200722
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事例担当者のイニシャル
[HELP]
T.Y
事例研究のタイトル
[HELP]
休憩時間、タイマーがなったら3分以内に、教員の言葉かけなしにスケジュールに戻ることができる。
事例の概要
[HELP]
休憩時間は、自分のしたい遊びを数種類の中から選んでいる。十分遊べていたり、あまり興味のない遊びや、飽きている遊びの時は、タイマーの音を聞いて遊びを終了し、スケジュールに戻ることができる。しかし、遊びに熱中したり、自分の中できりのいいところ、納得できるところまでいかないと、タイマーが鳴っても気がつかなかったり、気がついていても、遊びをやめることが難しいことが多い。
無理矢理やめさせたり、過剰な言葉かけが多くなると、不安定になり泣き、物を壊すこともある。
対象児のプロフィール
[HELP]
Aくん
特別支援学校小学部4年生、男児、自閉症
PEP-R3.8歳(芽生え4.8歳)
指導者の役割と人数
[HELP]
指導者A:T.Y(担任)
指導者B:S.O(教科担任)
指導者C: K.K(教科担任)
長期目標
[HELP]
遊びの時間に、自らタイマーのスタートボタンを押し、鳴ると遊びをやめてスケジュールに戻ることができる。
短期目標
[HELP]
教室内での休憩時間の時に自らタイマーのスタートボタンを押し、鳴ると3分以内に言葉かけなしでスケジュールに戻ることができる。
標的行動(増やしたい行動)
[HELP]
タイマーが鳴ると、3分以内にスケジュールに戻り、次の活動に移る。
標的行動(減らしたい行動)
[HELP]
タイマーが鳴ると、あそびをそのまま続けて3分以上経過する。
標的行動を取り上げる意義
[HELP]
時間を守り、次の活動に移ることは、本児の将来的にも、就労を視野に入れたとき自立するために必要なスキルであると考える。就労は保護者の希望でもある。
人から指示されて行動するよりも、自分で主体的に行動する方が、本児は次の活動に移りやすく情緒の安定にもつながる。
事例に関する情報
[HELP]
・教室内での遊びの種類は現在14種類ある。そのうち指導期間に選んだ遊びは6種類。
・教室内での遊びは1日1回〜4回ほどある。
・遊びにブームがある。熱しやすく冷めやすい。
・遊ぶ時間は、教員が設定している。(5分〜20分)
・タイマーが鳴ると、活動終了することは、わかっている。
・タイマーが鳴って戻れないとき、「タイマー鳴ったよ。」「おしまい」等言葉かけで戻ることが多かった。
・人から指示されて行動するよりも、自分で主体的に行動する方が、情緒が安定し、次の活動に移りやすい。
・レゴで遊んでいるとき、部品が無かったり、自分の思うように作れないとき不安定になり泣いて物を壊すこともある。
問題の推定原因
[HELP]
原因1,レゴや、パズルなどは、見本どおりにならないと(完成して終わらないと)いやだから。
原因2,水風船をふくらまたとき、結ぶのに時間がかかる。
原因3,遊び時間の時間配分ができず、本児にとって、いきなりタイマーが鳴るから。
原因4,今遊んでいる休憩時間が、次の活動よりおもしろいから。
原因5,遊びをやめても得することがない。
原因6,タイマーが鳴ったことに、気がつかないから。
想定される解決策
[HELP]
解決策1,・遊び時間内に終わることができる量の見本を設定する。
・じっくり取り組める時間にレゴやパズルをする(課題に入れる)。
。
解決策2,・バケツの中に、水が入ったままの水風船をいれてもいいよと伝える。
・結んで完了するまで3分の猶予時間がある。
解決策3,・遊ぶの部屋に信号機を設置し、青→遊ぶ 黄色→かたづける 赤(タイマーが鳴る)→スケジュールに戻る
・タイマーの種類を、タイムログに変更する。
解決策4,遊び時間より、刺激的で興味深い活動を、直後のスケジュールに入れる。
解決策5,トークン制を導入。カードが貯まったらおやつ。
解決策6,タイマーの音を大きくする。または、タイマーを2つ用意して2つのタイマーから音を出す。
選択した原因と解決策
[HELP]
原因1,レゴや、パズルなどは、見本どおりにならないと(完成して終わらないと)いやだから。 解決策1,じっくり取り組める時間にレゴやパズルをする(課題に入れる)。
