2005-03



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小学部低学年の知的障害児が簡単なことばで要求できるようになるための支援
概 要
 昨年(1年生の時)前期は、音の出る玩具等の物への興味は高かったが、人に対しての関心がほとんどなく、目も合いにくかった。昨年度後期から、少しずつ人(担任)への興味が出始めてきた。物を取って欲しいときや、蓋を開けて欲しいときなどにクレーンハンドで要求することもあるが、すぐに諦めてしまうことが多い。自分の思いが上手く伝わらないときは、発声や頭を前後に揺らす、体を床に打ち付ける等で表現する。この行動を無くし、適切な方法でコミュニケーションすることができるよう指導していきたい。

対象児のプロフィール
C
小学部2年 女児 ダウン症

諸検査結果
SM社会生活能力検査:1歳5ヶ月(H17.11.9)

障害の特性
身体機能が未熟で動きがぎこちない

指導者
担任(2名)

長期目標
簡単なことばで自分の意思や要求を伝えることができる。

短期目標
自分が欲しい物を簡単なことばで要求することができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
遊びたい玩具を言葉「とって」と要求することができる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
音の出る玩具を取って欲しいときは、クレーンハンドや視線で要求する。今まで発語は全く出ていなかったが、夏休みに保護者が「『取って』って言うて」と言うと1度だけ「とて」と言うことができた。学校にある音の出る絵本が大好きで、休み時間に絵本の音楽を鳴らして遊んでいることが多い。唯一、「とて」という言葉が出たので本児の好きな音の出る絵本を言葉で要求できることを定着させたい。

般化場面
・教員の注意をひいてから要求する
・担任以外の教員に伝える

指導場面
休み時間

指導手続
ベースラインはとっていない。プロンプトなしでどれだけ言葉「とって」で要求できたかを記録する。
指導の方法としては
・児童の好きな音の出る絵本を本児に見せた後、高い場所に絵本を置く。教員は本児のすぐ傍にいる。
・「とって」と要求できた場合は正反応とし、言葉でプロンプトを出したり、プロンプトを出しても要求が出なかったときは誤反応数とする。

教材教具など
音の出る絵本(数種類)

達成基準
指導を実施後、正反応数80%が5日間連続でできたら達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面
(1)正反応・・・プロンプトなしで「とって」と要求できた
   
(2)誤反応・・・プロンプト(声かけ)をした時、プロンプトしても要求が出なかった時
 正反応数と誤反応数を1日毎に記録する。   

指導期間
2005年
指導は9月15日から3週間行う。

結果
指導を始める前に一回だけ「とって」と言葉で要求することができたのでベースラインは取らずに指導を始めた。
 指導を始めて2日目に正反応が出たが、その後5日間は正反応が見られなかった。教員がプロンプトを入れることで「とって」と言って要求する回数が少しずつ増え、9日目から自らプロンプトなしで「とって」と要求することができるようになってきた。そして、15日目に達成することができた。

考察
 ことばでの「とって」は出たが、その後5日間要求が出なかった。その理由として教室の環境が一定でなかったことが要因の1つであると考えられる。友だちが聴いているCD(童謡)やビデオの音、玩具に注意が向き音の出る絵本に意識が向かなかったと思われる。少しずつそれらの刺激を減らし、環境を整えていくことで音の出る絵本を要求する回数が増えてきた。また、本児にとって「とって」の意味や使い方を十分理解できていなかったため意図的に使えるようになるまで少し時間を要したのではないかと考えられる。指導を続ける中で「とって」と言うことで、好きな玩具を手に入れられることが理解できてからは誤反応数が急激に減った。


第一系列のタイトル: 赤:正反応数
Intervention1: ・傍にいる担任に欲しい絵本を「とって」と要求することができるための指導  
第二系列のタイトル: 黄:誤反応数
Intervention1: ・傍にいる担任に欲しい絵本を「とって」と要求することができるための指導  
記入日時 2005/09/07/19:17:10  No.14
記入者 N.K  E-Mail

