200716



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事例担当者のイニシャル[HELP]A.Y
事例研究のタイトル[HELP]高等部自閉症児に対する特定の女子生徒を触りにいく行動を減らすための指導
事例の概要[HELP]特定の女子生徒が視界に入ったり、声が聞こえたりすると手を伸ばして触りにいく行動がある。この行動を減らしたい。
対象児のプロフィール[HELP]高等部1年、男子、自閉症、簡単な言語指示が理解可能。文字の形を覚え意味理解できる。人との関わり要求がある。異性への関心はあるが、適切に関わるスキルは身についていない。
指導者の役割と人数[HELP]学級担任3名
長期目標[HELP]・教員や友達と適切な方法で関わることができる。
・関わりたい要求を適切な方法で伝えられる。
短期目標[HELP]・特定の女子生徒(B、C)が視界に入ったり、声が聞こえときに触りにいく行動を減らす。
・教員と挨拶や一緒にあそぶなど適切な関わりができる。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]女子生徒(B、C)が視界に入ったり、声が聞こえたりした時に手を伸ばして触りにいく行動を減らす。
標的行動を取り上げる意義[HELP]相手を傷つける行動であり、また将来的に大きな問題となる可能性があるのでなくしたい。
事例に関する情報[HELP]特定の女子生徒に対し、廊下ですれ違った時や授業で一緒の時に手を伸ばして身体を触りにいこうとする行動が見られる。教師の意識が逸れている時に、走って触りにいくこともある。触りにいくことが成功した後はにこにこして上機嫌である。事後に叱っても行動の顕著な減少に結びつかない。印象としては、相手が過度に反応をしていた時期に最も行動が顕著だったように思われる。手を伸ばさなくとも、食堂などで一緒の時に訴えてくる日も多い。女子生徒がいる教室前をなるべく通らないようにすることで気にせずに過ごせる日も多くなってきた。人との関わり要求が満たされていないことが、行動に結びついているという仮説を立て、朝の挨拶やあそびから教員と適切な関わりができるように設定し取り組んだ結果、行動はほとんどなくなった。
問題の推定原因[HELP]・教師に相手にしてもらえる        ・身体を触った感触が気持ちよい
・女子生徒の反応が面白い ・女子生徒との関わり方がわからない
・女子生徒の声が聞きたい ・嫌がる反応が見たい

指導手続き[HELP]【介入1】
・一日何もなく過ごせたら、ごほうびがもらえる。もしも触りにいく行動があった場合は、その場であそびのカードを取り上げて、その日はパソコンや広場のあそびは「なし」ということにする。

【介入2】
・運動会が終了したのを機に改めて環境設定を行う。女子生徒がいる教室の前を通らないようにして接触の機会をできる限りなくす。各教室への移動にも別の階段を使用するようにする。
【介入3】
・人と関わりたいという要求を満たすために、毎朝、7人の教員と挨拶をして、挨拶するたびにシールを貼っていく活動を取り入れる。シールが7枚たまったら、ごほうびがもらえる。ごほうびとしては、キャッチボール、給食のお代わり、放課後にバスが見られるなどを用意する。
・お手伝いをしてほめられる、キャッチボールであそぶなど教員に承認されたり、関わってもらえる機会を一日一回は作るようにする。

利用可能な好子[HELP]人とあそぶこと、汽車、バス、食べ物
教材教具など[HELP]トークン、絵カード
記録の取り方[HELP]行動を得点化し記録をとる。

 
1点:女子生徒に向かって手をのばす行動あり
0点:女子生徒に向かって手をのばす行動なし

指導期間と達成基準[HELP]達成基準

得点が20日のうち1点以下であれば達成
 
結果[HELP]介入1は効果が認められなかった。あそびカードが取り上げられても行動頻度は変わらなかった。
介入2を実施した10月以降は接触頻度が減り行動も減少した。特に11月以降は顕著である。
介入3を実施した12月後半以降、行動はほとんどみられない。
介入3のごほうびであるキャッチボールは、本人が選択し、活動中は楽しんでいた。
B、Cと一緒に活動する9月の運動会の練習時は行動は頻発している。それに対し1月の学校祭の練習では一度も行動がみられなかった。

考察[HELP]運動会の練習が終わった後に行動が大きく減っているのは、環境設定により、B、Cの存在を意識せずに過ごせたからと考えられる。
介入1が効果を上げなかったのは、あそびがなくなったり、ごほうびがもらえることよりもB、Cへの関わり要求が優先されたからと考えられる。
12月後半以降行動がほとんどみられないのは、介入3によって人との関わり要求がある程度満たされるようになったからとも考えられるが、一方、長期の休み明けで行動に変化が生じた可能性も考慮できる。
今後は女子生徒との挨拶など適切な関わりを教えていく必要がある。
今後、人との関わりを自分から求めていけるように、あそびカードなどで指導していく必要がある。


減らしたい標的行動「AがB,Cを触りに行く」のABC分析
A:先行条件 B:行動 C:結果
B,Cが視界に入った時
声が聞こえた時 
F,Mを触る 身体の感触がよい(↑)              教師が反応してくれる(↑)         
F,Mの声が聞ける(↑)
嫌がる様子が見れる(↑)
F,Mに手を叩かれる(↑)
教師の叱責(↓)



記入日時 2008/01/09/18:11:07

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