原因3,遊び時間の時間配分ができず、本児にとって、いきなりタイマーが鳴るから。
解決策3,・遊ぶの部屋に信号機を設置し、青→遊ぶ 黄色→かたづける 赤(タイマーが鳴る)→スケジュールに戻る
・タイマーの種類を、タイムログに変更する。
原因5,遊びをやめても得することがない。
解決策5,トークン制を導入。カードが貯まったらおやつ。
原因6,タイマーが鳴ったことに、気がつかないから。
解決策6,タイマーを2つ用意して2つのタイマーから音を出す。
般化を狙う場面
[HELP]
・教室外の遊びにでたとき、タイマーが鳴ったらスケジュールに戻り、次の活動に移ることができる。
指導場面
[HELP]
教室内での遊び時間(休憩時間)
指導手続き
[HELP]
《介入1》
1.タイマーが鳴ると、教員はAくんに近づく。
2.Aくんが片付けていないと、教員は3分以内に「タイマー鳴ったね。あそびおしまい。」といって、Aくんと一緒に遊び道具を片付けて、賞賛し『レゴ君カード』を渡す。
3.Aくんが、自ら片付けを始めて3分以内にスケジュールにもどれたら、賞賛し『レゴ君カード』と『Aくんカード』を渡す。
☆Aくんにとって・・・とにかく遊びをやめて片付けるといいことがある↑
・プロンプト有りで片付けると・・・・・→『レゴ君カード』ゲット
・自発で3分以内に片付けると・・・・・→『レゴ君カード』+『Aくんカード』ゲット
《介入2》
1.教員はタイマーに『レゴ君カード』をあらかじめ付けておく。
2.タイマーが鳴ると、Aくんは、自分で『レゴ君カード』をもってスケジュール近くの『レゴ君カード』トークン表に『レゴ君カード』を貼る。
3.3分待ってもAくんが、スケジュールに戻らなかったとき、教員が「レゴ君カード、ありません。」と伝え、『レゴ君カード』を教員のポケットにいれる。Aくんは、『レゴ君カード』無し。4.Aくんが、自ら片付けを始めて3分以内にスケジュールにもどれたら、賞賛し『Aくんカード』を渡す。
☆Aくんにとって・・・片付けできないと『レゴ君カード』ない↓
・タイマーに『レゴ君カード』がひっいているが、3分以内に片付けができないと・・・→ 『レゴ君カード』はもらえない。
・自発で3分以内に片付けると・・・・・→『レゴ君カード』+『Aくんカード』ゲット
《介入3》
指導手続きは、〈介入2〉に同じ。
しかし、教室外での遊びや、活動でタイマーを使用する時すべてに、タイマーに『レゴ君カード』をつけた。
☆Aくんにとって・・・ 『レゴ君カード』もらえる回数が増えた↑
・タイマーに『レゴ君カード』がひっいているが、3分以内に片付けができないと・・・→ 『レゴ君カード』はもらえない。
・自発で3分以内に片付けると・・・・・→『レゴ君カード』+『Aくんカード』ゲット
利用可能な好子
[HELP]
・おやつ
・カード
・「えらいぞ。」「すごい。」「かしこい。」等の賞賛。
教材教具など
[HELP]
・タイマー
・タイムログ
・カード
*『レゴ君カード』…3枚貯まると『Aくんカード』(現在5枚たまると『Aくんカード』)
*『Aくんカード』…6枚たまると特典おやつ。(現在10枚貯まるとおやつ)
・トークン表
・おやつ
記録の取り方
[HELP]
1.タイマーが鳴った時、自ら3分以内にスケジュールに戻り、次の活動に移る:3点
2. タイマーが鳴った時、言葉がけで3分以内にスケジュールに戻り、次の活動に移る:2点
3.タイマーが鳴った時、身体的ガイダンスで3分以内にスケジュールに戻り、次の活動に移る:1点
指導期間と達成基準
[HELP]
〈指導期間〉
ベースライン:9月18日〜10月11日(15試行)
介入1:10月12日〜11月12日(36試行)
介入2:11月12日〜11月13日(2試行)
介入3:11月13日〜1月18日(61試行)
〈達成基準〉
3点が10試行連続で90%以上になったら達成。
結果
[HELP]
記録のグラフ(3)参考にしてください。ベースラインでは15試行のうち、プロンプト無しで3分以内にスケジュールに戻れる確率は53%だった。言葉かけのプロンプトありで戻れた確率は6%。身体的ガイダンスで戻る確率40%だった。
介入1では、36試行のうちプロンプト無しで3分以内にスケジュールに戻れる確率は19%だった。言葉かけのプロンプトありで戻れた確率は56%だった。身体的ガイダンスで戻る確率25%だった。
