2004-27



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手順どおりに活動することができる
概 要
卒業後を見据えて、スケジュールや手順書を利用し、自主的に活動したり見通しを持って活動したりすることができるようにする。

対象児のプロフィール
高等部 男子。自閉症。

諸検査結果
太田のStage\x{2162}−1

障害の特性
環境の把握。変化への対応。過敏性。

指導者
MT

長期目標
スケジュールや手順書を確認しながら活動することができる。

短期目標
手順書を見ながら、朝の手伝い活動をひとりですることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
手順書を見ながら、3つの活動を決められた順にすることができる。
(1)紙工室の前の箱の中に、空の牛乳パックを入れに行 く。
(2)事務室でドリルのコピーを2枚する。
(3)教室の黒板をぬれ雑巾で拭く。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
活動の際、口頭での指示と周囲の動きを見ながら行動をとることが多い。自分の意思で行動できても、スケジュールに沿って行動をとることが難しい。活動はルーティンになりやすい反面、慣れてくると手順を飛ばしたり完成度が低くなる傾向が見られる。終わりの見通しが持ちにくい。ワークシステムは上から下・左から右がほぼ定着している。集中時間は30分程度であるため、短いスパンでの作業であれば、コンスタントにこなすことができる。文字は、小学校1年生程度の読み書きができるが、具体物や写真カードを併用するとよりよく理解できる。

般化場面
(1)現場実習での作業手順。(2)給食の片付けの手順。(3)掃除の手順。

指導場面
朝の活動時。

指導手続
絵と文字によって書かれた手順書を,本児の机の上に提示する。
・プロンプトの提示の仕方活動は次の通り。ひとつの活動が終わって次の活動に移ることが3分(最初の設定は10秒。不成功に終わったためプロンプトの定義をこの時間に設定し直した。)たってもできないときに行う。
1.「朝の予定を見てよ。」と手順書を見るようにいう。
2.「○○君、ここを見てよ。」といいながら指差しで示す。
3.次の予定のカードをめくるように指差しをして促す。
4.「次はこれだね。」と次の活動を読んで示す。

教材教具など
手順書。手伝い活動に必要な材料や道具(コピー用のドリル、空の牛乳パック、黒板を拭くための雑巾)。

達成基準
【Step1】3つの活動の順番を変えずに手順書を提示し、5日間続いたら達成。
【Step2】3つの活動の順番を毎日変えた手順書を提示し、10日間続いたら達成。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
指導場面:3つの活動の完了までに、指導手続きで示したプロンプトが何回必要だったかを記録する。
般化場面:(1)については指導目標の朝の場面での指導と並行して行う。他の2つについては、達成基準に達した後で同じ記録をする。

グラフの下
第一系列のタイトル: 手順書を見ながらの3つの活動
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4

指導期間
平成16年9月13日〜平成16年11月29日

結果
【Step1】達成できた(プロンプトの定義変更後)。
【Step2】達成できた。

考察
 初回、達成できなかった原因としては、プロンプトの定義(10秒という時間の長さ)が生徒の実態に合っていなかったからだと考えられる。
 その理由は、9月中からの現場実習期間に入った時から達成できるようになったことから推測される。
・9月上旬は、短時間に教師から何度もプロンプトが出たりすることで混乱することが見られたから。
・9月中のこの期間中は、教師のプロンプトが出るまでに大幅に時間がかかったこともあり、自分のペースで仕事ができたから。
・9月下旬は、「10秒たったらプロンプトを出す」という設定に変更したことで、仕事はスムーズにできたが結果的には「プロンプトが必要であった」と言う結果になったから。
 その後、「3分たったらプロンプトを出す」という設定に変更したことで、推測どおり【Step1】【Step2】の基準をクリアすることができた。
 これらのことより、以下のことが考えられる。
(1)繰り返し行うことで朝のお手伝い活動が定着した。
(2)活動の切り替えには3分程度かかるため、本人のペースでする必要がある。
(3)その日の気分や環境の変化によって切り替えに要する時間が大幅に変化することがあり、自閉症の特性である変化への対応・過敏性が顕著に表れていると考えられる。

参考にした先行研究や事例など
メモ
【グラフの見方】
Intervention1:プロンプトの定義(10秒)
Intervention2:9月13日から24日まで現場実習。教師のプロンプトの出し方にむらがあった。プロンプトの定義(1分から3分)
Intervention3:プロンプトの定義(3分)【Step1】
(Intervention1,2,3ともに、活動時間は8時30分から8時50分。よって、介入1,2,3の違いは「プロンプトの定義」のみ。)
Intervention4:仕事の順番を変えて行う【Step2】。

A:先行条件 B:行動 C:結果
朝の時間のとき 手順書を見て、3つの活動をする 休憩ができる。(CDを聞く)


記入日時 2006/02/24/15:33:54  No.236
記入者 管理者  E-Mail

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