2004-36



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大声を出しているとき、教師に「シー」と言われて、小声で「シー」と言うことができる
対象児のプロフィール
M児 小4男児 自閉症

指導者
担任

長期目標
大声を出しているときに、教師に「シー。」と言われて、小声で「シー。」と言うことができる。

短期目標
サーキットトレーニングで、10周のうち3〜5周を、小さな声で「シー。」と言って回ることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
○指導目標
サーキットトレーニングで、10周のうち3周を、小さな声で「シー。」と言って回ることができる。

○標的行動
指導目標と同じ。

○標的行動を選択した理由
1学期には、静かにするゲーム(1日1回)を数回実施し、タイマーが鳴るまでの30秒間、大声を出さずに「シー。」と言うことができている。STEP1において、静かにするゲームを利用してトークンの学習を実施し、STEP2において、STEP1で学習したトークンをサーキットトレーニングのチップボードに取り入れようと考えた。
家庭において外出先で大声を出すことがあり、保護者からも指導の要望がある。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
○指導目標に対する対象児の実態
本児は周囲の声や音が気になるとき、または機嫌のよいときにも大きな声を出すことがある。特に、思い通りにならないことがあるなどして大声を出しているときに、教師に「静かにして。」などと言われると、そのことに対してつばを吐くなどの行動が見られる。トークンを使用した経験はない。

○ベースライン
サーキットトレーニングにおいて、10周のうち最初の5周の間に、大声を出した回数と1回毎の時間を5日間記録する。

般化場面
(1)大声を出しているとき、教師に「シー。」と言われて、小さな声で「シー。」と言うことができる。
(2)特定の教師以外の大人に「シー。」と言われても、同様にできる。

指導場面
【STEP1】
静かにするゲームの時間(課題学習の前の遊びの時間、昼休み、下校前の遊びの時間)に実施。それぞれ「ゲーム」とスケジュールに入れておく。
【STEP2】
サーキットトレーニング

指導手続
【STEP1】
静かにするゲームを1日3回実施する。タイマーが鳴るまで30秒間、「シー。」と言ったり、声を出さずにいたりすることができれば、シールを1つ手渡す。シールが4つたまれば、チョコレートを手渡す。ゲーム中、大声を出すことがあれば、「シールないねえ。」と言い、シールは渡さない。
【STEP2】
サーキットトレーニングで、10周のうち最初の3周を静かにする周として実施する。チップボードに「シー」と書いたチップを貼っておく。大声を出さずにその周を回ることができれば、シールを手渡し、トークン表に貼るように伝える。大声を出したときには「シールないねえ。」と言い、シールは手渡さない。STEP1と同様、シールが4つたまればチョコレートを1つ手渡す。

教材教具など
タイマー、チョコレート、トークン表、サーキットトレーニングのチップボード

達成基準
【STEP1】トークン表を5回埋めた時点で達成とし、STEP2を開始する。
【STEP2】トークン表を5回埋めた時点で達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
【STEP1】
1回のゲームで、Mが「シー」と言うことができ、シールを手渡したときに○。Mが大声を出し、シールを渡さなかったときに×を付ける。○のうち、チョコレートを渡したときに◎を付け、◎が5つで達成。
【STEP2】
サーキットトレーニングの静かにする各周で、Mが「シー」と言うことができ、シールを手渡したときに○。Mが大声を出し、シールを渡さなかったときに×を付ける。○のうち、チョコレートを渡したときに◎を付け、◎が5つで達成。

【STEP1】
A:先行条件 B:行動 C:結果
静かにするゲーム(30秒)で ○小声で「シー。」と言う。
●大声を出す。
○「シーできたね!」(賞賛)+シールを手渡される。
●「ざんねん、シールないねえ。」+シール手渡されない。

【STEP2】
A:先行条件 B:行動 C:結果
サーキットトレーニングで「シー」のチップのとき、(最初の3周) ○小声で「シー。」と言ってその周を回る。
●途中で大声を出す。
○「シーできたね!」(賞賛)+シールを手渡される。
●「ざんねん、シールないねえ。」+シール手渡されない。

記入日時 2006/02/24/12:57:42  No.219
記入者 管理者  E-Mail

大声についての指導 機能分析
機能:逃避・回避
A:先行条件 B:行動 C:結果
サーキットトレーニング(朝の会、課題など)で、周囲の声が気になるとき、 大声を出す 自分の声で周囲の声が聞こえなくなる(↑)
もしくは
自分の声に周囲が静かになる(↑)



代替行動として考えられる行動:ヘッドフォン(または耳栓、耳の所にふさのついている帽子)を使用する。

機能:逃避・回避
A:先行条件 B:行動 C:結果
友達の吹くピアニカの音が気になるとき、 大声を出す 自分の声でピアニカの音が聞こえなくなる(↑)



代替行動として考えられる行動:友達に「やめて。」「静かにしてください。」と言う。

機能:逃避・回避
A:先行条件 B:行動 C:結果
音楽(など集会)で、前で教師が話している内容が分かりにくいとき、 大声を出す  

機能:自己刺激
A:先行条件 B:行動 C:結果
1.サーキットトレーニングで周が多くて嫌なとき、
2.ビデオを観て興奮しているとき、
大声を出す 自分の声が聞こえる(↑)