小学部低学年の知的障害児が簡単なことばで要求できるための支援
指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
(標的行動)教員に[とんとん」と教員の体をタッチをしたり、「パチパチ」と両手を鳴らしたり「ドンドン」と足をふみならすなどして注意喚起をし、教員が視線を合わせた後、「とって」と絵本を要求することができる。
(理由)
教員が自分の要求に気付かない場合に、教員の注意を喚起する方法を獲得していないため。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
「とって」と要求できるが、声も小さく本児とかかわりの少ない教員には気付かれ難いと思われる。教員が気付かなかったときは要求をすることを諦めてしまう。相手に気付いてもらえるよう注意喚起の方法を指導し、相手にスムーズに要求が伝えられるようにしていきたい。

指導場面
休み時間

指導手続
ベースラインは1日間。プロンプトなしで教員に注意喚起できたかを記録する。
指導の方法としては、上に置いてある絵本を「とって」と要求が出たとしても、教員は気付かないふりをする。本児の後ろにいる教員が本児の手をとって、前の教員にトントンとタッチするようにし、注意喚起する方法や、手や足を鳴らしたりして注意喚起をする方法を伝える。

教材教具など
音の出る絵本(数種類)

達成基準
ベースライン後指導を実施する。指導を実施後、正反応数80%が5日間連続でできたら目標達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面
(1)正反応・・・プロンプトなしでトントンと教員を呼んだ後、「とって」と要求できた時、パチパチと両手を鳴らして教員の注意を喚起した後、「とって」と要求できた時、「ドンドン」と足を踏みならして教員の注意を喚起した後、「とって」と要求できた時。
(2)誤反応・・・プロンプトをした時、プロンプトをしても教員の注意を喚起する行動が見られなかった時。
正反応数と誤反応数を1日毎に記録する。

指導期間
2005年10月6日(ベースライン)
その後指導は10月17日から3週間行う。

結果
注意喚起をしてから「とって」と言うことができるよう、指導を始めた。注意喚起の方法として、「トントンと教員にタッチする」ということを設定していたが、指導の途中で教員にタッチする意外に自分で両手を「パチパチ」鳴らしたり足を踏みならしたりして注意喚起をする方法も自分で生み出した。指導を開始したところ、はじめの5日間は「トントンと教員にタッチする」行動以外は誤反応としていたので誤反応数が正反応数を上回っていたが、両手を鳴らしたり足を踏みならしたりすることも正反応数に加えたことで、6日目からは正反応数が誤反応数を上回り10日目に目標を達成することができた。

考察
 指導1の結果、「とって」と傍にいる教員に要求することができるようになったが、声も小さく本児の様子を意識していなかったら要求に気付かないこともあった。そこで、「とって」と言う前に教員に注意喚起をすることができるよう指導を始めた。 指導を始めて間もない頃は、「とて」と言葉を発していただけのような感じであったが、指導を継続していく途中で少しずつ相手の様子をうかがいながら要求を出すことができるようになってきた。また、指導の過程でいろいろな人や場面での般化が広がった。
\x{2460}担任以外の教員にも要求できるようになった。
\x{2461}トイレの便座に座った時、上に置いてあるオルゴールを「とって」と要求できるようになった。
\x{2462}給食の時、自分のお盆にご飯がないことに気付くと「とって」と要求できるようになった。
\x{2463}ひまわり館など教室以外の場所でも要求できるようになった。
\x{2464} 離れた所にいる教員の所に行き、要求できるようになった。
\x{2465}家庭で欲しい物が手の届かない所にあるとき「とって」と要求できるようになった。
\x{2466}家庭で牛乳が欲しいとき「にゅうにゅうにゅう とって」と要求できるようになった。
 自分で色々な場面や人に対しても「とって」と要求ができるようになってきたが、自分で椅子などを持ってきて自力で欲しい物を取ろうとする行動も見られる。今後も「とって」
という要求が確実なものになるように指導を継続しながら、命名+「とって」での指導も平行して行っていきたいと思う。


第一系列のタイトル: 正反応数
Intervention1: ・教員の注意をひき(トントンと教員にタッチする)、「とって」と欲しい絵本を要求することができるための指導。  
第二系列のタイトル: 誤反応数
Intervention1: ・教員の注意をひき(トントンと教員にタッチする)、「とって」と欲しい絵本を要求することができるための指導。  
記入日時 2005/10/05/17:31:43  No.48
記入者 N.K  E-Mail

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