洗い場
記入日時 2014/01/28/16:40:53

事例担当者のイニシャル[HELP]DS、HI 
事例研究のタイトル[HELP]知的障害特別支援学校寄宿舎に在籍する中学部舎生の水遊びを減らす -指導2-
短期目標[HELP]帰舎後、手洗いやうがいの時などに水遊びをすることを減らす。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]水遊び(水滴垂らし、顔洗い)をする。
選択した原因と解決策[HELP](原因)
手を洗う蛇口から手拭きタオルまでの距離が遠いので、移動の時にステンレス流しの上に水を垂らす遊びをしてしまうのではないか。また、水を十分切らずに手がぬれたまま移動するので、水を垂らしてしまうのではないか。
(解決策)
手を洗う蛇口の後方にペーパータオルを設置し、それを使って手を拭かせる。また、移動する前に3回水を切るように声かけをする。
指導手続き[HELP]指導1の手続き「入浴の終了時の水遊び」を継続する。それに加えて、手洗い後に水を3回切らせる声かけをし、手洗い蛇口のすぐ後ろのペーパータオルで手を拭くように指導する。
教材教具など[HELP]ペーパータオル
結果[HELP]不適切な水遊びの平均回数は、指導1期の1.2回から1.9回に増加した。
特に9月30日から10月13日の運動会当日までの期間に問題行動が多発した。
9月30日から10月13日は平均2.4回、10月16日から11月1日は平均1.4回であった。

時間帯別の問題行動生起回数を表にプロットし、互いに隣り合う時間帯に連続して生起した日を「連続」、生起はあるものの時間帯が連続していない日を「独立」、生起しなかった日を「なし」として生起状況を整理した。
その結果、「独立」は22日、「連続」は11日、「なし」は8日であった。
考察[HELP]指導2期の前半である運動会当日までの期間(9/30-10/13)に問題行動が多発した原因として、運動会の練習時の暑さや疲れが考えられる。
さらに、指導2の導入初期は手洗い後に水を3回切らせる声かけやペーパータオルで手を拭くための指導など指導員からの指示が増えたため、それが問題行動を多発させた可能性が考えられる。

運動会終了後には問題行動の平均回数が1.4回と指導1期の1.2回と同程度になった。
このため、指導2期の手続きは効果があるとは考えにくい。

時間帯別の問題行動生起状況において、問題行動はあるものの時間帯が連続していない「独立」の日数は22日と、互いに隣り合う時間帯に連続して生起した「連続」の11日の2倍であった。
これは、ある時間帯に水遊びをすることで感覚刺激が充足され、次の時間帯には生起しにくくなる感覚刺激の飽和化があるためと考えられる。

このことから、「入浴後の水遊び」に加えて、帰舎直後の手洗いの前に30秒程度、水遊びをさせることで感覚刺激の飽和化が促進され、不適切な水遊びが減るのではないかと考えられる。


帰舎後の水遊び回数2

問題行動の時間帯別生起状況

ペーパータオル
記入日時 2014/01/29/15:47:35

事例担当者のイニシャル[HELP]DS、HI
事例研究のタイトル[HELP]知的障害特別支援学校寄宿舎に在籍する中学部舎生の水遊びを減らす -指導3-
短期目標[HELP]帰舎後、手洗いやうがいの時などに水遊びをすることを減らす。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]水遊び(水滴垂らし、顔洗い)をする。
選択した原因と解決策[HELP](原因)
問題行動のロウデータを見ると、指導1,2を通じて、帰舎直後(14:30頃)の手洗い場での水遊びが減っていない。これは、「入浴後の水遊び」が15:10〜16:00頃と遅い時間帯に設定されているため、帰舎直後には水遊びの感覚刺激が満たされていない(遮断化)状態のためではないかと考えた。
(解決策)
帰舎直後の「手洗い、うがい、水筒洗い」の前に、約30秒間の水遊びをする。
指導手続き[HELP]帰舎後の手洗いの前に、手洗い場の後方の流しに水を入れたバケツを置く。対象児にキッチンタイマーで30秒セットさせ、バケツの水を壁にかける水遊びをさせる。
利用可能な好子[HELP]水の感触、水が壁にかかる様子
教材教具など[HELP]バケツ、キッチンタイマー
結果[HELP]不適切な水遊びの平均回数は、ベースライン期の2.2回、指導1期の1.2回、指導2期の1.9回と比較して、指導3期において0.5回に減少した。
考察[HELP]帰舎直後に水遊びを設定することで感覚刺激の飽和化が起こり、その後の不適切な水遊びが減少したと考えられる。
ただし、指導3が開始されたのは11月であり、気温が低下することで水の感覚刺激の強化力が弱まってきたため回数が減少した可能性も否定できない。

帰舎後、30秒程度水遊びをさせることは指導員にとってさほど負担にならず、今後も継続可能な方法である。

以前は、手洗い場を利用する時に指導員がつきっきりでそばにいる必要があったが、現在は少し離れた位置から見守ることができるようになった。
寄宿舎指導員の印象では、この指導の開始後、対象児は学校および寄宿舎で以前よりも落ち着いて生活できているように思われる。

今後は、本児の水遊びを強化している感覚生好子を推定し、それを含むようなお手伝い活動(洗い物、洗濯等)を設定することにより生活適応的に問題行動を低減させる方法について検討することが必要である。


帰舎後の水遊び回数3

バケツ

キッチンタイマー
FILE 300_300_6.pdf
発表ポスター
記入日時 2014/01/29/15:48:30

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