2003-19



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持ち物を片付ける指導
対象児のプロフィール
MH。小3男児。通常学級在籍。アスペルガー症候群。

指導者
T.M

長期目標
学級で、授業や当番活動に参加できる。

短期目標
朝の活動に参加できる。 

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
指導目標
教室で、持ち物を決まった場所に片付けることができる。

標的行動
登校後、学習用具やかばん、提出物を決まった場所に置く。

標的行動を選択した理由
本児は、学年相当の学習内容の理解ができ、算数などでは優れた能力を発揮することもある。ところが、身辺の整理ができないために次の活動にスムーズに取りかかれなくなり、学級の友だちや教師から注意を受けて機嫌が悪くなることが多い。学級での活動にできるだけ参加できるようにして本児自身に達成感を持たせるとともに、周りの子どもの本児への見方を肯定的な方向に変えていくためにも、身辺整理の指導は必要であると思われる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
指導目標に関する本児の実態
本児は、教室では身のまわりの整頓ができず、当番活動や授業への参加もできにくいため、周りの子どもたちから注意を受けることが多い。注意されると、大声を出して機嫌を悪くする。家庭では、好きなテレビ番組を目あてに朝の支度だけはひとりでできるようになったが、他の場面では、使ったものをもとに戻さずに次の物をどんどん出していくため、収拾がつかなくなってしまうことが多い。

ベースライン
課題分析をもとに自発を待ち、自発できない行動には言語指示を出した。

般化場面
(1)授業終了後の片付け
(2)給食後の片付け
(3)帰りの用意

指導場面
登校直後から朝の活動開始までの場面。

指導手続
指導手続き(1)ラベルライター
朝の片づけが終わったら、ラベルライターで教材作りの手伝いができる。
指導手続き(2)自己チェックとトークンシステムの適用
片づけができたか自己チェックをし、ポイントを獲得したら好きな活動ができる。
指導手続き(3)置き場所変更
持ち物の置き場所を変更する。
指導手続き(4)ポイントシール
10分以内に片付けたら、担任からのポイントシールを追加する。ストップウォッチ使用。

達成基準
100%の自発が5日間続いたら達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面の記録の取り方
課題分析をし、各項目の記録を取る。
(ひとりでできた、言葉かけまたは動作での指示でできた、しなかった)

般化場面の記録の取り方
達成基準に達した後で、指導場面と同じ記録を取る。

指導期間
2003年10月6日〜12月22日

結果
指導手続き(1)朝の片付け100%自発が5日間続いた。その他の場面では、般化がみられなかった。
指導手続き(2)給食後の片付け:時間はかかるが、声をかけなくてもできるようになってきた。声をかけてもなかなか行動に移せないことが時々あるが、頻度は少なくなった。やろうとはしていても、机の中などが片付けにくい状態のため、途中でやめているときがあった。
指導手続き(3)体操服袋を机の横につり下げないようにした結果、無理なく給食袋を机の横につり下げられるようになった。
指導手続き(4)自分でストップウォッチで計りながら、片付けができた。一度だけ当番の仕事(お盆の片付け)を忘れた以外は、自主的にでき、給食後の片付けも、ほぼ100%自発できるようになった。

考察
1 持ち物を片付けた後の興味のある活動が明確に示されたことで、何も楽しみがなかったときよりも自発行動が増えた。
2 自己チェックとトークンシステムは、本児の自主的行動の獲得に有効であった。
3 本児が片付けしやすい環境に改善することにより、行動がスムーズとなった。
4 「当番の仕事」は毎日の活動でないため、忘れずに行動できるための手だてが必要である。
5 般化が確認できていない「授業終了後」と「帰りの用意」については、今後も通常学級と特別支援学級との連携を継続していきたい。


Baseline: ベースライン label: ラベルライター lunch: 給食 token system lunch: トークンシステム 給食 place lunch: 置き場所変更 給食 seal lunch: ポイントシール 給食
記入日時 2006/02/13/13:13:53  No.152
記入者 管理者  E-Mail

遊びから掃除への切り替えを指導する
長期目標
通常学級で、授業や当番活動に参加できる。

短期目標
特別支援学級で、割り当てられた仕事が自主的にできる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
指導目標
特別支援学級で、割り当てられた掃除の仕事ができる。

