200717



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事例担当者のイニシャル[HELP]A.H
事例研究のタイトル[HELP]高等部自閉症児に対する友達や教員の目を触りに行く行動を減らすための指導
事例の概要[HELP]好みの友達や教員が自分の近くを通り過ぎたり自分の近くにいた時に,自分から近づいていき目を触りに行く。叱ってもあまり効果がない。
対象児のプロフィール[HELP]Aさん。高等部2年生。女子。自閉症。
PEP-R:2歳9ヶ月(平成15年10月)
S-M社会生活能力検査:4歳2ヶ月(平成18年9月)
日常よく使うことばは理解している。語彙数は少ないが,自分から1語文(おいしい,涼しい,かゆい,いや等)で,感じたことを伝えることができる。
毎朝,スクールバスから教室に行くまでの間に,特定(担任や好みの教員)の教員や,目と目が合った教員から挨拶をされた時に,「ピシっ,おはようございます。」と挨拶をしている。
指導者の役割と人数[HELP]学級担任2名(クラスは同年齢生徒3名)
長期目標[HELP]他者の目を触りに行く行動を減らす。
短期目標[HELP]学校内で,友達や教員の目を触りに行く行動を減らす。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]友達や教員の目を触りに行く。
標的行動を取り上げる意義[HELP]学校内で友達や教員の目を触りに行く行動を減らすことで,校外に出た時にも他者の目を触りに行く行動が減っていけばと思っている。卒業を1年後にひかえ,卒業後の生活においても般化していけばと思っている。
事例に関する情報[HELP]好みの友達や教員に対して,目を触りに行くことが多い。特に教員Aに対して,Aの姿を見つけると,自分から走って近づいていき目を触りに行く。教員Aや周りの教員が言葉で注意しても,その行動をなかなか止めることができない。教員Aから離れるように促したり次にする行動を伝えたりすると,教員Aから離れることができる。
クラスの友達Bに対しても,目を触りに行くことがある。Bが机にじっと座っている時やソファに寝転がっている時に,自分から近づいていき目を触りに行く。Bから離れるように促したり次にする行動を伝えたりすると,Bからは離れることができる。
初めて会った人でも自分の好みの人がいると,近づいていき目を触りにいったり身体接触をしたりする。離れるように促したり次にする行動を伝えたりすると,離れることができる。
問題の推定原因[HELP]1.目を触る感触が好きだから。
2.目を触って相手が反応するのがおもしろいから。
3.周りの教員から注目を得たいから。
4.人に対して適切な関わり方が分からない。
想定される解決策[HELP]1.余暇選択カードに,Aさんが触って気に入るだろうと思われる具体物(例えば,保冷剤,やわらかいボール)の写真カードを加え,休み時間にそれらを触ることができるようにする。感触あそびを増やし,自分の好きな物を触りたい欲求を分散させる。
2.余暇選択カードに,好きな感触を味わうことができる物(保冷剤,やわらかいボールなど)を写真カードにして入れておく。好きな感触を味わうことができる物を選択した時に,教員に「ください」と言って援助要求ができるように促す。
3.Aさんが教員や友達の目を触りにいこうとした時,「だめ」「触らない」など言って伝えずに,あっさりと止めるように促す。
4.Aさんが教員や友達の目を触ろうとして相手に近づこうとしている時,今しなければならないことをするよう言葉かけや指さしで促す。
5.Aさんが教員や友達の目を触ろうとして相手に近づこうとしている時,Aさんと相手の間に入って,Aさんを相手に近づけないようにする。
6.環境を整える。(できるだけ,何をしたらいいか分からない時間を作らない。)
7.環境を整える。(教室内では,できるだけBさんに近づかせないように,Aさんの動線をBさんから遠ざける。)
8.環境を整える。(教員Aがいたら,できるだけ近づかせないように距離をあけておく。)
9.適切なコミュニケーション手段を獲得する。
選択した原因と解決策[HELP]○選択した原因
 1,2,3
○解決策
 1,2,3,4,5,6,7,8
般化を狙う場面[HELP]・校内で,担任がいない時
指導場面[HELP]・校内で,友達や教員の目を触りに行こうとしている時
・休み時間
指導手続き[HELP]<介入1>
1.余暇選択カードに,Aさんが触って気に入るだろうと思われる具体物(例えば,保冷剤,やわらかいボール)の写真カードを加え,休み時間にそれらを触ることができるようにする。感触あそびを増やし,自分の好きな物を触りたい欲求を分散させる。
2.余暇選択カードに,好きな感触を味わうことができる物(保冷剤,やわらかいボールなど)を写真カードにして入れておく。好きな感触を味わうことができる物を選択した時に,教員に「ください」と言って援助要求ができるように促す。
3.Aさんが教員や友達の目を触りにいこうとした時,「だめ」「触らない」など言って伝えずに,あっさりと止めるように促す。

