対象児のプロフィール |
MH。小3男児。通常学級在籍。アスペルガー症候群。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
指導目標 教室で、持ち物を決まった場所に片付けることができる。
標的行動 登校後、学習用具やかばん、提出物を決まった場所に置く。
標的行動を選択した理由 本児は、学年相当の学習内容の理解ができ、算数などでは優れた能力を発揮することもある。ところが、身辺の整理ができないために次の活動にスムーズに取りかかれなくなり、学級の友だちや教師から注意を受けて機嫌が悪くなることが多い。学級での活動にできるだけ参加できるようにして本児自身に達成感を持たせるとともに、周りの子どもの本児への見方を肯定的な方向に変えていくためにも、身辺整理の指導は必要であると思われる。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
指導目標に関する本児の実態 本児は、教室では身のまわりの整頓ができず、当番活動や授業への参加もできにくいため、周りの子どもたちから注意を受けることが多い。注意されると、大声を出して機嫌を悪くする。家庭では、好きなテレビ番組を目あてに朝の支度だけはひとりでできるようになったが、他の場面では、使ったものをもとに戻さずに次の物をどんどん出していくため、収拾がつかなくなってしまうことが多い。
ベースライン 課題分析をもとに自発を待ち、自発できない行動には言語指示を出した。
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般化場面 |
(1)授業終了後の片付け (2)給食後の片付け (3)帰りの用意
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指導手続 |
指導手続き(1)ラベルライター 朝の片づけが終わったら、ラベルライターで教材作りの手伝いができる。 指導手続き(2)自己チェックとトークンシステムの適用 片づけができたか自己チェックをし、ポイントを獲得したら好きな活動ができる。 指導手続き(3)置き場所変更 持ち物の置き場所を変更する。 指導手続き(4)ポイントシール 10分以内に片付けたら、担任からのポイントシールを追加する。ストップウォッチ使用。
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達成基準 |
100%の自発が5日間続いたら達成とする。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導場面の記録の取り方 課題分析をし、各項目の記録を取る。 (ひとりでできた、言葉かけまたは動作での指示でできた、しなかった)
般化場面の記録の取り方 達成基準に達した後で、指導場面と同じ記録を取る。
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結果 |
指導手続き(1)朝の片付け100%自発が5日間続いた。その他の場面では、般化がみられなかった。 指導手続き(2)給食後の片付け:時間はかかるが、声をかけなくてもできるようになってきた。声をかけてもなかなか行動に移せないことが時々あるが、頻度は少なくなった。やろうとはしていても、机の中などが片付けにくい状態のため、途中でやめているときがあった。 指導手続き(3)体操服袋を机の横につり下げないようにした結果、無理なく給食袋を机の横につり下げられるようになった。 指導手続き(4)自分でストップウォッチで計りながら、片付けができた。一度だけ当番の仕事(お盆の片付け)を忘れた以外は、自主的にでき、給食後の片付けも、ほぼ100%自発できるようになった。
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考察 |
1 持ち物を片付けた後の興味のある活動が明確に示されたことで、何も楽しみがなかったときよりも自発行動が増えた。 2 自己チェックとトークンシステムは、本児の自主的行動の獲得に有効であった。 3 本児が片付けしやすい環境に改善することにより、行動がスムーズとなった。 4 「当番の仕事」は毎日の活動でないため、忘れずに行動できるための手だてが必要である。 5 般化が確認できていない「授業終了後」と「帰りの用意」については、今後も通常学級と特別支援学級との連携を継続していきたい。
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Baseline: ベースライン label: ラベルライター lunch: 給食 token system lunch: トークンシステム 給食 place lunch: 置き場所変更 給食 seal lunch: ポイントシール 給食 |
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記入日時 2006/02/13/13:13:53
No.152
記入者 管理者
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