記入日時 2006/02/24/13:00:08  No.220
記入者 管理者  E-Mail

周囲の音が気になるときに、ヘッドフォン、耳栓を使用する学習
概 要
対象児は、周囲の音が気になるときに、大きな声を出すことがある。対象児自身は自分の声で周囲の音を聞こえないようにしていると予想される。
また、対象児の声に周囲が静かになることもあり、そのことも対象児にとって好子の出現となっていると考えられる。

対象児のプロフィール
小4男児。自閉症。

指導者
担任

長期目標
家族との外出先で、周囲の音が気になるときに、ヘッドフォンや耳栓を使用することができる。

短期目標
課題学習や朝の会など学校生活で、周囲の音が気になるときに、ヘッドフォンや耳栓を使用することができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
連絡帳を書くときに、周囲の音が気になる場合、ヘッドフォンと耳栓を使用(併用)することができる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
・ベースライン
1)大声の有無を、次の方法で記録する。
2点:大声「ぎゃーぎゃー」+両手を叩く+体を前後に揺らすあり。
1点:「んーんー」(「ぎゃーぎゃー」のときよりも静かな声だが、周囲の音は気になっている様子。)
0点:大声なし。
 
・実態
ヘッドフォンと耳栓が、嫌がらずに使用できるかを試してみた。周囲の音が気になり「んーんー」と言っているときに渡すと、使用することができた。(※その後すぐに連絡帳に取りかかることができた。)「ぎゃーぎゃー」と言っているときには指示が通りにくいため、渡さなかった。
ヘッドフォンは防音できるものではないので、単独での使用をしたときにはあまり効果がなかった。

般化場面
1)課題学習で周囲の音が気になっているとき
2)朝の会で
3)サーキットで
4)ホールでの遊びの時間に
5)家族と外出した先で

指導場面
連絡帳を書いているときに、周囲の音が気になっている場合

指導手続
【STEP1】対象児が「んーんー。」と言っているとき、連絡帳を書く机の上(対象児から手が届くところ)に耳栓とヘッドフォンが入ったかごを置く。
10秒ほど待って、対象児が耳栓とヘッドフォンを使用しないようであれば、ヘッドフォンと耳栓は?と声をかける。
【STEP2】
STEP1で、耳栓とヘッドフォンを自分から使用できることが5回あれば、耳栓とヘッドフォンの入ったかごを、対象児から見えて、歩いて取りに行く位置に置く。

教材教具など
ヘッドフォン
耳栓
ヘッドフォンと耳栓を入れるかご

達成基準
【STEP2】で、ヘッドフォンと耳栓を自分から使用できることが5回あれば、達成とする。
※続けて5回でなくてもよい。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
・指導場面
1)ヘッドフォンと耳栓を使用する前と使用中に、大声があったか、なかったかを、次の方法で記録する。
2点:大声「ぎゃーぎゃー」+両手を叩く+体を前後に揺らすあり。
1点:「んーんー」(「ぎゃーぎゃー」のときよりも静かな声だが、周囲の音は気になっている様子。書く作業は中断している。)
0点:大声なし。
※記録例:ヘッドフォンと耳栓使用前→大声あり(2点)、使用中→「んーんー」(1点)

2)ヘッドフォンと耳栓の自発的な使用ができたかを記録する。
3点:自発的に使用。
2点:「ヘッドフォンは?」の声かけで使用。
1点:渡されて使用。
0点:使用しない。

グラフ下
第一系列のタイトル: 大声の有無 2点:大声あり,1点:「んーんー」,0点:大声なし
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル: 耳栓+ヘッドフォン着用中の大声の有無 2点:大声あり,1点:「んーんー」,0点:大声なし
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4

指導期間
2004.10.12〜

結果
【STEP1】では、ヘッドフォンと耳栓が入ったかごが置かれると、1回(11/1)を除き、自分から使用することができた。自分から使用した4回のうち、3回(10/21、10/29、11/4)は、使用中大声がなくなったり、手を休めずに連絡帳を書いたりと効果が見られた。
【STEP1】で11月5日にヘッドフォンと耳栓を使用して以降、12月3日まで大声は見られなかった。
12月3日より【STEP2】に入った。12月3日のみ「んーんー」という声があり、その後大声はない。

考察
 12月3日に【STEP2】に入る直前の、11月24日と29日、課題学習の時間に「(ヘッドフォンと耳栓)ください。」と自発的な使用をすることがあった。【STEP1】でヘッドフォンと耳栓の自発的な使用は4回であり、達成基準の5回に到達していなかったが、連絡帳を書くときにも自発的な使用ができるかもしれないと考えて、【STEP2】に入った。
 教室の外から聞こえてくるビデオの音に耳をふさぐなど、周囲の音を気にする様子はあるが、「んーんー」「ぎゃーぎゃー」といった大きな声は減っている。

