200821



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事例担当者のイニシャル[HELP]FY
事例研究のタイトル[HELP]自分の買い物と人に頼まれた買い物ができる
対象児のプロフィール[HELP]・特別支援学校中学部3年生 男児 自閉症
・S−M社会能力検 6歳3ヶ月(H18.5)
・太田のステージ 3−2(H18.12)
・普段から聞き慣れた三語文程度の言葉での指示を理解することができるが,聞き慣れていない言葉や新しい行動については,言葉のみの指示では理解が難しい。
・要求は,二語文程度の言葉や具体物を持ってくるなどして伝えることができる。
・文字によるチェック式の全日スケジュールを提示。見通しを持って活動できている。
・時計を読むことができるので,遊び終了時刻をスケジュールに記入しておくと,自分の腕時計で時刻を確認し,次の活動へ移ることができるようになっている。
・今年度より,お手伝い活動終了時,10円を渡すようにしている。受け取った10円はスケジュール横のクリアポケットに入れるようにし,10円が5枚貯まると,お小遣い帳にまとめて記入し,貯まったお金は貯金箱に入れ保管するようにしている。
・貯まったお金で,自立活動の時間や生活単元学習の時間に買い物に行っている。
指導者の役割と人数[HELP]自立活動(感覚)担当者2名
長期目標[HELP]病棟の売店で,自分の買い物と頼まれた買い物をして,頼まれた物,財布を頼んだ人に渡すことができる。
短期目標[HELP]病棟の売店で,メモを見て自立活動担当者に頼まれた買い物(2種類)ができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]病棟の売店で,メモを見て自立活動担当者に頼まれた買い物(2種類)ができる。
標的行動を取り上げる意義[HELP]・自分の買い物ができるようになったので,頼まれた物も買えるようになると,お手伝いの幅が広がると考える。
・人の役に立ち感謝される経験をすることができると考える。
事例に関する情報[HELP]・2年生から病棟の売店での買い物を自立活動の後半に行っており,自分の買いたい物(ジュースやお菓子)を1つ買うことはできる。
・買い物の手順は分かっており,買い物を済ませるまで援助は必要ない。
・支払いは,財布の硬貨(1円玉〜100円玉)が複数枚ランダムに入っている中から出すことができる。(ちょうどの金額があればちょうどで出し,ちょうどに足りない場合は少し上の金額を出すことができる。暗算でお釣りの計算ができる。)
・人から頼まれた物を買う経験はほとんどなく,頼まれた物が書いてあるメモを見て商品を探したことや,買ってきた物やおつりを頼んだ人に自分から渡したことがない。
・自分の物を買ってから,頼まれた物を買うという2回続けての買い物を経験をしたことがない。
般化を狙う場面[HELP]・学校で,他の教師に買い物を頼まれる。
・家庭での買い物の手伝い。
指導手続き[HELP]〔ベースライン〕
1.病棟の入り口で,文字で書いた買ってもらいたい物のメモと,お金を渡す。
2.買い物中は,見守る。課題分析した一つの行動が2分以内にできない場合は,声かけや指差しをする。それでもできない場合は,身体的ガイダンスを行う。
〔介入1〕
1.メモは,教室で渡す。
2.買ってもらいたい物(プチシリーズ)のメモを,文字と実物の写真を合わせた物にする。買ってもらう物の種類は1種類(プチシリーズうすしお味)からはじめて3種類(プチシリーズうすしお,チョコチップ,揚げマヨ)まで増やす。2授業続けて同種類の物を指定し,2回とも成功したら次の種類に移り,3種類まで増やす。目標達成後は介入2に移行する。
〔介入2〕
買ってもらう物は3種類(プチシリーズうすしお,チョコチップ,揚げマヨ)の内からランダムに指定する。2回成功したら,目標達成とする。目標達成後は,介入3に移行する。
〔介入3〕
メモを文字のみにする。買ってもらう物はプチシリーズからランダムに指定する。3回成功したら,目標達成とする。目標達成後は,介入4に移行する。
〔介入4〕
買ってもらう物を2つにする。買ってもらう物はジュースとプチシリーズからランダムに指定する。3回成功したら,目標達成とする。▼
利用可能な好子[HELP]ほめ言葉
教材教具など[HELP]財布 
小銭 
買って欲しい物のメモ
記録の取り方[HELP]記録事項
 課題分析した項目がひとりでできた場合は3点。
 声かけ,指さし有りは2点。
 身体的ガイダンスは1点。
指導期間と達成基準[HELP]ベースライン:2回
(介入1)達成基準:3点が2回
(介入2)達成基準:3点が2回
(介入3)達成基準:3点が3回
(介入4)達成基準:3点が3回
※1,2点が3回になると,指導方法を考え直す。
結果[HELP](ベースライン)
 頼まれた物が書いてあるメモを見る行動が自発しなかったため,メモを見るように声をかけ一緒にメモの内容を確認する必要があった。
(介入1)
 プチシリーズは1種類ずつ買える種類を増やしたが,一度も間違えることなく3種類まで増やすことができた。メモの写真と文字の両方を見て,買うものを探していた。
(介入2)
 買う種類をランダムで指定してプチシリーズを買ったが,メモをよく見て買い間違えることはなかった。
(介入3)
 メモを文字のみにし,プチシリーズの中からランダムに買う物を指定すると,店の中をうろうろと歩き,買い物に取りかからないことが2回あった。
(介入4)
 ジュースとプチシリーズの買い物をメモで頼むと,プチシリーズだけを買って買い物をすませることがあった。3回失敗したので,メモの書き方を変えた。ジュースを赤字で大きめに書き,プチシリーズは黒字で普通の大きさで書いた。メモを変えると,ジュースとプチシリーズを買ってくることができた。その後,3回成功したので,メモを元に戻したが,メモの通りに買い物ができた。
考察[HELP] メモを使って買い物をした経験がなかったが,写真と文字のメモは分かりやすかったようで,間違えることなく買い物をすることができていた。初めて買う物は,文字とともに写真があったほうが探しやすいと考えられる。
 文字のみのメモに変えた時に店をうろうろ歩いて,買い物に取りかからない行動が見られた。この頃,教室の授業で,プチシリーズの種類を増やしても,文字のみのメモを見て選ぶことができるようになっていたため,売店のプチシリーズ全種類からランダムで買うことにした。しかし,教室と売店では環境が違うため,ランダムにしたことでメモの物を探すのが難しかったことが考えられる。
 プチシリーズとジュースを買うことになった初めの時は,メモを見る行動はするが,メモに書いてあるジュースを買わないことがあった。メモは見るが,今までの行動パターンで買い物をしたと考えられる。ジュースを目立つようにメモすることで,プチシリーズとジュースの両方を買うことができるようになった。その後,メモを元に戻しても買い物をすることができ,メモの内容を確認して買い物することができるようになったと考えられる。メモの内容は,新しい物を入れる時は,目立つ書き方をする必要があると思われる。また,メモに書かれたものがなかった時に,「○○がありません」と言いに来ることもできた。
介入1から,週1回,数学の時間に教室で買い物のシュミレーション場面を設定し模擬買い物を実施した。指導目標が順調に達成できたのは,週2回の自立活動での施行数と週1回の教室でのシュミレーション学習も有効だったと思われる。

記入日時 2009/02/03/11:07:58

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