2004-26



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作業の時間に決められたことを最後まで取り組む
概 要
・活動に対する逸脱行動が見られる生徒を対象とする。
・午前中の作業時間を2ステージに分け、1ステージに つき2〜3行程の別作業を設定する。
・トークンエコノミーの方法を利用し、ステージごとに 評価を行う。
・評価の仕組みは、行程ごとに設定する。

対象児のプロフィール
・高等部在籍 男子生徒
・言葉でのやりとりが可能。小学校1年生程度の読み書 き計算ができる。
・自尊心が高く、自分を否定されることに対して強い抵 抗を示す。
・物事の判断は、印象で判断する傾向があり、熟慮する ことは少ない。
・自分の意思が通らない場面では、暴力的な行為で無理 矢理認めさせようとする。
・言葉による説明よりも文字情報が有効。
・因果関係の理解が困難。

諸検査結果
CARS:28点
太田のステージ Stage4
WISC−3 FIQ:60、VIQ:51、
              PIQ:79

障害の特性
気分の異常・ストレス耐性の低さ(心理的な安定)
因果関係の理解が困難(心理的な安定)(環境の把握)
自閉的空想(心理的な安定)
視覚有意の情報処理(環境の把握)
偏ったコミュニケーションの発達(コミュニケーション)
対人相互作用の問題(社会との関わり)
偏った社会性の発達(社会との関わり)
社会生活上のルールの理解の困難(社会との関わり)
感情を理解したりコントロールしたりすることの困難(社会との関わり)

指導者
N.I

長期目標
作業の時間に決められたことを最後まで取り組む

短期目標
現場実習で1日あたりに設定された作業に最後まで取り組むことができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
1ステージに決められた2〜3行程の作業を最後までやり遂げる。

卒業後の生活を考えた際に、自分の思い通りに生活が送ることができるわけではなく、所属したセクションで、与えられた仕事に取り組まなくてはならない。またそうしたことを要求されると考えられる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
作業学習や各授業における対象生徒は、基本的には自分の持ち場につくものの、自身の空想の世界で過ごしたり、自分の好きなことをして過ごすことが多い。
教師からの注意や指摘に耳を傾けることはなく、思い通りに行動する傾向が強い。
ベースラインは、現場実習前の作業の時間では、ほぼ自分の思い通りに時間を過ごしていた。基本的には自分から作業に取り組むということはなく,指示された作業内容に関して好き嫌いをいうことが多い。現場実習が始まり、手だてを実施しているので、記録を始める。

般化場面
主として現場実習期間中における作業への取り組みを評価する。
般化場面としては、
(1) 木工・セメントの時間
(2) N.I以外の教師が提示した場合
(3) 生活の時間
(4) 校外現場実習

指導場面
現場実習中、午前中を時間帯で2ステージに分ける。
そのステージごとに3行程の作業を設定し、作業に取り組むようにする。

指導手続
作業の始まりの際に、時間と作業内容を文字で記した予定表を示し、午前中2ステージ午後1ステージごとに作業内容を設定する。
作業が終われば、教師に報告しチェックをしてもらい、次の始まりまで休憩・余暇を取る。
1ステージごとの教師のチェックで評価をもらい、合格基準を満たせばトークンを取得することができる。
トークンが6個集まれば自分が気に入っている本(中古)を休みの時に教師と買いに行くことができる。

教材教具など
作業の材料
1日のスケジュール
トークン用シール・シート

達成基準
ステージ毎に2〜3種の作業を設定し,ステージの間には休憩を設ける。細かな時間設定はせず,準備した作業は,集中して取り組めば20〜30分程度でひとりでできるような内容にする。合格基準としては,自分で行ってできた場合、教師の指摘でやりなおした場合も含めて合格とする。途中で投げ出したり、合格基準を満たさなければ不合格とする。

その日毎の達成率を割合で記録する。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
(1)指導場面
 ステージごとに決められた作業をやり遂げることができるかどうかを評価する。
 ・決められたとおりやり遂げることができれば2点
 ・教師の指摘でやり直した場合は1点
 ・合格基準を満たすことができなければ0点
(2)般化場面
 別の授業や場面・人で同様の方法で行う。

グラフ下
第一系列のタイトル: 1ステージの作業を最後までやり遂げる
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4

指導期間
第1期 9月13日〜24日
第2期 9月27日〜

結果
準備した作業の内容が本人にとって簡単であったこと,2週間という短期間であり,トークンがもらえ,トークンをためると外出できることなど現場実習に対しての見通しを持ち,関心を持続させることができたという効果が見られた。

考察
作業を済ませば休憩ができ,なおかつ教師から細かな指示を受けず,自分のペースで取り組むことができたということで作業に対しての拒否が見られなかったと思われる。また,決められたスケジュールには従おうとする傾向も見られたので,予め本人がするべきことを提示することの有効性が強く感じられた。ただし,活動内容によっては,態度を変え,本人自身はプライドも高いので指示・指導のたぐいを受け入れにくいが,現場実習中はそのようなこともなかったので,有効に働いた。
働くということで人から認められるというような価値観よりも自分にとって即時性のある物的な強化子がより有効であることも分かった。

作業の時間に決められたことを最後まで取り組む
A:先行条件 B:行動 C:結果
1ステージ3行程の作業の時間に 決められた予定のとおり作業に取り組む できていれば先生にほめられる(↑)。
できていれば先生からシールをもらえる(↑)。
できていなければシールがもらえない(↓)。

1行程の作業を最後までする。
A:先行条件 B:行動 C:結果
1つ目(行程)の作業の時に 決められたルールのとおりに作業をする。 できていれば先生にほめられる(↑)。
やり直しをいわれてやりなおしをすればほめられる(↑)。
できていなければシールがもらえない(↓)。


記入日時 2006/02/24/15:27:55  No.235
記入者 管理者  E-Mail

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