介入2では、2試行のうちプロンプト無しで3分以内にスケジュールに戻れる確率は50%だった。身体的ガイダンスで戻る確率50%だった。
介入3では、15試行のうちプロンプト無しで3分以内にスケジュールに戻れる確率は80%だった。言葉かけのプロンプトありで戻れた確率は0%だった。身体的ガイダンスで戻る確率20%だった。
介入4では、46試行のうちプロンプト無しで3分以内にスケジュールに戻れる確率は82%だった。言葉かけのプロンプトありで戻れた確率は4%だった。身体的ガイダンスで戻る確率4%だった。
12月18日から19回連続で、プロンプト無しで3分以内にスケジュールに戻れる確率100%になり維持されている。
記録のグラフ2にあるように、選ぶ回数が多い遊びは、タイマーで終わることが難しかった。
考察
[HELP]
・遊びに熱中できることは、余暇活動にもつながり、豊かに生きていく上でとても重要であると考える。
・遊びに熱中できる時間を、十分確保した上で、時間を守ることを指導することが有効であった。
・遊びをタイマーが鳴って終了しても、介入前は、本児にとって、何の特典もほめ言葉もなかったが、タイマーが鳴ったら終了することを実行すると、おやつがもらえる、レゴ君カードがもらえる等いいことがあると理解すると、守れる回数が多くなった。
・目標は、『教室内での休憩時間の時に自らタイマーのスタートボタンを押し、鳴ると3分以内に言葉かけなしでスケジュールに戻ることができる。』であったが、教室外の遊びや、タイマーを使って終了した時すべてに、レゴ君カードをつけて、賞賛することにより、指導回数が倍増し、それに比例して守れることが多くなった。指導機会を増やしたことは、有効であった。
・遊びを始めるときに、自らタイムログを押し(指定された色のボタンを押す)、タイマーが鳴ると終了し、レゴ君カードを貼りにいくという、言語指示なしで、主体的に活動できる一連の流れを経験し習慣化することで、より、守ることができたと考える。
減らしたい行動 before
A:先行条件
B:行動
C:結果
教室での遊び時間、終了のタイマーが鳴る
タイマーには、『レゴくんカード』が付いていない
遊び終了時間のタイマーが突然鳴る
タイマーが鳴ると、あそびをそのまま続けて3分以上経過する。
好きな遊びが、続けてできる(↑)
教員からの注意なし(↑)
減らしたい行動 after
A:先行条件
B:行動
C:結果
教室での遊び時間、終了のタイマーが鳴る
タイマーには、『レゴくんカード』が付いている
タイムログにより、遊び時間の残量がわかる
タイマーが鳴ると、あそびをそのまま続けて3分以上経過する
『レゴくんカード』がゲットできない。おやつがない(↓)
教員からの注意がある(↓)
増やしたい行動 before
A:先行条件
B:行動
C:結果
教室での遊び時間、終了のタイマーが鳴る
タイマーには、『レゴくんカード』が付いていない
遊び終了時間のタイマーが突然鳴る
タイマーが鳴ると、3分以内にスケジュールに戻り、次の活動に移る
教員からのほめ言葉なし(↓)
得することがない(↓)
次の活動に移れる(↑)
増やしたい行動 after
A:先行条件
B:行動
C:結果
教室での遊び時間、終了のタイマーが鳴る
タイマーには、『レゴくんカード』が付いている
タイムログにより、遊び時間の残量がわかる
3分以内にスケジュールに戻り、次の活動に移る
カードをゲット(やがておやつゲット)(↑)
教員からのほめ言葉あり(↑)
教員からの過剰な言葉かけが無い(↑)
FILE
49_71_3.doc
データとグラフ:第一系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導手続き1 Intervention2: 指導手続き2 Intervention3: 指導手続き3 Intervention4: 指導手続き4
データとグラフ:第二系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導手続き1 Intervention2: 指導手続き2 Intervention3: 指導手続き3 Intervention4: 指導手続き4
記入日時
2007/12/10/17:48:57
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