<介入2> ※介入1でしていることも続ける。
4.Aさんが教員や友達の目を触ろうとして相手に近づこうとしている時,今しなければならないことをするよう言葉かけや指さしで促す。
5.Aさんが教員や友達の目を触ろうとして相手に近づこうとしている時,Aさんと相手の間に入って,Aさんを相手に近づけないようにする。
6.環境を整える。(できるだけ,何をしたらいいか分からない時間を作らない。)
7.環境を整える。(教室内では,できるだけBさんに近づかせないように,Aさんの動線をBさんから遠ざける。)
8.環境を整える。(教員Aがいたら,できるだけ近づかせないように距離をあけておく。)
利用可能な好子[HELP]好きな感触が味わえる遊び道具
教材教具など[HELP]・保冷剤
・やわらかいボール
記録の取り方[HELP]教員や友達の目を触わったり触りにいこうとしたりした回数や,Aさんが教員や友達の目を触ったり触りにいこうとしたりした時の教員の関わり方を毎日記録する。
指導期間と達成基準[HELP]友達や教員の目を触ったり触りにいこうとした回数が0である日が,10日のうち8日以上占めたら達成。
結果[HELP]・10月30日,11月6日,12月11日の火曜日(問題行動が減少してきた2月も2月5日と2月26日の火曜日に回数が多い)に,目を触わろうとした回数が多い。
・1月に入って学校祭の練習が始まり,見通しがもちにくい活動が増えたり担任が授業に入っていなかったりしたため,目を触わったり触わろうとしたりした回数が増えた。
・学校祭が終わり2月に入ると,担任がいる場面では目を触ったり触ろうとしたりする回数は減ったが,担任がいない場面で気になる教員や近づいてきた生徒に目を触ったり触ろうとしたりすることがあった。(2月28日,2月29日)
考察[HELP]・介入1では,目を触る感触に替わる行動を増やしそうとしたが,感触あそびを増やしただけでは問題行動が減らなかった。
・介入2で,Aさんが目を触りにいこうとした時の対応の仕方を担任2人で共通理解を図ったことと,環境面を整えたことで,問題行動が減ってきたと考えられる。
問題行動が起きた時に担任が対応すると,目を触る感触が楽しめず注目も得られないので,問題行動が減ってきたと考えられる。
けれども,担任以外の教員が対応すると,目を触わる感触は楽しむことはできないが注目が得られるため,問題行動は減っていないと考えられる。
・担任がいない場面で友達や教員の目を触ったり触ろうとすることが多いので,担任以外の教員と共通理解を図り,Aさんの対応の仕方を統一していくことが必要である。
・よく目を触りにいく教員や生徒と,接する時間を少なくしたり,授業や教室の中での場所を離したりするなど,環境を整えていくことが必要である。
・見通しがもちにくい集団活動の時に,Aさんが見通しをもてるような工夫をしたり空白の時間をできるだけ作らないようにしたりしていくことが必要である。
 

介入前
A:先行条件 B:行動 C:結果
好みの友達や教員が近くにいる 友達や教員の目を触りに行く 目を触る感触を味わうことができる(↑)
相手が反応する(↑)
教員の注目を得られる(↑)

介入2  担任がいる時
A:先行条件 B:行動 C:結果
担任がいる時 目を触りにいこうとする
止められる(↓)
注目が得られない(↓)

介入2 担任がいない時
A:先行条件 B:行動 C:結果
担任がいない時 目を触りにいこうとする
止められる(↓)
注目が得られる(↑)

FILE 44_30_1.xls
目を触ったり触ろうとした回数

データとグラフ:第一系列のタイトル: ベースライン
目を触った回数: ベースライン  
データとグラフ:第二系列のタイトル: 介入1
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2007/10/07/15:34:00

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