2004-33



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自分でズボンの中にシャツを入れることができる
概 要
本児は1人で着替えることができるが、着替えのあとズボンからシャツがでたままになっている。声かけや絵カードを指し示すと気づくが、シャツを入れるスキルを獲得していないため、手をズボンに入れて立っていたり、(入れて欲しそうに)ズボンに手を入れたまま教師のところまできて背をむけたりしている。そこで、シャツを入れるスキルを獲得するために、課題分析による手立てを行なう。取り組みやすい体操服から始め、般化していく。

対象児のプロフィール
A児。小2男児。自閉症。

諸検査結果
SM社会能力検査 3歳4ヵ月(平成15年)

障害の特性
・中庭やホールなど人がたくさん集まる場所で遊ぶよりも、お絵かきやシールはり、工作など、教室で一人で遊ぶほうが好き。
・簡単な要求や意思はことばで伝えることができる。あいさつもできる。
・ひらがなに興味を持ち、少しずつ読んだり書いたりできるようになってきた。
・クラスの友だちだけでなく、他のクラスの友だちにも関心をもちはじめ、名前を言うようになった。
・指導が必要な場面でことばで指示すると、嫌がって受け入れないことがある。写真や絵カードを使うと、スムーズに受け入れ従うことができる。

指導者
K.E

長期目標
ズボンからシャツが出ている時、自分でズボンの中にシャツを入れることができる。

短期目標
着替える時、自分でズボンの中にシャツを入れることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
標的行動
体操服に着替える時、自分でズボンの中にシャツを入れることができる。
理由
・声かけや絵カードの提示によるこれまでの指導方法だけでは、シャツを入れるスキルを獲得するのに不十分であったため、課題分析によりシャツを入れる手順を1つ1つ理解することによって、シャツを入れるスキルを獲得できるのではないかと考えた。
・シャツをズボンに入れるスキルを獲得できるよう教えるのに、ズボンの腰の部分がゴムになっている体操服が取り組みやすいと考えた。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
・本児は1人で着替えることができるが、シャツを入れるスキルを獲得していないため、着替えのあとズボンからシャツがでたままになっている。声かけや絵カードを指し示すと気づくが、手をズボンに入れて立っていたり、(入れて欲しそうに)ズボンに手を入れたまま教師のところまできて背をむけたりしている。
・現在、A学園から通学している(A学園での着替えの状況はわからない)。家庭では、今まで母親がシャツを入れてあげることが多かった。
・声かけに対して嫌がることが見られるが、絵(写真)カードを使用すると受け入れがスムーズである。

般化場面
(1) (トイレから出てきた時など)体操服からシャツが出ている時、自分でシャツを入れることができる。
(2)学校で学生服に着替える時に、自分でシャツを入れることができる。
(3)A学園で学生服に着替える時に、自分でシャツを入れることができる。

指導場面
着替えの時間

指導手続
ズボンの腰の部分がゴムになっていて広げやすい体操服から指導を始める。はじめは前だけシャツを出させ、あとは教師が入れ、シャツを入れる練習をする。シャツを入れるスキルの課題分析を行なった手順カードを用いて(1)〜(6)((1)右手でシャツの裾を持ち上げる(2)左手でズボンのゴムの部分を持ち広げる(3)右手でシャツの裾を持ったままズボンの中へ引き込む(4)右手でズボンの中に入れたシャツをのばす(5)シャツがでないように右手をズボンの中から出す(6)左手を離す)を行なう。はじめは、手順カードを示しながら身体的ガイダンスを行なう。徐々に身体的ガイダンスを減らしていく。前ができるようになったら前と横、前と横ができるようになったら全体を練習する。
すべての行動において
○正反応→「そうそう」と言って誉める。
●誤反応→→「あれ!(違うねー)」「そうかな?」と言って手順カードを提示する。→身体的ガイダンス。
●無反応(5秒)→「次は?」と声かけする。→手順カードを提示する。→身体的ガイダンス。

教材教具など
手順カード((1)右手でシャツの裾を持ち上げる(2)左手でズボンのゴムの部分を持ち広げる(3)右手でシャツの裾を持ったままズボンの中へ引き込む(4)右手でズボンの中に入れたシャツをのばす(5)シャツがでないように右手をズボンの中から出す(6)左手を離す)

達成基準
自分でシャツを入れることが4日間続いたらその段階を達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
着替えコーナーを出るまでに、自分で前後左右すべてシャツを入れることができた場合は1点、教師のプロンプトが必要であった場合は0点とした。
(達成基準に達した後で、同じ記録を上述の3つの般化場面で記録する。)

グラフ下
第一系列のタイトル: 1人でシャツを入れることができたか
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4

指導期間
2004年9月17日〜2004年9月24日

結果
ズボンにシャツを入れるスキルを獲得し、体操服に着替えるときや体操服からシャツがでているときに自分でシャツを入れることができるようになった。また学生服に着替えるときも、自分でシャツを入れることができた。

考察
本児は夏休みあけにはシャツを入れるスキルを獲得していた。シャツを入れるスキルの獲得については、1学期から着替え後にシャツが出ていると声をかけたり、ロッカーにシャツを入れるの絵カードを貼ったりしていたことに加え、着替える順番を変えた(体操服の上着を着る前にズボンをはくようにした)ことがきっかけになったのではないかと思う。
今回の事例研究では、シャツを入れるスキルを獲得するという点での指導をすることはできなかったが、指導の進め方について大変勉強になり、今後の指導に役立てていきたい。

体操服に着替える時、自分でズボンの中にシャツを入れることができる。
A:先行条件 B:行動 C:結果
「シャツ入れようね」と声かけをする。または「シャツを入れる」の絵カードを提示する。 ○正反応 手順通り一人でできる。
●誤反応 間違った手順で行なう。
●無反応(5秒)
○正反応→「そうそう」と言って誉める。
●誤反応→「あれ!(違うねー)」「そうかな?」と言って手順カードを提示する。→身体的ガイダンス。
●無反応(5秒)→「次は?」と声かけする。→手順カードを提示する。→身体的ガイダンス。


記入日時 2006/02/26/14:25:57  No.250
記入者 管理者  E-Mail

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