ヘッドフォンと耳栓の使用
A:先行条件 B:行動 C:結果
連絡帳を書いていて、周囲の音が気になるとき ヘッドフォンと耳栓を使用する 周囲の音が小さくなる(↑)


記入日時 2006/02/24/13:03:53  No.221
記入者 管理者  E-Mail

耳栓とヘッドフォン着用の様子(連絡帳を書くとき)
記録の取り方(般化場面と指導場面)
第一系列のタイトル: 耳栓+ヘッドフォン着用の様子 3点:自分から,2点:声かけで,1点:渡されて,0点:使用しない
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4


記入日時 2006/02/24/13:04:52  No.222
記入者 管理者  E-Mail

ヘッドフォンと耳栓の使用 般化場面1 課題学習
概 要
連絡帳を書く際の、ヘッドフォンと耳栓の使用を指導中であったが、課題学習の際、対象児から自発的に「これ(ヘッドフォン)、ください。」と言って使用することがあったため、指導を開始した。

指導者
担任

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
課題学習中、周囲の音や声が気になるときに、ヘッドフォンと耳栓を使用することができる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
本年度9月に、課題学習中に、周囲の音や声が気になり大きな声を出した回数を記録した。

指導場面
課題学習中で、耳をふさいだり大声を出したりと、周囲の音や声が気になっている様子のとき。

指導手続
課題学習中、周囲の音や声が気になっているときに、耳栓とヘッドフォンを使用するようにする。
耳栓とヘッドフォンが入ったかごは、対象児のロッカーの上と場所を決めておく。
耳をふさいだり、「んーんー」という声を出したりして、耳栓とヘッドフォンを使用しないようであれば、「ヘッドフォンは?」と声をかける。
※「ぎゃーぎゃー」(「んーんー」よりも大きな声)という声の時には、指示が通りにくいので声はかけない。

教材教具など
耳栓、ヘッドフォン、かご

達成基準
耳栓とヘッドフォンを自発的に使用することが5回あれば達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
〈声について;使用前と使用中〉
0点:大声なし
1点:「んーんー」という声あり
2点:「ぎゃーぎゃー」という声あり

〈耳栓とヘッドフォンの使用について〉
3点:自発的に使用
2点:声をかけられて使用
1点:手渡されて使用
0点:使用しない

グラフ下
第一系列のタイトル: 耳栓とヘッドフォン使用前の声
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル: 耳栓とヘッドフォン使用中の声
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4

指導期間
2004.11.29〜

結果
11/29は、課題学習が始まる前に「ください。」と言ってヘッドフォンと耳栓を着用し、自発的に使用することができた。課題中、一度「んーんー」という声があった。
12/9、1/13、1/17は、教師の「ヘッドフォンは?」の声かけで使用することができた。そのうち2回は、使用中の大声はなかった。

考察
1/20現在、指導を継続中である。
・声かけでの使用が続いており、自発的な使用が定着していない。連絡帳を書くときの指導と同様に、STEP1(ヘッドフォンと耳栓が入ったかごを、課題机の横に置いておく。)、STEP2(ロッカーの上に置いておく。)を設定する必要があったと思われる。
・1月になって、耳栓の使用中に何度も耳栓を耳に入れ直す様子が見られるようになった。現在はヘッドフォンと耳栓を併用しているが、完全に防音することは難しい。自発的な使用が定着するためには、防音性を検討する必要もありそうである。(せっかく「いやだ!」と言わずに使用することができているので、使うと効果があるし使いたい、と思ってもらいたい。)→2/7〜防音効果のより高いイヤーマフを使用。

○ヘッドフォンと耳栓を使用する指導を行う前に、対象児の大声について、本人の1日の学校生活を見直すことを行った。
・サーキットトレーニングでは、周数が多いことが原因だと予測された。周数を減らしたことで、大声がほとんどなくなっている。
・課題学習(自立課題)は、周囲の音が気になることと、課題学習の内容が難しいことと2つ原因がありそうであった。対象児が苦手な字を書く作業を除き、得意な組み立てや仕分けなどの作業のみにしたところ、大声が減った。字を書く作業は、対面課題で実施したところ、大声を出すことはなかった。
学校生活を見直したことで、対象児が落ち着いて生活できることが多くなった。そのことが、今回の「周囲の音が気になるときにヘッドフォンや耳栓を使用する指導」
にも影響しているのではないかと予想される。


記入日時 2006/02/24/13:07:47  No.223
記入者 管理者  E-Mail

耳栓とヘッドフォンの使用の様子(課題学習)
記録の取り方(般化場面と指導場面)
第一系列のタイトル: 耳栓とヘッドフォンの使用の様子;3点:自発的に 2点:声かけで 1点:手渡されて 0点:使用しない
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4
第二系列のタイトル:
Baseline: ベースライン Intervention1: 指導方法1 Intervention2: 指導方法2 Intervention3: 指導方法3 Intervention4: 指導方法4


記入日時 2006/02/24/13:08:31  No.224
記入者 管理者  E-Mail

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