標的行動
教師の指示で遊びを止め、掃除を開始することができる。

標的行動を選択した理由
本児は、好きな活動に集中していると次の活動に移れなくなり、その結果、集団参加が困難となることも多い。好きな活動から違う活動への切り替えを支援し、通常学級での活動にも適応できるようにしていきたい。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
指導目標に関する本児の実態
本児は、通常学級での掃除当番の仕事にほとんど参加できず、うろうろと歩き回っていることが多かった。通常学級では、日によって分担場所や使用する用具が変わることも多く、本児にとっては、自分がとるべき行動がわかりにくい状況であると考えられた。そこで、3 学期より毎日、特別支援学級の掃除を分担することとした。
その結果、決められた仕事には、てきぱきと取り組めるようになった。しかし、掃除の時間は遊び時間の後であるため、好きな遊びに熱中しているときには、掃除への切り替えが難しいことがある。

ベースライン
・対象児が掃除をする場所と手順を相談して決め、教室に表示しておく。
・昼休み終了の校内放送の後、教師は「掃除を始めましょう」と全体指示をし、対象児の自発を待つ。2分経過しても自発がなければ、対象児に近づき、個別に言語指示を出す。

般化場面
休み時間から授業への移行場面

指導場面
休み時間から掃除への移行場面

指導手続
指導手続き(1)トークンシステム
「時間内に掃除が完了したら、ポイントシールがもらえ、教師にマッサージ器をかけてもらえる」「水曜日はスペシャルデーで、好きなゲームができる」という約束をした。
指導手続き(2)ナンバーぞうきん
ナンバーのついたぞうきんを使用し、番号をてがかりにぞうきんがけをさせる。

教材教具など
がんばりノートとポイントシール、マッサージ器
お金の模型教材と貯金箱
ご褒美用のゲーム
ナンバーぞうきん

達成基準
全体の指示から2分以内で遊びの片付けを開始できることが5日続いたら、達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面の記録の取り方
教師の全体への指示から遊びの片付けまでに要した時間および個別の指示から遊びの片付けまでに要した時間を記録する。

般化場面の記録の取り方
業間休み終了の放送から遊びの片付けまでに要した時間および個別の指示から遊びの片付けまでに要した時間を記録する。

指導期間
2月4日〜3月2日

結果
ベースライン:全体への指示から、約2分足らずで掃除を開始できた。個別の指示なし。ベースラインの記録は、1回しかとれていない。
指導手続き(1)トークンシステム:ベースラインを取り始めたときに、対象児から発案してきた。条件が変わったため、指導手続き(1)とした。個別の指示を出しても遊びがすぐにやめられず、2〜6分動けない日が2日続いた。その後は、全体指示のみで動けるか、または個別の指示があれば、すぐに動けた。
指導手続き(2)ナンバーぞうきん:「これ、意外とわかりやすいね」と、喜んでぞうきんがけをするようになった。自分で番号に合わせた掃除場所を決めて取り組むようになった。遊びから掃除への切り替えに個別の指示を全く必要としない日が5日以上続いている。
般化場面:休み時間終了の放送があれば、個別の指示をしなくても遊びを止めて、自分の教室へ帰ることができている。

考察
(1)どこをするのか、何をするのか、どのような手順でするのかをはっきりさせたことは、対象児が毎日安定した活動をするために役立ったと思われる。
(2)「ナンバーぞうきん」という、わかりやすく、しかも楽しみながら掃除ができる支援ツールによって、本児の掃除を動機づけることができた。
(3)本児が興味を示していたお金の教材をトークンとして利用することで、トークンシステムを有効に機能させることができた。対象児が興味をもっているものを常に把握し、それをご褒美に取り入れていくことは、様々な場面における行動を支援するために有効であると思われる。
(4)業間休みから授業への移行場面で、教室への移動は問題なくできている。ただし、教室へ帰ってからの行動については記録できていない。学習用具の準備等の指導については、今後の課題としたい。


Baseline: ベースライン Intervention1: 指導手続き1 Intervention2: 指導手続き2 generalization: 般化場面
記入日時 2006/02/13/13:17:51  No.153
記入者 管理者  E-Mail

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