200806



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事例担当者のイニシャル[HELP]Y.H.
事例研究のタイトル[HELP]小学部中学年の知的障害児に対する次の活動の学習カードを取り、活動場所へ移動することができるための支援
事例の概要[HELP] 以前は、終わった活動の学習カードを取り、カード入れに入れて活動の終わりの確認を行うスケジュールであったが、スムーズに活動できなかった。そのため、トランジッションカードをカード入れに入れた後、次の学習カードを取り、カードを持って次の活動場所へ移動し、カード入れに入れる始まりのスケジュールに10月14日から変更した。トランジッションカードを受け取ってから次の学習カードを次の活動場所のカード入れに入れるまでの行動は理解しているものの、その過程で、逸脱や停滞がみられ、スムーズに活動できない場合が多い。停滞する場面はトランジッションエリアで多くみられる。また、近くにいる友だちや聞こえてくる音楽が気になったり、最近では教員への注目要求が強く、自分へのかかわりを求める様子がみられ、次の活動への移動時に故意に教員の注意を引くような行動(教員を見ながら、反対方向に走り去ろうとする等)がみられたりすることもある。
対象児のプロフィール[HELP]特別支援学校小学部4年 女子 知的障害
新版K式発達検査2001:1歳8ヶ月(H18.12.実施)
その他の特徴:
・文字付き(ひらがな)の写真によるスケジュールを、登校後から給食まで、はみがきから下校までの2回に分けて提示。
・本児にとってスケジュールは、次の活動を「知る」ための手がかりにはなっている。
・スケジュールに入っている写真カードを音声言語で表すことができる。
・「お願いします」「おかわり」「いや」等の簡単な言葉や、クラスの友だちの名前を言うことができる。
・音声での簡単な指示は伝わる。
指導者の役割と人数[HELP]指導者A:YR(担任)
指導者B:HA(担任)
以上2名
長期目標[HELP]トランジッションカードを受け取ると、短時間に独力でトランジッションエリアに行き、次の活動を確認してスムーズに活動に移動することができる。
短期目標[HELP]次の活動の学習カードを取り、次の活動場所のカード入れに学習カードを入れることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]次の活動の学習カードを取り、課題スペースにあるカード入れに入れることができる。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]次の活動の学習カードを取らずに、トランジッションエリアで停滞したり、他の場所へ移動したりする。
標的行動を取り上げる意義[HELP]スケジュールを確認する時に活動が停滞し、教員の介入が必要になることが多い。スケジュールの確認や次の活動への移動等、基本的な活動の流れを一人で、または少ない支援でスムーズに行うことができるようになることで、学校生活の中での自立をねらう。また、このルーティンが身に付き、スケジュールを活用できるようになることは、環境が変わっても安心して学校生活を送ることができる手がかりとなると考える。
事例に関する情報[HELP]トランジッションカードを受け取り、カードをカード入れに入れる時、停滞することが多い。停滞すると、教員が介入しなければ、常同行動を続ける。
移動時に好きな友だちを見つけると接近したり、教員の顔に自分の顔を近づけたり、教員の目を見て故意に反対方向へ走り去ったり、特定の教室に走って行こうとする等の逸脱行動がみられる。また、好きな音楽が聞こえると、その方向へ移動することもある。
教員は、逸脱行動が見られた時は無表情で指導しているが、さらにかかわりを求めてくることがある。
給食カードについては、トランジッションカードを受け取ってから給食カードをカード入れに入れるまでの活動が短時間で行えることが多い。
般化を狙う場面[HELP]学校生活におけるすべての活動場所への移動場面
指導場面[HELP]学校生活におけるすべての活動場所への移動場面
指導手続き[HELP]指導1
1 教員はAさんに活動後にトランジッションカードを渡す。
2 教員はAさんがトランジッションエリアまで帰ることができるよう(逸脱しないよう)、2m程度離れた場所にいるようにする。逸脱した場合は、プロンプト(指さし・ことばかけ・身体的ガイダンス)を行う。
3 Aさんが、トランジッションカードをカード入れに入れた後、10秒経っても次の学習カードを取らない場合は、プロンプト(指さし)を行う。その後も取らない場合は、10秒ごとにことばかけ、身体的ガイダンスを行う。
4 教員はAさんがカード入れまで移動することができるよう(逸脱しないよう)、2m程度離れた場所にいるようにする。逸脱した場合は、プロンプト(指さし・ことばかけ・身体的ガイダンス)を行う。
5 Aさんが、課題スペースに移動し、学習カードを10秒経ってもカード入れに入れない場合は、プロンプト(指さし)を行う。その後も入れない場合は、10秒ごとにことばかけ、身体的ガイダンスを行う。
利用可能な好子[HELP]友だちや教員の写真、メロディ絵本、手遊び歌、CD(童謡)、教員からの注目、特定の友だち
教材教具など[HELP]トランジッションカード、スケジュールボード、学習カード、教員の顔写真カード
記録の取り方[HELP]ベースラインなし

【トランジッションエリアへの移動】
プロンプトなし…○
1.トランジッションエリアまで移動することができた
2.トランジッションカードをカード入れに入れることができた
プロンプトあり…×

【次の活動の学習場所への移動】
プロンプトなし…○
3.学習カードを取ることができた
4.次の活動場所まで移動することができた
5.学習カードをカード入れに入れることができた
プロンプトあり…×
指導期間と達成基準[HELP]指導期間:11月19日〜
達成基準1:3・4・5が全て○であった場合が、一日の活動場所への移動場面全体の60%を超えることが3日間続いたら達成とする。

達成基準2:1〜5が全て○であった場合が、一日の活動場所への移動場面全体の60%を超えることができたら達成とする。


図1 トランジッションカードを受け取ってから次の学習場面への移動ができたときの成功率

図2 次のスケジュールカードを取ったとき・移動したとき・カードを入れたときの成功率
記入日時 2008/11/10/18:53:16

現行ログ/ [1]
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